税務ニュース2014年07月21日 非上場株の評価損で損金要件を満たさず(2014年7月21日号・№555) 東京地裁、回復可能性がない旨の判断を納税者が行ったとは認められず
非上場株の評価損で損金要件を満たさず
東京地裁、回復可能性がない旨の判断を納税者が行ったとは認められず
法人税法上、非上場株式の評価損を損金計上するためには、損金経理による帳簿価額の減額(損金算入要件1)、株式発行法人の1株当たりの純資産価額が取得時と比べ概ね50%以上下落(損金算入要件2)、事業年度終了時の価額が帳簿価額の概ね50%以上下落(損金算入要件3)、近い将来価額の回復の見込みがない(損金算入要件4)、という4つの要件をすべて満たす必要がある(法法33②、法令68①二号ロなど参照)。
東証一部上場企業である納税者は、当初の申告で本件非上場株式の評価損を会計上特別損失に計上する一方で、法人税確定申告では課税所得へ加算(自己否認)していた。
その後、納税者は、本件非上場株式の評価損は法人税法上の損金算入要件をすべて満たしていると判断。このとき、更正の請求の期限が経過していたため、減額更正を求める旨の嘆願書を数回に渡り、税務当局に対して提出した。
しかし、税務当局は、本件非上場株式の評価損は損金算入要件2、4を満たしていないなどと判断し、嘆願には応じられない旨を告知した。この告知を受け、納税者は、損金算入要件を満たしているにも関わらず減額更正に応じなかったとして、国に対して国家賠償請求訴訟を提起した。
訴訟において納税者は、本件非上場株式について、1株当たりの純資産額が取得時と比べ50%以上下落しているため、損金算入要件2を満たしていると主張。また、「金融商品会計に関する実務指針」に準拠して、帳簿価額の50%程度までの回復が見込めないと判断したのであり、損金算入要件4も満たしていると主張した。
この主張に対し東京地裁民事第39部の小野洋一裁判長は、会計指針では回復可能性が減損処理の除外事由として例外的な定めがされているため、会計上評価損を計上すべきとの判断がなされたからといって、回復可能性の判断がされたと直ちに認めることはできないと指摘。納税者が会計上の減損処理をした際に、回復可能性がない旨の判断を行ったと認定できる証拠もないため、本件非上場株式の評価損につき、損金算入要件4を満たしていると認めることはできないと判断した。
そのうえで、小野裁判長は、減額更正をすべき理由があるとは認められないとして、納税者の国家賠償請求を斥けた。
東京地裁、回復可能性がない旨の判断を納税者が行ったとは認められず
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東証一部上場企業である納税者は、当初の申告で本件非上場株式の評価損を会計上特別損失に計上する一方で、法人税確定申告では課税所得へ加算(自己否認)していた。
その後、納税者は、本件非上場株式の評価損は法人税法上の損金算入要件をすべて満たしていると判断。このとき、更正の請求の期限が経過していたため、減額更正を求める旨の嘆願書を数回に渡り、税務当局に対して提出した。
しかし、税務当局は、本件非上場株式の評価損は損金算入要件2、4を満たしていないなどと判断し、嘆願には応じられない旨を告知した。この告知を受け、納税者は、損金算入要件を満たしているにも関わらず減額更正に応じなかったとして、国に対して国家賠償請求訴訟を提起した。
訴訟において納税者は、本件非上場株式について、1株当たりの純資産額が取得時と比べ50%以上下落しているため、損金算入要件2を満たしていると主張。また、「金融商品会計に関する実務指針」に準拠して、帳簿価額の50%程度までの回復が見込めないと判断したのであり、損金算入要件4も満たしていると主張した。
この主張に対し東京地裁民事第39部の小野洋一裁判長は、会計指針では回復可能性が減損処理の除外事由として例外的な定めがされているため、会計上評価損を計上すべきとの判断がなされたからといって、回復可能性の判断がされたと直ちに認めることはできないと指摘。納税者が会計上の減損処理をした際に、回復可能性がない旨の判断を行ったと認定できる証拠もないため、本件非上場株式の評価損につき、損金算入要件4を満たしていると認めることはできないと判断した。
そのうえで、小野裁判長は、減額更正をすべき理由があるとは認められないとして、納税者の国家賠償請求を斥けた。
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