会社法ニュース2008年02月11日 犯罪収益移転防止法関係政省令が公布、本人確認等拡充は3月施行(2008年2月11日号・№246) 本人確認・取引記録等保存義務は司法書士等の職業専門家にも
犯罪収益移転防止法関係政省令が公布、本人確認等拡充は3月施行
本人確認・取引記録等保存義務は司法書士等の職業専門家にも
犯罪による収益の移転防止に関する法律(平成19年3月31日法律第22号)の本人確認義務等を拡充する規定が3月1日、いよいよ施行される。政府は2月1日、(1)犯罪による収益の移転防止に関する法律の一部の施行期日を定める政令(平成20年政令第19号)、(2)犯罪による収益の移転防止に関する法律施行令(政令第20号)を公布した。
対象事業者を金融機関等以外に拡充 上記(1)、(2)と併せて、(3)犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則(平成20年内閣府、総務省、法務省、財務省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省令第1号)、(4)外国為替に関する省令及び財務省組織規則の一部を改正する省令(平成20年財務省令第4号)、(5)犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則第八条第十一号の規定に基づき、国又は地域を指定する件(平成20年国家公安委員会、金融庁告示第1号)等も公布。
新たに制定された犯罪収益移転防止法の一部は昨年4月1日に施行されていたが、(a)組織的犯罪処罰法に基づく金融機関等の疑わしい取引の届出等を同法から削除し、新法に「特定事業者」に係る届出義務を規定、(b)本人確認法に基づく本人確認・取引記録作成義務等は同法を廃止し、新法に届出義務者を「特定事業者」に拡充して規定するなどの措置は施行が先送りされ、上記(1)の公布により、原則として今年3月1日から施行されることが確定した。
法改正・新法制定の経緯や特定事業者の詳細については本誌236号34頁を参照されたいが、新法下の対象者は銀行・保険・証券・信託・貸金業といった従前の金融機関にとどまらず、ファイナンス・リース事業者、宅地建物取引業者等が追加されているほか、弁護士・司法書士・行政書士・公認会計士・税理士および法人化された弁護士法人・司法書士法人等も対象とされている。
たとえば司法書士の場合…… 3月1日の施行により、たとえば司法書士の場合、登記・供託手続の代理といった業務および付随業務等のうち、顧客のためにする①宅地・建物の売買に関する行為・手続、②「会社の設立又は合併に関する行為又は手続その他の政令で定める会社の組織、運営又は管理に関する行為又は手続(略)」、③現金、預金、有価証券その他の財産の管理・処分(上記(2)の10条1号により200万円以下のものは除かれる)に係る代理・代行(特定受任行為の代理)が「特定業務」とされ、このうち「特定受任行為の代理等を行うことを内容とする契約の締結その他の政令で定める取引」(特定取引)を行う際、運転免許証の提示を受けるなどにより本人確認を行い(新法4条)、本人確認記録を作成・保存し(6条)、取引記録等を作成・保存する(7条)(前述の「士」業でない特定事業者には新法9条による「疑わしい取引」の届出義務もある)。
特定業務中、(2)の9条1項により、①~③に係る次の業務は対象外となる。
<政令により除外される業務> ●「租税の納付」「罰金、科料、追徴に係る金銭又は保釈に係る保証金の納付」「過料の納付」「成年後見人、……がその職務として行う当該人……の財産の管理又は処分」
また、特定取引における「政令で定める取引」とは、「特定受任行為の代理等(略)を行うことを内容とする契約の締結(犯罪による収益の移転に利用されるおそれがない取引として主務省令で定めるもの及び本人確認済みの顧客等との取引を除く。)」と、「特定受任行為の代理等を継続的に又は反復して行うことを内容とする契約に基づく取引のうち、なりすまし等が疑われる取引に該当するもの」で((2)の10条)、さらに具体的には、次のように規定される。
