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解説記事2020年11月02日 未公開判決事例紹介 株式の非公開化手続を巡る株主総会決議取消請求事件(2020年11月2日号・№856)

未公開判決事例紹介
株式の非公開化手続を巡る株主総会決議取消請求事件
東京地裁、意思決定手続の公正性の担保措置あり

 本誌855号40頁で紹介した株主総会決議取消請求事件の判決について、仮名処理した上で紹介する。

○株主(原告)が上場会社であった被告の株式を非公開化するための株主総会決議の取消しを求めた裁判で、東京地方裁判所(吉岡正豊裁判官)は令和2年6月22日、株主の請求を斥ける判決を下した(平成31年(ワ)第10360号)。株主らは創業家取締役らが被告の立場において特別利害関係人として株式併合に係る株主らとの協議等に参加したことを前提として株主総会書類に虚偽の事実を記載したと主張するが、東京地裁は、被告においては株式併合に係る意思決定手続の公正性を担保する措置が取られており、創業家取締役らの協議等への関与の事実を認めるには足りないと判断した。

主  文

1 原告らの請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告らの負担とする。

事実及び理由

第1 請求
1 主位的請求

 被告の平成31年1月23日開催の臨時株主総会において、承認決議された別紙決議一覧1及び2の決議を取り消す。
2 予備的請求
 被告の平成31年1月23日開催の臨時株主総会において、承認決議された別紙決議一覧1及び2の決議が無効であることを確認する。
第2 事案の概要
 本件は、被告の株主である原告らが、被告の平成31年1月23日付けの臨時株主総会(以下「本件株主総会」という。)における別紙決議一覧記載の1及び2の決議(以下「本件各株主総会決議」という。)について、主位的に取消しを求めるとともに、予備的にこれらが無効であることの確認を求める事案である。
1 前提事実(後掲各証拠及び弁論の全趣旨により認められる事実のほかは当事者間に争いがない。)
(1)ア 被告は、昭和25年に○○株式会社として設立された後、商号変更された、家庭用家具の製造販売等を目的とする、発行済株式総数75株、資本金額38億8750万円の株式会社であり、平成25年7月頃から平成31年2月12日までの間、株式会社東京証券取引所が開設するJASDAQスタンダード市場にその株式を上場していた。被告は、その事業として家具商品部門事業と不動産賃貸部門事業を主な事業としていた(甲1)。
イ 原告らは、本件株主総会に係る招集通知が株主に対して発せられた平成31年1月8日時点において、いずれも被告の株主であった(甲1)。
ウ 平成31年1月8日時点における、被告の主要株主は、株式会社H、株式会社I、株式会社J及び株式会社Kの4社であり(以下、これら4社を合わせて「本件株主ら」という。)、その保有する被告株式数は、株式会社Hが224万2920株(自己株式を除く発行済株式総数に対する保有株式の割合は63.4%)、株式会社Iが43万1280株(同12.2%)、株式会社Jが42万9000株(同12.1%)及び株式会社Kが20万0200株(同5.7%)であった(甲1)。
エ 平成30年6月12日から平成31年1月23日までの間の被告の代表取締役は、A(以下「被告代表者」という。)であり、取締役は、被告代表者以外にB、C、D、E、F及びG(以下「G取締役」という。)の6名である(甲1、甲6の1及び2)。
  被告代表者は、株式会社Hの発行済株式総数の全てを保有しており、Bは株式会社Iの取締役を、Cは株式会社Kの取締役を、Dは株式会社Jの取締役を、Eは株式会社Iの代表取締役を、Fは株式会社Jの代表取締役を兼任している(甲1)。
(2)ア 被告においては、平成30年3月頃、家具・インテリア業界における個人消費の低迷や被告の所有する賃貸不動産に係る規制などを原因として、家具商品部門事業及び不動産賃貸部門事業の双方が厳しい経営状況にあり、被告の経営状況が将来的に堅調に推移するとはいい難い状況にあった。
