税務ニュース2009年08月03日 不法行為に基づく損害賠償金は収益補償ではなく非課税所得に該当(2009年8月3日号・№317) 原告による更正処分等の取消請求をおおむね認容
不法行為に基づく損害賠償金は収益補償ではなく非課税所得に該当
原告による更正処分等の取消請求をおおむね認容
大分地裁民事第2部(一志泰滋裁判長)は7月6日、原告が支払いを受けた商品先物取引の委託会社の不法行為に基づく損害賠償金は、商品先物取引の売買差損等により原告の生活用資産である金銭等の資産に加えられた損害に基因して取得したものであり、収益補償ではないことから、非課税所得に該当するなどと判示し、原告による更正処分等の取消請求をおおむね認容する判決を言い渡した。
更正処分等取消請求に至るまでの経緯 商品先物取引により損失を被った原告は、商品先物取引の委託会社の不法行為により損害を受けたとして、損害賠償請求訴訟を大分地裁に提起した。そして同地裁は、当該委託会社の不法行為責任を認め、損害賠償金および遅延損害金の支払いを命じる判決を言い渡した。なお、同判決では、委託会社の従業員らにおいて、原告が最終的に多額の損失を被るかもしれない危険性を一顧だにせず、ひたすら取引の長期化および大規模化を目指して徴収できる手数料を増やすことだけを念頭に取引の勧誘を行ったものであり、不法行為に当たる取引勧誘行為は全体として違法性を帯びたものであると認定されている。
その後、委託会社および原告の間で和解が成立し、原告に和解金1,900万円が支払われた。行政処分庁は、この和解金1,900万円のうち、必要経費を控除した残額1,436万4,700円は、原告の平成13年分の雑所得に当たるとして更正処分等を行った。
資産に加えられた損害に基因する取得 本事案で一志裁判長は、不法行為に基づく損害賠償金について、本来各種所得に該当するとして課税されるべき得べかりし利益(逸失利益)を補てんする性質を有するものと、預け金の返金の受入れや貸付金の元金の受入れ等と同様に本来課税されるべきでない実損害を補てんする性質を有するものとが含まれており、本来、前者については各種所得に該当するものとして課税され、後者については非課税とされるべきものであると判示した。そのうえで、原告が取得した和解金の実質は不法行為に基づく損害賠償金および遅延損害金であり、前述の大分地裁の認定等から、損害賠償金は先物取引の売買差損等により原告の生活用資産である金銭等の資産に加えられた損害に基因して取得した損害賠償金であり、収益補償ではないと認められることから非課税所得に該当するとした。
なお、遅延損害金については、不法行為その他突発的な事故により資産に加えられた損害に基因して取得した損害賠償金ではなく、履行遅滞という債務不履行による損害賠償金であることから、非課税所得には該当しないとしている。
原告による更正処分等の取消請求をおおむね認容
大分地裁民事第2部(一志泰滋裁判長)は7月6日、原告が支払いを受けた商品先物取引の委託会社の不法行為に基づく損害賠償金は、商品先物取引の売買差損等により原告の生活用資産である金銭等の資産に加えられた損害に基因して取得したものであり、収益補償ではないことから、非課税所得に該当するなどと判示し、原告による更正処分等の取消請求をおおむね認容する判決を言い渡した。
更正処分等取消請求に至るまでの経緯 商品先物取引により損失を被った原告は、商品先物取引の委託会社の不法行為により損害を受けたとして、損害賠償請求訴訟を大分地裁に提起した。そして同地裁は、当該委託会社の不法行為責任を認め、損害賠償金および遅延損害金の支払いを命じる判決を言い渡した。なお、同判決では、委託会社の従業員らにおいて、原告が最終的に多額の損失を被るかもしれない危険性を一顧だにせず、ひたすら取引の長期化および大規模化を目指して徴収できる手数料を増やすことだけを念頭に取引の勧誘を行ったものであり、不法行為に当たる取引勧誘行為は全体として違法性を帯びたものであると認定されている。
その後、委託会社および原告の間で和解が成立し、原告に和解金1,900万円が支払われた。行政処分庁は、この和解金1,900万円のうち、必要経費を控除した残額1,436万4,700円は、原告の平成13年分の雑所得に当たるとして更正処分等を行った。
資産に加えられた損害に基因する取得 本事案で一志裁判長は、不法行為に基づく損害賠償金について、本来各種所得に該当するとして課税されるべき得べかりし利益(逸失利益)を補てんする性質を有するものと、預け金の返金の受入れや貸付金の元金の受入れ等と同様に本来課税されるべきでない実損害を補てんする性質を有するものとが含まれており、本来、前者については各種所得に該当するものとして課税され、後者については非課税とされるべきものであると判示した。そのうえで、原告が取得した和解金の実質は不法行為に基づく損害賠償金および遅延損害金であり、前述の大分地裁の認定等から、損害賠償金は先物取引の売買差損等により原告の生活用資産である金銭等の資産に加えられた損害に基因して取得した損害賠償金であり、収益補償ではないと認められることから非課税所得に該当するとした。
なお、遅延損害金については、不法行為その他突発的な事故により資産に加えられた損害に基因して取得した損害賠償金ではなく、履行遅滞という債務不履行による損害賠償金であることから、非課税所得には該当しないとしている。
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