税務ニュース2012年10月01日 特別支配株主による売渡請求の課税関係(2012年10月1日号・№469) 金銭交付の株式交換と同効果も、株主課税で課税関係終了
特別支配株主による売渡請求の課税関係
金銭交付の株式交換と同効果も、株主課税で課税関係終了
現金を対価とする少数株主の排除、すなわち「キャッシュ・アウト」の手法としては、金銭を対価とする株式交換や全部取得条項付種類株式が一般的となっている。
ただ、このうち「金銭を対価とする株式交換」については、金銭を対価として子会社株式を取得することになるため「税制非適格株式交換」となり(法法2条十二の十六)、子会社の資産について時価課税が行われてしまうという問題がある。
一方、「全部取得条項付種類株式」を使ったキャッシュ・アウトでは、株主の対する課税(譲渡益課税、一定の場合にみなし配当課税)のみで課税関係が終了し、子会社の資産への時価課税といった問題は起こり得ないため、現状の実務ではこの全部取得条項付種類株式を活用してキャッシュ・アウトの方が通例だが、全部取得条項付種類株式を使う場合には株主総会の特別決議を要するなど、キャッシュ・アウトを完了するまでに時間的・手続き的コストが大きいとの指摘もあったところだ。
こうした中、9月7日に決まった会社法制の見直しに関する要綱には、新たなキャッシュ・アウトの手法として、特別支配株主の株式等売渡請求が盛り込まれた。これは、「総株主の議決権の90%以上」を有する特別支配株主は、株主全員に対し、所有する株式の全部を特別支配株主に売り渡すことを請求することができる制度(会社法制見直し要綱第2部・第2・1)。株主総会の特別決議等なしでキャッシュ・アウトを実現できるという点で、全部取得条項付種類株式の時間的・手続き的コストの問題もクリアしていると言える。
気になるのは税務上の取扱いだ。特別支配株主の株式等売渡請求は、金銭により少数株主の株式を取得するという点で、実質的には金銭を対価とする株式交換等と同じ効果を持つが、「株式等売渡請求」との言葉の通り、あくまで株主間取引に過ぎないため、全部取得条項付種類株式と同様、株主への課税のみで課税関係が終了することになる模様。課税面と手続き面の両方に優位性のある特別支配株主の株式等売渡請求は、会社法改正実現後は、全部取得条項付種類株式に代わる主要なキャッシュ・アウトの手法となる可能性があろう。
金銭交付の株式交換と同効果も、株主課税で課税関係終了
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ただ、このうち「金銭を対価とする株式交換」については、金銭を対価として子会社株式を取得することになるため「税制非適格株式交換」となり(法法2条十二の十六)、子会社の資産について時価課税が行われてしまうという問題がある。
一方、「全部取得条項付種類株式」を使ったキャッシュ・アウトでは、株主の対する課税(譲渡益課税、一定の場合にみなし配当課税)のみで課税関係が終了し、子会社の資産への時価課税といった問題は起こり得ないため、現状の実務ではこの全部取得条項付種類株式を活用してキャッシュ・アウトの方が通例だが、全部取得条項付種類株式を使う場合には株主総会の特別決議を要するなど、キャッシュ・アウトを完了するまでに時間的・手続き的コストが大きいとの指摘もあったところだ。
こうした中、9月7日に決まった会社法制の見直しに関する要綱には、新たなキャッシュ・アウトの手法として、特別支配株主の株式等売渡請求が盛り込まれた。これは、「総株主の議決権の90%以上」を有する特別支配株主は、株主全員に対し、所有する株式の全部を特別支配株主に売り渡すことを請求することができる制度(会社法制見直し要綱第2部・第2・1)。株主総会の特別決議等なしでキャッシュ・アウトを実現できるという点で、全部取得条項付種類株式の時間的・手続き的コストの問題もクリアしていると言える。
気になるのは税務上の取扱いだ。特別支配株主の株式等売渡請求は、金銭により少数株主の株式を取得するという点で、実質的には金銭を対価とする株式交換等と同じ効果を持つが、「株式等売渡請求」との言葉の通り、あくまで株主間取引に過ぎないため、全部取得条項付種類株式と同様、株主への課税のみで課税関係が終了することになる模様。課税面と手続き面の両方に優位性のある特別支配株主の株式等売渡請求は、会社法改正実現後は、全部取得条項付種類株式に代わる主要なキャッシュ・アウトの手法となる可能性があろう。
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