  本件株主らは、かかる被告の経営状況の見通しに鑑みて、被告の営業活動を強化して経営の効率化を図り、業績の回復及び収益の向上を図ることを目的に、家具商品部門事業において被告の取り扱っていない新規分野への投資を行いつつ営業拠点の増設及び被告のブランディングのための投資を行うとともに、不動産賃貸部門事業において次世代を担う人材を育成し、新たな収益物件を取得するなどの施策を実施することとした。そして、本件株主らは、これら施策を実施するためには、被告において中長期的な視点に立った上で機動的かつ柔軟な意思決定を可能とする経営体制を構築し、被告が一丸となって事業の拡大と経営基盤の強化を行う必要があると考え、被告の非上場化及び非公開化につき検討を始め、同年8月10日、被告に対し、本件株主ら以外の株主が保有する株式数を1株に満たない端数とする併合比率により被告の普通株式を併合する株式併合の実施に向けた協議を申し入れた(乙1)。
イ 被告は、上記アのとおり、本件株主らから協議の申入れがなされたことを受け、第三者委員会を設置するとともにリーガル・アドバイザーを選任するなどして、上記アの株式併合等に関する検討を進め、平成30年11月30日、本件株主らとの間で、本件株式併合の承認議案を諮る被告株主総会において本件株主らが賛成の議決権行使を行うこと及び本件株主らが上記株式併合の効力発生までの間、被告株式につき売買しないことなどにつき合意した(乙1)。
(3)被告は、平成30年11月30日、取締役会を開催し(以下「本件取締役会」という。)、G取締役の賛成により、本件株式併合の承認及び本件株式併合に伴う単元株式数の定めの廃止に係る定款変更を目的とする臨時株主総会を招集する決議がされた(以下「本件取締役会決議①」という。)。被告の取締役会は、本件取締役会決議①がG取締役のみによってなされたことから、特別の利害関係を有する取締役の範囲の解釈により、後に同決議が取締役会の定足数を充足しないと判断されるおそれがあると考え、本件取締役会決議①がされた直後に、G取締役並びにB、C、D、E及びFの6名の取締役により、上記臨時株主総会の招集につき再度決議を経た(以下「本件取締役会決議②」といい、本件取締役会決議①と本件取締役会決議②を合わせて「本件取締役会決議」という。甲1、乙1)。
(4)ア 被告は、平成31年1月23日、本件株主総会を開催し、本件株主総会において、次の(ア)ないし(エ)の内容による被告株式の併合(以下「本件株式併合」という。)の承認議案及び普通株式の単元株式数の定めを廃止することに係る定款変更の議案のそれぞれが可決された。
  本件株主総会に係る招集通知添付の株主総会参考書類(以下「本件株主総会参考書類」という。)には、被告が本件株式併合を株主総会に付議するに至った意思決定過程及び理由等に関し、被告代表者、B、C、D、E及びF(以下、これら6名の、G取締役を除く被告取締役らを合わせて「本件創業家取締役ら」ということがある。)が「本株式併合に関して当社と構造的な利益相反状態にあるため、特別利害関係人として、当該取締役会における審議及び決議には一切参加しておらず、また、当社の立場において親会社等との協議及び交渉にも一切参加しておりません。」との記載がある(甲1)。
(ア)効力発生日 平成31年2月15日
(イ)併合する株式の種類 普通株式
(ウ)併合の割合 4万9842株を1株に併合
(エ)効力発生日における発行可能株式総数 229株
イ 平成31年2月15日、本件株式併合の効力が生じた結果、被告の発行済株式総数は75株となり、その株主は本件株主ら及び原告Xのみとなり、原告Yを含むこれらの者以外の株主は、1株に満たない端数株式の保有者となった(甲1)。
  なお、本件株式併合に伴い、被告株式は東京証券取引所の上場廃止基準に該当することとなり、同株式は同月12日をもって上場廃止となった(甲2、弁論の全趣旨)。
(5)原告らは、平成31年4月22日、本件訴えを提起した。
(6)被告の定款第22条には、取締役会の決議は取締役の過半数が出席し、その過半数をもっておこなう旨定められている(弁論の全趣旨)。
2 争点及び争点に関する当事者の主張
(1)本件各株主総会決議の取消し及び無効事由の有無
(原告らの主張)

