税務ニュース2013年05月20日 関与先の粉飾決算、税理士の責任は?(2013年5月20日号・№499) 原始資料からの仕訳は関与先が実施、税理士が精査する必要なしと判示
関与先の粉飾決算、税理士の責任は?
原始資料からの仕訳は関与先が実施、税理士が精査する必要なしと判示
本件では、関与先企業で行われていた不正経理(粉飾決算)について、税理士が不正経理を是正せずに税務申告手続きをしたことが、関与先企業と税理士との間で締結されていた業務委任契約に基づく善管注意義務に違反するか否かが問題となった。
関与先企業では、金融機関から融資を受けることなどを目的とした粉飾決算が9期に渡り行われており、これにより法人税約6,500万円が過大に納付されていた。
この不正経理について、関与先企業は、税理士は本件業務委任契約に基づき、原始資料と決算整理仕訳との整合性の確保や決算整理仕訳の精査といった、会社として通常行うであろうチェック作業を行う義務があったと訴訟において主張していた。
たとえば、関与先企業で行われていた粉飾の1つである「入金仮装(郵貯残高を2,000万円多く計上)による売上の水増し」について、関与先企業は、税理士は帳簿の記載と郵貯通帳の残高との間に齟齬があったにもかかわらず、これを修正するよう適切な助言や指導を行わなかった点に委任契約上の善管注意義務違反があるなどと指摘していた。
関与先企業の主張に対して、東京地裁は、本件委任業務契約では、原始資料からの仕訳は関与先企業が行うものとの合意が成立していたと認定した。
そのうえで、本件委任契約の業務に、原始資料から会計帳簿を作成する業務が含まれていたとはいえない点を踏まえると、税理士には仕訳データの基となった個別の取引の実在性、個別の資産や負債の実在性等を原始資料に当たって精査すべき義務はなかったと判断した。
関与先企業が行っていた粉飾の1つである「入金仮装(郵貯残高を2,000万円多く計上)による売上の水増し」については、税理士に個別の売上の実在性や郵貯残高を原始資料に当たって精査すべき義務はなく、決算期に経理担当者に残高の正確性を確認しているのであるから、顧問税理士がその異常さを認識できなかったとしてもやむを得ないと指摘している。
なお、本件は控訴され、現在東京高裁で係争中となっている。
原始資料からの仕訳は関与先が実施、税理士が精査する必要なしと判示
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関与先企業では、金融機関から融資を受けることなどを目的とした粉飾決算が9期に渡り行われており、これにより法人税約6,500万円が過大に納付されていた。
この不正経理について、関与先企業は、税理士は本件業務委任契約に基づき、原始資料と決算整理仕訳との整合性の確保や決算整理仕訳の精査といった、会社として通常行うであろうチェック作業を行う義務があったと訴訟において主張していた。
たとえば、関与先企業で行われていた粉飾の1つである「入金仮装(郵貯残高を2,000万円多く計上)による売上の水増し」について、関与先企業は、税理士は帳簿の記載と郵貯通帳の残高との間に齟齬があったにもかかわらず、これを修正するよう適切な助言や指導を行わなかった点に委任契約上の善管注意義務違反があるなどと指摘していた。
関与先企業の主張に対して、東京地裁は、本件委任業務契約では、原始資料からの仕訳は関与先企業が行うものとの合意が成立していたと認定した。
そのうえで、本件委任契約の業務に、原始資料から会計帳簿を作成する業務が含まれていたとはいえない点を踏まえると、税理士には仕訳データの基となった個別の取引の実在性、個別の資産や負債の実在性等を原始資料に当たって精査すべき義務はなかったと判断した。
関与先企業が行っていた粉飾の1つである「入金仮装(郵貯残高を2,000万円多く計上)による売上の水増し」については、税理士に個別の売上の実在性や郵貯残高を原始資料に当たって精査すべき義務はなく、決算期に経理担当者に残高の正確性を確認しているのであるから、顧問税理士がその異常さを認識できなかったとしてもやむを得ないと指摘している。
なお、本件は控訴され、現在東京高裁で係争中となっている。
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