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会計ニュース2003年06月21日 衆参委員会での新日本監査法人理事長発言に疑問 回収可能性と債務超過、どちらを先に判断?

 6月11日の衆議院財務金融委員会で「りそな銀行は債務超過ではない」と発言した竹山新日本監査法人理事長の、その根拠に疑問の声があがっている。

 6月11日午前中の衆議院財務金融委員会でのやりとり(要旨)は以下のとおり(なお、13日の参議院財政金融委員会でも同様のやりとりがあった)。
民主党五十嵐委員「りそな銀行は債務超過ではなかったのか」
竹山理事長「まず、債務超過ということがよくいわれておりますが、基本的には繰延税金資産というのは回収可能性が確認できれば、現金預金よりは換金性は低いかもしれませんが、商法上の資産でございます。従いまして、世間でよくいわれておるような、繰延税金資産がなければ債務超過という議論はおかしいと思います。従いまして、りそな銀行は債務超過ではありません。」

 この点、日本公認会計士協会監査委員会報告第66号「繰延税金資産の回収可能性の判断に関する監査上の取扱い」の「5 将来年度の課税所得の見積額による繰延税金資産の回収可能性の判断指針」の5項では「債務超過の状況にある会社で、短期間に当該状況の解消が見込まれない場合には、繰延税金資産の回収可能性はないものと判断する」旨記載されている。
 よって、繰延税金資産の回収可能性を検討する際に、①繰延税金資産を除いて債務超過か否か判断し、②債務超過であれば繰延税金資産は計上し得ない、という手順で判断すべきといえる。なぜなら、繰延税金資産の回収可能性を検討する際に、当該検討の対象となっている繰延税金資産を除かずに債務超過か否かを判定すれば、トートロジー(循環論法)となってしまうからである。
 以上より、回収可能性の判断に際して、「繰延税金資産がなければ債務超過という議論はおかしい」という発言こそが妥当でないといえる。
 ちなみに、2003年3月期のりそなホールディングスグループの財務状況は繰延税金資産を考慮せずに判定すれば、まさに債務超過。公的資金注入の措置の妥当性が改めて問題視されるといえる。

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