 本件各株主総会決議には、下記の取消し及び無効事由が認められる。
ア 被告は、本件創業家取締役らが、特別の利害関係を有しつつ、被告の立場において本件株式併合に関する本件株主らとの協議ないし交渉に参加したにもかかわらず、本件株主総会参考書類に、本件創業家取締役らが本件株主らとの上記協議等に被告の立場において一切参加していないとの虚偽の事実を記載した(以下「本件事由①」という。)。
イ 本件取締役会決議①は、G取締役一人によって可決されたものであるところ、G取締役は平成14年6月に被告の取締役に就任して以来、社長室長兼総務部長に就任しており、本件株式併合の承認等に係る臨時株主総会の招集決議について特別の利害関係を有する者に当たるというべきであるから、その決議には瑕疵がある(以下「本件事由②」という。)。
ウ 本件取締役会決議は、被告の取締役の過半数が出席していない本件取締役会において決議されたものであり、被告定款22条及び会社法369条に違反したものである(以下「本件事由③」という。)。
エ 被告は、本件株式併合に係る会社法施行規則第33条の9所定の事前開示事項において、被告において、平成30年3月期末以後、重要な財産の処分及び重大な債務の負担その他の会社財産に重要な影響を与える事象が生じていたにもかかわらず、これらにつき該当事項なしとの虚偽の記載を行った(以下「本件事由④」という。)。
(被告の主張)
ア 本件株主総会参考書類に虚偽の記載がされたことを否認する。
  本件株式併合を行うに際し、本件株式併合の手続的公正性を担保する上で、本件創業家取締役らが本件株式併合等に関する被告内部における検討及び被告・本件株主ら間の協議・交渉の過程から排除されることは、重要な要素になると被告において認識されていた。そのため、本件創業家取締役らは、本件株式併合に係る上記協議・交渉及び本件取締役会における審議及び決議に一切関与することはなかった。
イ 会社法369条2項所定の「特別の利害関係」とは、当該決議について、会社に対する忠実義務を誠実に履行することが定型的に困難と認められる個人的利害関係ないし会社外の利害関係を意味するところ、本件株式併合は、被告の株主を本件株主らのみとして被告を非公開化することを目的とするものであるから、本件取締役会決議について、G取締役は上記特別の利害関係を有していない。
ウ 本件事由④は、本件訴訟の第1回口頭弁論前に、本件各株主総会決議の日から3か月経過後に追加主張されたものであるところ、瑕疵ある決議の効力を早期に明確にさせるためとの会社法831条1項柱書前段の趣旨からすれば、原告らがかかる追加主張をすることは許されない。
エ 原告は、本件創業家取締役らが本件取締役会決議に関し特別の利害関係を有することを前提として、本件各株主総会決議の招集手続の瑕疵を主張するものと解し得るところ、仮に、本件創業家取締役らが上記特別の利害関係を有すると解しても、本件創業家取締役らを除く唯一の取締役であるG取締役によって可決された本件取締役会決議①は、定足数を満たしているから、本件各株主総会決議の招集手続に、原告主張の法令・定款違反は認められない。
オ 株主総会決議の無効事由となるのは、決議の内容そのものが法令に違反する場合(会社法830条2項)であるところ、原告らの主張する事由は、いずれも本件株主総会の招集手続が法令・定款に違反する旨を主張するものであって、いずれも株主総会決議の無効事由には当たらない。
第3 当裁判所の判断
1 前提事実に加え、証拠(後記認定事実末尾の証拠)及び弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる。

