税務ニュース2015年10月19日 LPS法人該当性、デラウェア判決後の行方(2015年10月19日号・№614) バミューダやケイマンのLPSは「権利義務帰属主義」でも非法人の可能性

LPS法人該当性、デラウェア判決後の行方
バミューダやケイマンのLPSは「権利義務帰属主義」でも非法人の可能性

デラウェアのLPSを“権利義務帰属主義”に基づき「法人」と判断した最高裁判決受け、今後はバミューダやケイマンを設立地に選択する流れ。
最高裁判決と同日に、バミューダのLPSを“損益帰属主義”に基づき「法人に該当しない」とした高裁判決が確定も、今後は権利義務帰属主義により法人該当性が判断される可能性。
 本誌604号(40頁)でお伝えしたとおり、米国デラウェア州のLPSが法人に該当するかが争点となった裁判で、最高裁は権利義務帰属主義(外国事業体が“権利義務”の帰属主体であると認められるか否かを検討すること)に基づき、当該LPSは法人に該当するとの判決を下したところだ。そして、この最高裁判決と同日の7月17日、最高裁はバミューダのLPSの法人該当性を巡る裁判について、国の上告受理申立てを不受理とし、損益帰属主義(外国法令が規定するその設立、組織、運営及び管理等の内容に着目し、経済的、実質的に見て、法人と同様に“損益”の帰属すべき主体として設立が認められたものと言えるかどうかを検討すること)に基づき、当該LPSは法人に該当しないとの判断を示した高裁判決が確定している。
 デラウェアの最高裁判決を受け、今後は上記高裁判決が確定したバミューダや、過去に「LPS=組合」との判決が確定(最高裁 平成20年3月27日決定)しているケイマンでLPSを組成する動きが加速するものと予想されるが、その場合、バミューダやケイマンのLPSの法人該当性が、「権利義務帰属主義」「損益帰属主義」のいずれにより判断されるのかが気になるところだ。この点については、バミューダの事案では上告受理申立てが不受理となった一方、デラウェアの最高裁判決では権利義務帰属主義という判断基準が明確に示されている以上、今後は権利義務帰属主義に基づく執行が行われる可能性が高い。
 ただし、バミューダやケイマンのLPSを権利義務帰属主義により判断した場合、デラウェアの事案同様、法人に該当するのかと言えば、そうとは限らないだろう。そもそも、バミューダやケイマンの法律は英国法をベースとしており、デラウェアの事案とは背景が異なる。加えて、バミューダの事案の上告棄却がデラウェアの最高裁判決と同日で、しかも法廷が同じ第二小法廷となっていることからすると、最高裁が、バミューダのLPSを権利義務帰属主義によって判断したとしても高裁と同様の結論(法人に該当せず)になると考え、上告受理申立てを不受理とした可能性もありそうだ。

当ページの閲覧には、週刊T&Amasterの年間購読、
及び新日本法規WEB会員のご登録が必要です。

週刊T&Amaster 年間購読

お申し込み

新日本法規WEB会員

試読申し込みをいただくと、「【電子版】T&Amaster最新号1冊」と当データベースが2週間無料でお試しいただけます。

週刊T&Amaster無料試読申し込みはこちら

人気記事

人気商品

  • footer_購読者専用ダウンロードサービス
  • footer_法苑WEB
  • footer_裁判官検索