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税務ニュース2017年10月30日 所得の9割が配当も株式保有業にあらず(2017年10月30日号・№713) 最高裁、地域統括業務も株式保有業の一部とした高裁判決を否定

所得の9割が配当も株式保有業にあらず
最高裁、地域統括業務も株式保有業の一部とした高裁判決を否定

“第一次デンソー事件”の最高裁判決(10月24日)でデンソー勝訴。
地域統括業務も株式保有業の一部とした高裁判決を明確に否定。
「主たる事業」は「収入金額」「所得」「事業活動の状況」を総合的に勘案。所得の大部分が配当でも「主たる事業=株式保有業」とせず。
 本件は、シンガポールの地域統括会社の「主たる事業」は株式保有業であり、CFC税制の適用除外要件を満たしていないとして、デンソーが「平成20年・21年3月期」について法人税の更正処分(追徴税額約12億円(所得ベースで約114億円))を受けたもの。名古屋地裁でデンソーが勝訴(H26/9/4判決)した後、名古屋高裁では国が勝訴(H27/10/27判決)していた。
 本件で焦点の一つとなったのが、地域統括会社の所得金額に占める受取配当の割合の高さだ(2007事業年度は約92.3%、2008事業年度は約86.5%。収入金額は、2007事業年度、2008事業年度とも、約85%が「物流改善業務」によるもの)。この点に関し最高裁は、「主たる事業」が何であるかは、(1)特定外国子会社等におけるそれぞれの事業活動によって得られた収入金額又は所得金額、(2)事業活動に要する使用人の数、事務所、店舗、工場その他の固定施設の状況等――を“総合的に勘案”して判定するのが相当との考えを示している。
 高裁判決では、「株式発行会社を支配し管理するための業務」や「一定の地域内にある被支配会社を統括するための諸業務」も株式保有業の一部を成すとの考えが示されたが、これに対し最高裁は、これらの業務は「株主権の行使や株式の運用に関連する業務等とは異なる独自の目的、内容、機能等を有し、株式の保有に係る事業に包含されその一部を構成すると解するのは相当ではない」とし、高裁で示された株式保有業の考え方を明確に否定している。
 そのうえで最高裁は、本件の地域統括業務が相当の規模と実体を有していたことや、個々の業務について対価を得ていたこと、配当収入の中には地域統括業務によって原価率が低減した結果生じた利益が相当程度反映されていたことなどから、「受取配当の所得金額に占める割合が高い」ことを踏まえても、主たる事業は株式保有業ではないと結論付けている。
 なお、デンソーは「平成22年・23年3月期」(追徴税額61億円(所得ベースで約138億円))についても同じ内容で係争中だが、こちらは名古屋地裁(H28/10/19判決)・高裁(H29/10/18判決)ともデンソーが勝訴している。今回の最高裁判決を受け、高裁判決が確定することになろう。

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