(1)被告は、本件株式併合の実施及び本件株式併合の諸条件等の決定手続における公正性を担保するため、リーガル・アドバイザーとして弁護士事務所であるM法律事務所を選任して被告の取締役会の意思決定の方法及び過程等について法的助言を受けつつ、平成30年9月6日に被告及び本件株主らから独立した外部の有識者を構成員とする第三者委員会(以下「本件第三者委員会」という。)を設置し、本件第三者委員会に対し、本件創業家取締役らが本件株式併合に利害関係を有していることを前提に、本件株式併合の諸条件等に関し本件株主らと交渉する権限を与えるとともに、被告及び本件株主らから独立した第三者算定機関を選任する権限を与えた(乙1)。
  また、被告がZ証券株式会社、本件第三者委員会が株式会社P・コンサルティングをそれぞれ第三者算定機関として選任し、被告株式について株式価値算定書を取得した上で、被告と本件株主らとの間で本件株式併合に関する協議が進められた(乙1)。
(2)本件第三者委員会が平成30年11月29日付けで被告に提出した最終の答申書(以下「本件第三者委員会答申書」という。)には、本件株主総会参考書類における記載(前提事実(4)ア)と同様に、本件創業家取締役らが本件株式併合に関する被告の取締役会における審議及び決議に一切参加しておらず、被告の立場において本件株主らとの協議及び交渉にも一切参加していない旨記載されるとともに、被告と本件株主ら間の本件株式併合に係る交渉について、当該交渉を通じて本件株式併合の結果生じる端数株式の取得対価が本件株主らの提案価額から引き上げられるなど、被告の少数株主の利益を念頭にした適切な交渉内容であった旨が記載されている。
  そして、同答申書は、本件株式併合に係る取引の手続が上記のとおり少数株主に十分な配慮がなされた公正なものであると認めるとともに、本件株主らと協議中の本件株式併合の諸条件等(株式併合の結果生じる端数株式の取得対価を株式併合前の1株当たり価額を含む。)が合理的な内容として定められ、本件株式併合による被告株式の非公開化が少数株主にとって不利益なものではないなどとして、被告の取締役会が本件株式併合に係る取引に賛同し、本件株式併合等の議案を本件株主総会の目的事項として提案する旨の決議を行うことが妥当であるとの結論が導かれている(乙1)。
(3)被告の取締役会は、本件第三者委員会答申書において上記(2)の意見が述べられたことを受け、平成30年11月30日、本件株式併合の実施につき被告の株主総会に付議することを決議し、同日、これを公表した(甲2、乙1)。
2 本件各株主総会決議の取消事由の有無について
(1)本件事由①について

