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会社法ニュース2015年02月09日 粉飾決算巡る監査法人の責任問題で判決(2015年2月9日号・№582) 東京地裁、監査基準に適合した監査を行った監査法人に故意過失なし

粉飾決算巡る監査法人の責任問題で判決
東京地裁、監査基準に適合した監査を行った監査法人に故意過失なし

ニイウスコー社の粉飾決算事件をめぐり、監査法人(会計監査人)の賠償責任が問題となった訴訟で判決(東京地裁平成26年12月25日)。
裁判所、監査基準に適合した監査を行った被告監査法人に故意・過失はなかったと認定。
被告監査法人は金商法所定の賠償責任を負わないと判断。
 東証一部に上場していたニイウスコー社の粉飾決算をめぐり、その粉飾の事実を知らずに同社株式を取得した原告株主が同社役員らの責任を追及していた訴訟では、粉飾を主導した代表取締役会長・同副会長、粉飾非関与の代表取締役社長に対し損害賠償を命じる判決が下される一方で、非常勤監査役の賠償責任については原告株主の請求を棄却する判決が下されている(本誌576号14頁、529号40頁参照)。
 本件は、ニイウスコー社の株式を購入した原告株主が、ニイウスコー社の会計監査人であった被告監査法人の損害賠償責任を追及した訴訟だ。原告株主は、被告監査法人はニイウスコー社の粉飾を容易に発見できたにもかかわらず、会計監査人としての監査義務を怠ったなどと主張して、被告監査法人に対し約2,600万円の損害賠償を請求した。対する被告監査法人は、会計監査人は監査実施時に適用される監査基準等に従って監査手続を実施したのであれば、監査証明に係る書類について記載が虚偽でないことを証明したことについて故意・過失はないと言うべきであると主張した。
 原告株主の訴えに対し裁判所は、まず、架空在庫の計上などニイウスコー社で粉飾決算が行われていた事実を認定。一方で裁判所は、①不適切取引による架空在庫の存在を露呈しないようにするための対策をニイウスコー社の従業員が行っていたこと、②被告監査法人は従業員への聴き取りなどにより滞留在庫の販売可能性を確認したうえで評価減の必要性の有無を判断し、実地調査を行っていたことなどを認定した。
 この認定事実を踏まえ裁判所は、被告監査法人は滞留在庫について十分な監査を行っており、架空在庫を発見できなかったとしてもやむを得ないことであったというべきであるから、被告監査法人には故意または過失がなかったと判断した。
 さらに、裁判所は、被告監査法人は監査基準に適合した監査を行った上、無限定適正意見等を表明したということができるため、本件有報等の記載が虚偽でないことを証明した点に故意または過失がなく、被告監査法人は金商法所定の損害賠償責任を負わないと結論付けた。

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