会社法ニュース2016年04月04日 退職慰労金巡る総会決議取消しを認めず(2016年4月4日号・№637) 地裁、支給は会社の経営に重大な悪影響を及ぼすものとは認められず
退職慰労金巡る総会決議取消しを認めず
地裁、支給は会社の経営に重大な悪影響を及ぼすものとは認められず
会社法831条1項3号では、特別利害関係人が株主総会等で議決権を行使した結果著しく不当な決議がされたときは、訴訟によりその決議の取消しを請求することができる旨が規定されている。
本件は、原告株主が被告会社に対し、特別利害関係人(死亡退職慰労金の受贈者)である「原告株主の兄弟(以下「A」)」が議決権を行使したことにより、不当に高額な退職慰労金を支給する旨の総会決議が成立したと主張して、会社法831条1項3号に基づき総会決議の取消しを請求したものだ。
事実関係をみると、被告会社は、平成26年12月5日に本件株主総会を開催し、亡創業者(原告株主の父)に対する退職慰労金2,500万円をその相続人であるAおよび亡創業者の妻に1,250万円ずつ支給する旨の本件決議を行った。本件決議にあたり、原告株主(41.4%保有)はこれに反対したものの、退職慰労金の受贈者であるA(24.6%保有)および亡創業者の妻(34%保有)が賛成したため、本件決議は成立した。これに対し原告株主は、株主総会決議の取消しを請求する訴訟のなかで、本件決議に従うと被告会社の流動資産(約6,000万円)が42%失われるなど被告会社の財務状況に多大な影響を与えると指摘し、退職慰労金の額は過大であって本件決議は著しく不当であると主張していた。
裁判所は、被告会社は退職慰労金の支給額を税理士に相談し、法人税法上の相当性が認められる額の範囲を7,540万円(最終報酬月額×勤続年数×功績倍率)ないし1億260万6,526円(類似法人の1年あたりの退職給与×勤続年数)と算出したと認定。また、裁判所は、被告会社は退職慰労金の支給の原資とするために被告会社の代表取締役である創業者の妻に対して社債を発行し、同額の払い込みを受けていたことなどを認定した。これらの点などを踏まえ裁判所は、退職慰労金の額(2,500万円)が功績倍率法による算定額(7,540万円)の3分の1にすら満たないことに加え、被告会社の財務状況や社債の払込み状況等も考慮すれば、退職慰労金の額が過大なものであるとはいえず、経営に重大な悪影響を及ぼすものとは認められないと判断し、原告株主による総会決議の取消し請求を斥けた。
地裁、支給は会社の経営に重大な悪影響を及ぼすものとは認められず
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本件は、原告株主が被告会社に対し、特別利害関係人(死亡退職慰労金の受贈者)である「原告株主の兄弟(以下「A」)」が議決権を行使したことにより、不当に高額な退職慰労金を支給する旨の総会決議が成立したと主張して、会社法831条1項3号に基づき総会決議の取消しを請求したものだ。
事実関係をみると、被告会社は、平成26年12月5日に本件株主総会を開催し、亡創業者(原告株主の父)に対する退職慰労金2,500万円をその相続人であるAおよび亡創業者の妻に1,250万円ずつ支給する旨の本件決議を行った。本件決議にあたり、原告株主(41.4%保有)はこれに反対したものの、退職慰労金の受贈者であるA(24.6%保有)および亡創業者の妻(34%保有)が賛成したため、本件決議は成立した。これに対し原告株主は、株主総会決議の取消しを請求する訴訟のなかで、本件決議に従うと被告会社の流動資産(約6,000万円)が42%失われるなど被告会社の財務状況に多大な影響を与えると指摘し、退職慰労金の額は過大であって本件決議は著しく不当であると主張していた。
裁判所は、被告会社は退職慰労金の支給額を税理士に相談し、法人税法上の相当性が認められる額の範囲を7,540万円(最終報酬月額×勤続年数×功績倍率)ないし1億260万6,526円(類似法人の1年あたりの退職給与×勤続年数)と算出したと認定。また、裁判所は、被告会社は退職慰労金の支給の原資とするために被告会社の代表取締役である創業者の妻に対して社債を発行し、同額の払い込みを受けていたことなどを認定した。これらの点などを踏まえ裁判所は、退職慰労金の額(2,500万円)が功績倍率法による算定額(7,540万円)の3分の1にすら満たないことに加え、被告会社の財務状況や社債の払込み状況等も考慮すれば、退職慰労金の額が過大なものであるとはいえず、経営に重大な悪影響を及ぼすものとは認められないと判断し、原告株主による総会決議の取消し請求を斥けた。
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