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税務ニュース2003年07月07日 妻(弁護士)に支払った弁護士報酬の必要経費算入を、認めず(2003年7月7日号・№026) 生計を一にする親族に対する対価の支払には、所法56条を適用

妻(弁護士)に支払った弁護士報酬の必要経費算入を、認めず
生計を一にする親族に対する対価の支払には、所法56条を適用



東京地方裁判所民事第38部(菅野博之裁判長)は、平成15年6月27日、「弁護士業を営む夫が、独立して弁護士事務所を開設している妻(弁護士)に支払った弁護士報酬の額は、所得税法56条(事業から対価を受ける親族がある場合の必要経費の特例)が適用され、これを必要経費に算入することはできない。」と判示し、更正処分等の取消請求を棄却する判決を行った。(平成14年(行ウ)第82号)

独立した事業主への所法56条の適用が争点    
 原告甲とその妻訴外Aは、同居して、生計を一にしている。甲及びAは、いずれも弁護士であるが、所属する弁護士会も異なり、それぞれ独立して、弁護士事務所を開設し、弁護士業務を行っている。各事務所の事務員、設備等にかかる経費は、それぞれの事務所において記帳されている。Aは、甲の営む事業に従事した労務の対価として、3年間に毎年595万円ずつの弁護士報酬の支払を受けた。甲はAへの弁護士報酬の支払について、その都度源泉徴収して納税しており、Aもその報酬を自らの事業の総収入金額に計上して、各年分の所得税申告を行っている。
 Aに支払った弁護士報酬を必要経費に計上して申告していた甲に対し、乙税務署長は、Aに支払った弁護士報酬について、所得税法56条の適用により必要経費への算入を認めず、更正処分等を行い、この処分を不服として、甲が提訴したのが、本件の概要である。

裁判所は個別の事情を認めずに同条を適用
 判決では、「所法56条の要件を①支払の対象者が『生計を一にする配偶者その他の親族』であること及び、②支払の事由が『その居住者の営む不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業に従事したことその他の事由により当該事業から対価の支払を受ける場合』であることの2つであるとし、この2つの要件が備わっている限り、その者の営む事業の形態等の個別の事情のいかんにかかわりなく、同条が適用されると解すべきである。」と判示し、本件弁護士報酬の支払に所法56条が適用され、必要経費への算入はできないとされた。

消費単位課税の合理性の否定はできない
 甲は、青色事業専従者に対する支払が必要経費に算入されるのに対して、本件弁護士報酬の必要経費への算入が認められないのは、不合理であり、憲法14条1項(法の下の平等)に違反する旨主張した。
 判決は、所法56条は、いわゆる消費単位課税の方式を採用したものであり、生計を一にする親族への区別は、合理的なものであるとして、憲法14条1項違反の主張を斥けた。

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