会社法ニュース2010年11月29日 東京高裁がサイバードのMBOで株式取得価格を引上げも……(2010年11月29日号・№380) 公表前1か月間の株価終値の出来高加重平均値での算定方法を容認
東京高裁がサイバードのMBOで株式取得価格を引上げも……
公表前1か月間の株価終値の出来高加重平均値での算定方法を容認
東京高裁第1民事部(一宮なほみ裁判長)は10月27日、サイバードホールディングスがMBOを実施する際の公開買付けに応募しなかった株主に交付された株式の取得価格が争われた事件で、東京地裁の決定を上回る1株につき6万1,360円とする決定を行った。ただし、株式の客観的価値の評価についての東京地裁の決定は支持している。
東京地裁では1株につき6万円 今回の事案は、ジャスダック証券取引所に株式を上場していたサイバードホールディングス(相手方)がMBOを実施して非公開化をするために実施した公開買付けにおいて、公開買付けに応募しなかった株主らに交付された端株について、これを売却して得られる金銭を交付したところ、株主ら(抗告人)が反対し、株式の取得価格の決定を申し立てたものである。東京地裁では、株式の各取得価格を1株につき6万円とする旨の決定を行っていた。
公開買付け公表1年前の株価を用いるべき 株主らは、MBOの検討時期から、公開買付け公表までの期間の株価については、経営者に経営成績向上のインセンティブがなく、価格操作の可能性があると指摘。特段の事情がない限り、企業価値を把握する指標として排除すべきであると主張。仮に市場株価に依拠するならば、公開買付け公表1年前の株価を用いるべきであるとした。一方、相手方は、財務状況や将来の業績見通しなどは、刻一刻と変化するため、取得日の当該株式の客観的価値を算定するには、原則として、取得日にできるだけ近接した市場株価を参照すべきであると主張した。
公開買付けの影響のない一定期間の株価 東京高裁は、取得日における株式の客観的価値を把握する方法として、特別の事情がない限り、評価基準時に近接し、公開買付けの公表等による影響が及んでいない合理的な一定期間の市場株価の平均値を用いることが相当であることは東京地裁の決定どおりであるとしたうえで、「本件公開買付け公表前1か月間の市場株価の終値による出来高加重平均値をもって算定した価格を相手方株式の客観的価値としたことは不当とはいえない。」と判断した。
ただし、株式の取得価格については、平成19年のTOBのプレミアムの平均値が20%台の半ばであることなどのほか、相手方も、公開買付けにおけるプレミアムを約22.38%から約31.68%と主張していることを踏まえ、「プレミアムは少なくとも20%を下回ることはない」と判断。株式の取得価格は、取得日の客観的価値である5万1,133円に20%プレミアムを加算した6万1,360円と定めるのが相当であるとした。
公表前1か月間の株価終値の出来高加重平均値での算定方法を容認
東京高裁第1民事部(一宮なほみ裁判長)は10月27日、サイバードホールディングスがMBOを実施する際の公開買付けに応募しなかった株主に交付された株式の取得価格が争われた事件で、東京地裁の決定を上回る1株につき6万1,360円とする決定を行った。ただし、株式の客観的価値の評価についての東京地裁の決定は支持している。
東京地裁では1株につき6万円 今回の事案は、ジャスダック証券取引所に株式を上場していたサイバードホールディングス(相手方)がMBOを実施して非公開化をするために実施した公開買付けにおいて、公開買付けに応募しなかった株主らに交付された端株について、これを売却して得られる金銭を交付したところ、株主ら(抗告人)が反対し、株式の取得価格の決定を申し立てたものである。東京地裁では、株式の各取得価格を1株につき6万円とする旨の決定を行っていた。
公開買付け公表1年前の株価を用いるべき 株主らは、MBOの検討時期から、公開買付け公表までの期間の株価については、経営者に経営成績向上のインセンティブがなく、価格操作の可能性があると指摘。特段の事情がない限り、企業価値を把握する指標として排除すべきであると主張。仮に市場株価に依拠するならば、公開買付け公表1年前の株価を用いるべきであるとした。一方、相手方は、財務状況や将来の業績見通しなどは、刻一刻と変化するため、取得日の当該株式の客観的価値を算定するには、原則として、取得日にできるだけ近接した市場株価を参照すべきであると主張した。
公開買付けの影響のない一定期間の株価 東京高裁は、取得日における株式の客観的価値を把握する方法として、特別の事情がない限り、評価基準時に近接し、公開買付けの公表等による影響が及んでいない合理的な一定期間の市場株価の平均値を用いることが相当であることは東京地裁の決定どおりであるとしたうえで、「本件公開買付け公表前1か月間の市場株価の終値による出来高加重平均値をもって算定した価格を相手方株式の客観的価値としたことは不当とはいえない。」と判断した。
ただし、株式の取得価格については、平成19年のTOBのプレミアムの平均値が20%台の半ばであることなどのほか、相手方も、公開買付けにおけるプレミアムを約22.38%から約31.68%と主張していることを踏まえ、「プレミアムは少なくとも20%を下回ることはない」と判断。株式の取得価格は、取得日の客観的価値である5万1,133円に20%プレミアムを加算した6万1,360円と定めるのが相当であるとした。
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