税務ニュース2017年07月31日 RSU、株価高騰でも損金額は決議時価額(2017年7月31日号・№701) 交付時株価で算定する会計上のコストと大きな乖離も
RSU、株価高騰でも損金額は決議時価額
交付時株価で算定する会計上のコストと大きな乖離も
インセンティブ型報酬としてリストリクテッド・ストック(譲渡制限付株式報酬)を導入する企業が増えているが、リストリクテッド・ストックには、事前に株式を交付し一定期間の譲渡制限を課す「事前交付型」と、あらかじめ交付株式数を定めた上で一定の待機期間経過後に株式を交付する「事後交付型」がある。このうち「事前交付型」のリストリクテッド・ストックについては平成28年度税制改正により「事前確定届出給与」として損金算入する途が開かれたが、平成29年度税制改正では、事前確定届出給与の範囲に「所定の時期に確定した数の株式又は新株予約権を交付する旨の定めに基づいて支給する給与」が追加されたことにより、「事後交付型」のリストリクテッド・ストックであるリストリクテッド・ストック・ユニットも事前確定届出給与として損金算入することが可能とされたところだ(法法34条①二)。
リストリクテッド・ストック・ユニットでは、最初にユニット(単位)やポイントを付与し、一定の待期期間を経て株式を交付することになるが、ここで注意したいのは、「事後交付型」と言っても損金算入額はあくまで“事前”の株価に基づき算定するという点。法人税法施行令には、リストリクテッド・ストック・ユニットに係る損金算入額は「交付決議時価額」(交付した株式又は新株予約権のその定めをした日における1単位当たりの価額にその交付した数を乗じて計算した金額)とすることが明記されている(法令71条の3①)。
一方、会計上(日本基準)の費用は、「交付時」の株価に基づき算定される。このため、交付決議時から交付時までの株価の変動次第では法人税法上の損金算入額と会計上の費用に乖離が生じる。例えば交付決議時から株価が10倍となった場合であっても、損金算入は交付決議時価額までしか認められない。逆に言うと、株価が10分の1となった場合でも、交付決議時価額までは損金算入が認められることになる。
なお、IFRSでは、ユニット付与時の公正価値で費用を計算することになっているため、ユニット付与後の株価による費用の変動はない。日本基準よりもIFRSの方が法人税法と整合的であると言えよう。
交付時株価で算定する会計上のコストと大きな乖離も
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リストリクテッド・ストック・ユニットでは、最初にユニット(単位)やポイントを付与し、一定の待期期間を経て株式を交付することになるが、ここで注意したいのは、「事後交付型」と言っても損金算入額はあくまで“事前”の株価に基づき算定するという点。法人税法施行令には、リストリクテッド・ストック・ユニットに係る損金算入額は「交付決議時価額」(交付した株式又は新株予約権のその定めをした日における1単位当たりの価額にその交付した数を乗じて計算した金額)とすることが明記されている(法令71条の3①)。
一方、会計上(日本基準)の費用は、「交付時」の株価に基づき算定される。このため、交付決議時から交付時までの株価の変動次第では法人税法上の損金算入額と会計上の費用に乖離が生じる。例えば交付決議時から株価が10倍となった場合であっても、損金算入は交付決議時価額までしか認められない。逆に言うと、株価が10分の1となった場合でも、交付決議時価額までは損金算入が認められることになる。
なお、IFRSでは、ユニット付与時の公正価値で費用を計算することになっているため、ユニット付与後の株価による費用の変動はない。日本基準よりもIFRSの方が法人税法と整合的であると言えよう。
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