税務ニュース2015年12月07日 詐害的分割等による租税債務逃れに網(2015年12月7日号・№621) 28年改正、第二次納税義務の適用要件を緩和、承継会社への請求も可能に
詐害的分割等による租税債務逃れに網
28年改正、第二次納税義務の適用要件を緩和、承継会社への請求も可能に
従来、例えば債務超過に陥った会社が、会社分割により優良事業を切り出し、分割会社を解散させた場合、分割会社に残された債権者(残存債権者)は承継会社(新設会社)に債務の履行を請求することができなかった。そこで改正会社法(2015年5月1日施行)では、残存債権者の利益を害することを知って会社分割が行われた場合には、残存債権者は、承継会社(新設会社)に対して、債務の履行を請求できるとした(会社法759条④)。また、詐害的な事業譲渡についても、会社分割と同様の会社法改正が行われている(会社法23条の2)。
このように私債権の保護が図られる一方、「租税債権」については、現行国税徴収法上、依然として徴収が困難となっている。まず、詐害的会社分割が行われた場合には、承継会社に租税債権の納付を求めることはできない。そこで平成28年度税制改正では、「会社分割の無効の判決が確定した場合」には租税債権についても承継会社に納付を求めることができるよう、国税徴収法が改正される方向だ。
これに対し、詐害的な事業譲渡が行われた場合、現行国税徴収法には「事業を譲り受けた特殊関係者の第二次納税義務(国税徴収法38条)」という規定があり、事業の譲渡先が「納税者の親族」や「同族会社」等である場合には、譲渡先に(譲渡会社(=税金滞納者)に対する)租税債権の納付を求めることは理論上は可能。しかし同規定には、「その譲受人が同一とみられる場所において同一又は類似の事業を営んでいる場合」という適用要件が設けられており、例えば事務所が移転した場合には、譲受先に対して租税債権の納付を求めることはできなくなる。また、「譲受財産(取得財産を含む。)を限度として」との要件もあり、例えば売掛金が現金化された場合は、租税債権の納付を求めることはできない。
こうした中、平成28年度税制改正では、「同一とみられる場所」との要件を廃止するとともに、「譲受財産を限度」という文言を「譲受財産の価額を限度」とすることが検討されている。また、徴税の対象者を明確にするため、第二次納税義務の範囲を絞り込み、「特定同族会社(1株主グループのみが有する株式数が発行済株式の総数の50%超の会社)」や「生計を一にする親族」とする方向だ。
28年改正、第二次納税義務の適用要件を緩和、承継会社への請求も可能に
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このように私債権の保護が図られる一方、「租税債権」については、現行国税徴収法上、依然として徴収が困難となっている。まず、詐害的会社分割が行われた場合には、承継会社に租税債権の納付を求めることはできない。そこで平成28年度税制改正では、「会社分割の無効の判決が確定した場合」には租税債権についても承継会社に納付を求めることができるよう、国税徴収法が改正される方向だ。
これに対し、詐害的な事業譲渡が行われた場合、現行国税徴収法には「事業を譲り受けた特殊関係者の第二次納税義務(国税徴収法38条)」という規定があり、事業の譲渡先が「納税者の親族」や「同族会社」等である場合には、譲渡先に(譲渡会社(=税金滞納者)に対する)租税債権の納付を求めることは理論上は可能。しかし同規定には、「その譲受人が同一とみられる場所において同一又は類似の事業を営んでいる場合」という適用要件が設けられており、例えば事務所が移転した場合には、譲受先に対して租税債権の納付を求めることはできなくなる。また、「譲受財産(取得財産を含む。)を限度として」との要件もあり、例えば売掛金が現金化された場合は、租税債権の納付を求めることはできない。
こうした中、平成28年度税制改正では、「同一とみられる場所」との要件を廃止するとともに、「譲受財産を限度」という文言を「譲受財産の価額を限度」とすることが検討されている。また、徴税の対象者を明確にするため、第二次納税義務の範囲を絞り込み、「特定同族会社(1株主グループのみが有する株式数が発行済株式の総数の50%超の会社)」や「生計を一にする親族」とする方向だ。
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