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税務ニュース2003年03月03日 執行役は企業再編税制上の特定役員? 経営の中枢に参画なら特定役員に該当

執行役は企業再編税制上の特定役員?
経営の中枢に参画なら特定役員に該当


 企業再編税制の適格要件の一つに、当事会社の双方の「特定役員」を共同事業会社に引き継ぐというものがあるが、平成14年の商法改正により創設された「執行役」は、一般的にはこの特定役員には当たらないこととなりそうだ。
 ただ、例えば執行役が取締役を兼務し、経営の中枢に参画している場合等には、「特定役員」に該当する可能性もある。

「役員」に該当することは政令で明記
 共同事業を行なうための企業再編には、「当事会社の双方の特定役員を共同事業会社に引き継ぐ」という適格要件がある。この適格要件にいう「特定役員」とは、具体的には「社長、代表取締役、専務取締役、常務取締役(法令4条の2③二)」のほか、「役員又は役員以外の者で、社長、副社長、代表取締役、専務取締役又は常務取締役と同等に法人の経営に参画している者(法基通1-4-7)」をいうこととされる。
 平成14年5月29日公布の改正商法の中で実施された法人税法の改正(15年4月1日施行)により、「執行役」は法人税法上の役員に該当することが明記されているが(改正法法2条十五、プレ創刊号8ページ参照)、執行役が企業再編税制にいう「特定役員」に該当するかどうかについては明確な答えがなく、実務関係者の間で疑問が広がっている。  
 その背景には、商法上、執行役には「代表執行役」と単なる「執行役」の区分はあるものの、それ以上の区分(例えば常務執行役、専務執行役など)が存在しないということもあるようだ。

代表執行役なら通常は特定役員に
 本誌取材によると、もともと執行役の創設趣旨が「経営と執行の分離」にあることもあり、当局は、一般的には執行役は特定役員には当たらないとのイメージを持っているようだ。
 ただ、「代表執行役」については、通常は特定役員に該当すると考えられる。また、執行役が取締役を兼務している場合も、取締役を兼務していない執行役より「特定役員」に該当する可能性は高まると考えるのが自然だ。
 もっとも、前記の法人税基本通達1-4-7で「役員又は役員以外の者で…」と規定するように、特定役員に該当するかどうかは、形式的な肩書ではなく、職務内容等により実質的に判断されることから、当局は「経営の中枢に参画していると認められれば、特定役員と判断することもある」との考えを示している。
 いずれにせよ、商法上、「専務」「常務」などの詳細な区分がない執行役が税務上の「特定役員」に該当するかどうかの判断は難しい。このため、今後、個別照会等により、取扱いの明確化が図られることも予想される。


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