会計ニュース2003年07月31日 大丸・自己株式取得中止へ その他有価証券評価差額金の扱いが焦点に
大丸は7月31日、5月に開催された定時株主総会で決議した70億円の枠の自己株式取得を中止すると公表した。定時株主総会で決議された自己株式の取得自体を中止するのはきわめてまれな事態といえる。
これは、70億円という取得総額が商法上の財源規制限度額を超えている為。すなわち、商法210条3項にて自己株式の取得価額の総額は純資産額より210条1項各号の金額及び定時総会において決議された配当額と役員賞与額を控除した額を超えてならない旨規定されている。この点、同社では当初その他有価証券評価差額金570百万円(マイナス)を加味せずに純資産額を算定したため、自己株式の取得可能総額は70億を超えると判断、その結果70億円の自己株式取得枠を決議することとなった。
この点、その他有価証券評価差額金が「貸方残」の場合は「配当可能利益」算定上控除する旨規定がある(商法施行規則124条3号)ものの、「借方残」の場合に「自己株式取得可能額」の算定上どう扱うかについては特に規定がない。よって、借方残の場合、その他有価証券評価差額金のマイナス分だけ自己株式取得可能額が減るのが正しい計算方法といえる。
その結果、正しい計算法に基づくと、同社の実際の自己株式取得可能額は65億円となり、株主総会決議自体が無効となってしまった。そこで、同社では既に同決議に基づき取得済みの約7億円の自己株式についてはブロック取引により売却するとともに、今後同決議に基づく取得は行わないこととした。
これは、70億円という取得総額が商法上の財源規制限度額を超えている為。すなわち、商法210条3項にて自己株式の取得価額の総額は純資産額より210条1項各号の金額及び定時総会において決議された配当額と役員賞与額を控除した額を超えてならない旨規定されている。この点、同社では当初その他有価証券評価差額金570百万円(マイナス)を加味せずに純資産額を算定したため、自己株式の取得可能総額は70億を超えると判断、その結果70億円の自己株式取得枠を決議することとなった。
この点、その他有価証券評価差額金が「貸方残」の場合は「配当可能利益」算定上控除する旨規定がある(商法施行規則124条3号)ものの、「借方残」の場合に「自己株式取得可能額」の算定上どう扱うかについては特に規定がない。よって、借方残の場合、その他有価証券評価差額金のマイナス分だけ自己株式取得可能額が減るのが正しい計算方法といえる。
その結果、正しい計算法に基づくと、同社の実際の自己株式取得可能額は65億円となり、株主総会決議自体が無効となってしまった。そこで、同社では既に同決議に基づき取得済みの約7億円の自己株式についてはブロック取引により売却するとともに、今後同決議に基づく取得は行わないこととした。
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