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会計ニュース2003年09月15日 パーチェス法と持分プーリング法の適用の要否を簡単解説!(2003年8月25日号・№032) 企会審・企業結合会計の公開草案を公表

ニュース特集

平成18年4月1日以降開始事業年度から適用
企会審・企業結合会計の公開草案を公表

パーチェス法と持分プーリング法の適用の要否を簡単解説!

 企業会計審議会(会長:加古宜士早稲田大学教授)は8月1日、「企業結合に係る会計基準の設定に関する意見書」の公開草案を公表しました。それによると、パーチェス法を原則としつつも、一定の要件の下、持分プーリング法の適用も認めています。今回の特集では、どのような要件を満たす場合に、持分プーリング法を適用できるのかを中心にみていくことにします。なお、公開草案については、金融庁のホームページからダウンロード可能です(※金融庁では9月3日まで公開草案に関する意見を募集しています)。
http://www.fsa.go.jp/news/newsj/15/singi/f-20030801-4/02.pdf


原則はパーチェス法 
 企業結合会計には、主にパーチェス法とプーリング法の二つの会計処理があります。パーチェス法は、被結合企業から受入れる資産・負債の取得原価を、対価として交付する現金及び株式等の公正価値とする方法。持分プーリング法は、すべての結合当事企業の資産、負債及び資本の簿価を、それぞれの適切な帳簿価額で引き継ぐ方法です。
 国際的には、パーチェス法に一本化する方向ですが、現行では、ほとんどの企業が持分プーリング法を適用しているため、今回の公開草案では、パーチェス法を原則としつつも、一定の要件の下で持分プーリング法も認めています。以下、簡単にみてみましょう。
 公開草案では、一口に企業結合といっても「取得」と「持分の結合」とでは経済的実態が異なることから、「それぞれの実態に対応する適切な会計処理方法を適用する必要がある」とされています。つまり、「取得」であれば、「ある企業が他の企業の支配を獲得することとなるという経済的実態」に対応してパーチェス法により、また、「いずれの結合当事企業も他の結合当事企業に対する支配を獲得したとは合理的に判断できない」場合は「持分の結合」として持分プーリング法により会計処理をする案が提案されています。
 なお、パーチェス法による場合、のれんが生ずることになります。のれんとは、「被取得企業又は取得した事業の取得原価が、取得した資産及び引受けた負債に配分された純額を超過する額をいい、不足する額は負ののれんという」と定義されています。のれんについては、現行の「連結財務諸表原則」の考え方を踏襲し、20年以内で規則的に償却することになります(ことばのコンビニ参照)。


取得or持分の結合? 
 「取得」か「持分の結合」かの判定は「対価の種類」と「支配」の観点から持分の継続の有無を判断します。具体的には①対価の種類が議決権付普通株式であること、②結合後企業に対する各結合当事企業の株主の議決権比率がほぼ等しい、③議決権比率以外の支配関係を示す一定の事実が存在しないといった要件を全て満たせば、持分の継続があるとして「持分の結合」と判定され、持分プーリング法が適用されることになります(図1参照)。なお、前記③については、右にあるように、(イ)~(ニ)の要件に該当しないことが必要となります。
 ポイントは①→②→③の順で検討して、1つでもNoとなった場合には、次の要件の検討を待たずに「取得」、すなわちパーチェス法となります。
 また、逆取得(ことばのコンビニ参照)と機械的に判断されることを可及的に防ぐために、②の要件における議決権比率はプラスマイナス5の幅を持たせています。具体的には、吸収合併を前提にすると、実質的支配を加味した上で存続会社の株主が45%の議決権、消滅会社の株主が55%の議決権を有することとなった場合、機械的に50%基準で判断すると逆取得と判定されてしまうことを可及的に防ぐためです。
ジョイント・ベンチャーも対象 
 今回の公開草案では、合併や株式交換等のほか、ジョイント・ベンチャー(JV)についても対象としています。ジョイント・ベンチャーを「複数の独立した企業により共同支配される企業であって、いずれの企業も単独ではその支配を獲得しないもの」と定義。ジョイント・ベンチャーの形成を「持分の結合」として扱うことになります。ある企業結合をジョイント・ベンチャーの形成と判定するためには、前述の要件の①と③の要件を満たす必要があります(図2参照)。通常、ジョイント・ベンチャーの場合、契約等で共同支配であることが明らかであるため、②の要件である議決権比率による判定は行いません。

memo
(イ)いずれかの結合当時企業の役員若しくは従業員である者又はこれらであった者が、結合後企業の取締役会などの構成委員の過半数を占めている
(ロ)重要な財務及び営業の方針決定を支配する契約等により、いずれかの結合当事企業の株主が他の結合当事企業の株主より有利な立場にたっている
(ハ)結合後2年以内にいずれかの結合当事企業の大部分の事業を処分する予定がある
(ニ)結合の対価として交付する株式の交換比率が当該株式の時価に基づいて算定した交換比率と一定以上隔離し、多額のプレミアムが発生している



column実務上の指針は企業会計基準委員会で検討
今回の企業結合会計は、平成18年4月1日以降開始事業年度から適用されることになります。ただ、今回の意見書(案)だけでは実務の上で不十分な点もあります。このため、意見書(案)が決定された後、適用時期までに、関係府令の整備の他、①合併、株式交換・株式移転、会社分割、営業譲渡・譲受等、企業再編の形式ごとの連結財務諸表上及び個別財務諸表上の適用方法、②取得した事業用土地の時価の算定方法、③取得企業が存続会社と異なる企業結合(逆取得)について、パーチェス法を適用したときの影響額を注記する場合の注記項目などについて、企業会計基準委員会で検討されることになります。

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