<政令により除外される取引> ●犯罪による収益の移転に利用されるおそれがない取引として主務省令で定めるもの……「任意後見契約に関する法律(略)第2条第1号に規定する任意後見契約の締結」((3)の6条2項1号)等
●本人確認済みの顧客等との取引……「当該特定事業者が顧客等について既に本人確認を行っており、かつ、当該本人確認について本人確認記録を保存している場合」((2)の11条1項1号)等
<なりすまし等が疑われる特定取引> ●「取引の相手方が契約時本人確認(略)に係る顧客等又は代表者等になりすましている疑いがある場合における当該取引」「契約時本人確認が行われた際に本人特定事項を偽っていた疑いがある顧客等又は代表者等との取引」((2)の11条2項)
なお、取引記録等の作成義務は、「その価額が少額である財産の処分の代理その他の政令で定める特定受任行為の代理等」について除かれている(新法7条2項)。
具体的には、「財産の管理又は処分に係る特定受任行為の代理等のうち、当該財産の価額が200万円以下のもの」((2)の13条2項1号)、および(2)の13条2項2号が委任する(3)の12条2項において規定される「任意後見契約に関する法律第2条第4号に規定する任意後見人の事務として行う特定受任行為の代理等」である。
会社の「定款変更」で本人確認 特定業務のうち、②は(2)の9条2項1号により、(イ)設立、(ロ)組織変更、合併、会社分割、株式交換・株式移転、(ハ)定款の変更、(ニ)取締役・執行役の選任または代表取締役・代表執行役の選定と規定された(株式会社の場合)。
弁護士・弁護士法人を除く「士」業の特定業務は新法4条に規定されており、司法書士同様に本人確認等の対象となる特定取引が定められている。
なお、弁護士・弁護士法人については、法律上の司法書士等の例に準じて「依頼者の身元確認及び記録保存等に関する規程」(平成19年3月1日会規第81号)が制定、昨年7月1日に施行されている。
本人確認・取引記録等保存義務は司法書士等の職業専門家にも
犯罪による収益の移転防止に関する法律(平成19年3月31日法律第22号)の本人確認義務等を拡充する規定が3月1日、いよいよ施行される。政府は2月1日、(1)犯罪による収益の移転防止に関する法律の一部の施行期日を定める政令(平成20年政令第19号)、(2)犯罪による収益の移転防止に関する法律施行令(政令第20号)を公布した。
対象事業者を金融機関等以外に拡充 上記(1)、(2)と併せて、(3)犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則(平成20年内閣府、総務省、法務省、財務省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省令第1号)、(4)外国為替に関する省令及び財務省組織規則の一部を改正する省令(平成20年財務省令第4号)、(5)犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則第八条第十一号の規定に基づき、国又は地域を指定する件(平成20年国家公安委員会、金融庁告示第1号)等も公布。
新たに制定された犯罪収益移転防止法の一部は昨年4月1日に施行されていたが、(a)組織的犯罪処罰法に基づく金融機関等の疑わしい取引の届出等を同法から削除し、新法に「特定事業者」に係る届出義務を規定、(b)本人確認法に基づく本人確認・取引記録作成義務等は同法を廃止し、新法に届出義務者を「特定事業者」に拡充して規定するなどの措置は施行が先送りされ、上記(1)の公布により、原則として今年3月1日から施行されることが確定した。
法改正・新法制定の経緯や特定事業者の詳細については本誌236号34頁を参照されたいが、新法下の対象者は銀行・保険・証券・信託・貸金業といった従前の金融機関にとどまらず、ファイナンス・リース事業者、宅地建物取引業者等が追加されているほか、弁護士・司法書士・行政書士・公認会計士・税理士および法人化された弁護士法人・司法書士法人等も対象とされている。
