税務ニュース2017年12月25日 借入金で賃貸物件購入の相続節税を否認(2017年12月25日号・№720) 評価通達の形式適用を審判所は認めず、総則6項により鑑定額で時価評価
借入金で賃貸物件購入の相続節税を否認
評価通達の形式適用を審判所は認めず、総則6項により鑑定額で時価評価
今回紹介する裁決事例の発端は、被相続人が銀行に相続税などの相談をしたことにある。銀行は、借入金により不動産を取得した場合の相続税の試算及び相続財産の圧縮効果を被相続人に説明した。これを受け被相続人は、銀行との間で借入金の目的が相続税の負担軽減を目的とした不動産購入の資金調達にあるとの認識を共有し、銀行からの借入金を原資として、1棟の土地付賃貸マンションを2件(以下「本件不動産」)購入した。なお、評価通達の定め(路線価等)による本件不動産の評価額は、取得価額及び不動産鑑定額の30%にも満たないもので、著しい価額の乖離があった。
相続人は、評価通達の定めによる本件不動産の評価額に加え、その他の約数億円を相続財産とする一方で、借入金などの債務控除を行うことで相続税額を圧縮する申告書を提出した。これに対し原処分庁は、評価通達の定めにより評価することが著しく不適当と認められるとして総則6項により本件不動産を不動産鑑定評価額(時価)により評価した価額により相続税の更正処分等を行った。これを不服とした相続人は、評価通達の定めによらないことが相当と認められる事情はないなどと主張し、審判所に対して更正処分等の取り消しを求めた。
審判所は、被相続人による本件不動産の取得から借入れまでの一連の行為について、被相続人が多額の借入金により不動産を取得することで相続税を免れることを認識したうえでその負担軽減を主たる目的として本件不動産を取得したものと推認されると認定。また、本件不動産の取得に係る借入金が本件不動産に係る評価通達に定める評価方法による評価額を著しく上回ることから、本件不動産以外の相続財産の価額からも控除されることとなり、相続人が本来負担すべき相続税を免れるものであるとした。そのうえで審判所は、被相続人による一連の行為はほかの納税者との間での租税負担の公平を著しく害し、相続税の目的に反するものであることなどから、評価通達によらないことが相当と認められる特別の事情があると認められると判断。ほかの合理的な時価の評価方法である不動産鑑定評価に基づいて評価することが相当であるとして、相続人の主張を斥けている。
評価通達の形式適用を審判所は認めず、総則6項により鑑定額で時価評価
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相続人は、評価通達の定めによる本件不動産の評価額に加え、その他の約数億円を相続財産とする一方で、借入金などの債務控除を行うことで相続税額を圧縮する申告書を提出した。これに対し原処分庁は、評価通達の定めにより評価することが著しく不適当と認められるとして総則6項により本件不動産を不動産鑑定評価額(時価)により評価した価額により相続税の更正処分等を行った。これを不服とした相続人は、評価通達の定めによらないことが相当と認められる事情はないなどと主張し、審判所に対して更正処分等の取り消しを求めた。
審判所は、被相続人による本件不動産の取得から借入れまでの一連の行為について、被相続人が多額の借入金により不動産を取得することで相続税を免れることを認識したうえでその負担軽減を主たる目的として本件不動産を取得したものと推認されると認定。また、本件不動産の取得に係る借入金が本件不動産に係る評価通達に定める評価方法による評価額を著しく上回ることから、本件不動産以外の相続財産の価額からも控除されることとなり、相続人が本来負担すべき相続税を免れるものであるとした。そのうえで審判所は、被相続人による一連の行為はほかの納税者との間での租税負担の公平を著しく害し、相続税の目的に反するものであることなどから、評価通達によらないことが相当と認められる特別の事情があると認められると判断。ほかの合理的な時価の評価方法である不動産鑑定評価に基づいて評価することが相当であるとして、相続人の主張を斥けている。
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