たとえば司法書士の場合…… 3月1日の施行により、たとえば司法書士の場合、登記・供託手続の代理といった業務および付随業務等のうち、顧客のためにする①宅地・建物の売買に関する行為・手続、②「会社の設立又は合併に関する行為又は手続その他の政令で定める会社の組織、運営又は管理に関する行為又は手続(略)」、③現金、預金、有価証券その他の財産の管理・処分(上記(2)の10条1号により200万円以下のものは除かれる)に係る代理・代行(特定受任行為の代理)が「特定業務」とされ、このうち「特定受任行為の代理等を行うことを内容とする契約の締結その他の政令で定める取引」(特定取引)を行う際、運転免許証の提示を受けるなどにより本人確認を行い(新法4条)、本人確認記録を作成・保存し(6条)、取引記録等を作成・保存する(7条)(前述の「士」業でない特定事業者には新法9条による「疑わしい取引」の届出義務もある)。
特定業務中、(2)の9条1項により、①~③に係る次の業務は対象外となる。
<政令により除外される業務> ●「租税の納付」「罰金、科料、追徴に係る金銭又は保釈に係る保証金の納付」「過料の納付」「成年後見人、……がその職務として行う当該人……の財産の管理又は処分」
また、特定取引における「政令で定める取引」とは、「特定受任行為の代理等(略)を行うことを内容とする契約の締結(犯罪による収益の移転に利用されるおそれがない取引として主務省令で定めるもの及び本人確認済みの顧客等との取引を除く。)」と、「特定受任行為の代理等を継続的に又は反復して行うことを内容とする契約に基づく取引のうち、なりすまし等が疑われる取引に該当するもの」で((2)の10条)、さらに具体的には、次のように規定される。
<政令により除外される取引> ●犯罪による収益の移転に利用されるおそれがない取引として主務省令で定めるもの……「任意後見契約に関する法律(略)第2条第1号に規定する任意後見契約の締結」((3)の6条2項1号)等
●本人確認済みの顧客等との取引……「当該特定事業者が顧客等について既に本人確認を行っており、かつ、当該本人確認について本人確認記録を保存している場合」((2)の11条1項1号)等
<なりすまし等が疑われる特定取引> ●「取引の相手方が契約時本人確認(略)に係る顧客等又は代表者等になりすましている疑いがある場合における当該取引」「契約時本人確認が行われた際に本人特定事項を偽っていた疑いがある顧客等又は代表者等との取引」((2)の11条2項)
なお、取引記録等の作成義務は、「その価額が少額である財産の処分の代理その他の政令で定める特定受任行為の代理等」について除かれている(新法7条2項)。
具体的には、「財産の管理又は処分に係る特定受任行為の代理等のうち、当該財産の価額が200万円以下のもの」((2)の13条2項1号)、および(2)の13条2項2号が委任する(3)の12条2項において規定される「任意後見契約に関する法律第2条第4号に規定する任意後見人の事務として行う特定受任行為の代理等」である。
会社の「定款変更」で本人確認 特定業務のうち、②は(2)の9条2項1号により、(イ)設立、(ロ)組織変更、合併、会社分割、株式交換・株式移転、(ハ)定款の変更、(ニ)取締役・執行役の選任または代表取締役・代表執行役の選定と規定された(株式会社の場合)。
弁護士・弁護士法人を除く「士」業の特定業務は新法4条に規定されており、司法書士同様に本人確認等の対象となる特定取引が定められている。
なお、弁護士・弁護士法人については、法律上の司法書士等の例に準じて「依頼者の身元確認及び記録保存等に関する規程」(平成19年3月1日会規第81号)が制定、昨年7月1日に施行されている。
当ページの閲覧には、週刊T&Amasterの年間購読、
及び新日本法規WEB会員のご登録が必要です。
週刊T&Amaster 年間購読
新日本法規WEB会員
試読申し込みをいただくと、「【電子版】T&Amaster最新号1冊」と当データベースが2週間無料でお試しいただけます。
人気記事
人気商品
-
-
団体向け研修会開催を
ご検討の方へ弁護士会、税理士会、法人会ほか団体の研修会をご検討の際は、是非、新日本法規にご相談ください。講師をはじめ、事業に合わせて最適な研修会を企画・提案いたします。
研修会開催支援サービス -
Copyright (C) 2019
SHINNIPPON-HOKI PUBLISHING CO.,LTD.