 原告らは、本件創業家取締役らが被告の立場において特別利害関係人として本件株式併合に係る本件株主らとの協議ないし交渉に参加したことを前提として、被告が本件株主総会参考書類に虚偽の事実を記載した旨主張するが、①原告らは、本件創業家取締役らが被告の立場において上記協議ないし交渉に参加したことを窺わせる事情につき、何ら主張していないばかりか、②(ア)被告が、本件株式併合の実施に向けた協議を本件株主らから申し入れられた後に、本件株式併合の実施及び本件株式併合の諸条件等の決定手続における公正性を担保するため、リーガル・アドバイザーとして弁護士事務所であるM法律事務所を選任して被告の取締役会の意思決定の方法及び過程等について法的助言を受けつつ、本件株主らとの上記協議ないし交渉に臨んでいること(前提事実(2)イ、認定事実(1))及び(イ)被告が被告及び本件株主らから独立した外部の有識者を構成員とする本件第三者委員会を設置して、本件創業家取締役らが本件株式併合について利害関係を有することを前提として、同委員会に対し、意見陳述のみならず本件株主らと交渉する権限をも付与し(認定事実(1)、同(2))、本件第三者委員会答申書記載の意見を受けて、本件取締役会において、本件株式併合を本件株主総会に付議することを決議していること(認定事実(3))に照らせば、被告においては、本件株式併合に係る意思決定手続の公正性を担保するための措置が取られているというべきであって、かかる事実からすれば、被告が本件株式併合の実施及び本件株式併合の諸条件等の決定手続における公正性を担保することの意思を明確に有していたことを認定し得るのであり、さらに、③上記の通り、被告及び本件株主らから独立し、かつ、強い権限を付与された本件第三者委員会答申書において、本件株式併合に係る交渉過程について、交渉を通じて本件株式併合の結果生じる端数株式の取得対価が本件株主らの提案価額から引き上げられるなど、被告の少数株主の利益を念頭にした適切な交渉内容であった旨記載されており、当該交渉において、本件創業家取締役らが被告の立場において関与し、不当な交渉を行ったとの意見を述べていないことなどを合わせ考慮すれば、原告らの主張の前提となった、上記本件創業家取締役らの上記交渉への関与の事実を認めるには足りないというほかない。
(2)本件事由②について
 原告らは、G取締役が平成14年6月に被告の取締役に就任して以来、社長室長兼総務部長の地位にあることをもって、同人が本件株式併合の承認等に係る臨時株主総会の招集決議について特別の利害関係を有すると主張するが、取締役が会社法423条1項等により会社等に対し損害賠償義務を負う旨が規定されていることなどに照らせば、G取締役が上記地位にあったとしても、そのことから直ちに、G取締役において、被告に対して負担する忠実義務に従って上記決議について公正に議決権を行使することが期待できないということはできない。
 また、他に、本件全証拠によっても、G取締役が上記決議について特別の利害関係を有することを窺わせる事情は認められないから、原告らの上記主張を採用することはできない。
(3)本件事由③について
 本件事由③に係る原告らの主張は、本件創業家取締役らが本件株式併合に関し特別の利害関係を有することを前提として、本件取締役会決議①の定足数につき法令・定款違反を問題とするものと解されるところ、会社法369条1項は、株式会社の取締役会の定足数として、「議決に加わることができる取締役の過半数」と定め、同条2項は、「特別の利害関係を有する取締役は、議決に加わることができない。」旨定めているのであるから、株式会社の取締役会においては、特別の利害関係を有する取締役を除いた残りの取締役会の総数の過半数の者が出席している以上、特別の利害関係を有しない取締役1名のみを定足数算定の基礎として、特別の利害関係を有しない取締役1名のみにより有効に決議をなし得るとの法の定めがされているものと解される。そうすると、被告定款22条に上記会社法の定めと異なる規定が置かれていない被告の取締役会においては(前提事実(6))、G取締役1名のみによって決議がなされたとしても、そのことをもって当該決議が被告定款22条及び会社法369条に違反するということはできない。
 なお、原告らの主張は、本件創業家取締役らが本件株式併合について特別の利害関係を有しないことを前提として、本件取締役会決議①が法令・定款に違反することを主張するものと解し得る余地もないとはいえないところ、本件取締役会においては、本件取締役会決議①がされた直後に、被告代表者を除く取締役全員により別紙決議一覧1及び2に係る議案を株主総会に付議することを内容とした、本件取締役会決議①と同一の内容の本件取締役会決議②が経られているから(前提事実(3))、いずれにしても、本件各株主総会決議に関し、これら各決議に係る議案を株主総会に付議する取締役会決議につき定足数を欠くとの原告らの主張は、これを採用することができない。
(4)本件事由④について
 株主総会決議取消しの訴えを提起した後、会社法831条1項所定の期間経過後に新たな取消事由を追加主張することは許されないと解されるところ(最高裁昭和51年12月24日第二小法廷判決・民集30巻11号1076頁参照)、本件事由④は、令和元年5月16日に原告により提出された「訴状訂正申立書2」と題する書面において初めて記載され、その後、第1回口頭弁論において主張されたものであることは訴訟上明らかであって、同事由に係る原告の主張が本件訴えの提訴期間経過後になされたというべきであるから、原告らが同主張をすることは許されない。
3 本件各株主総会決議の無効事由の有無について
 本件事由(①ないし④は、いずれも本件株主総会の招集の手続又は決議の方法の瑕疵に係る主張であって、本件各株主総会決議の内容の法令違反(会社法830条2項)をいうものではないから、本件各株主総会決議の無効事由とは解し得ない。
 よって、本件各株主総会決議の無効主張に係る原告の請求は理由がない。
4 小括
 以上によれば、本件各株主総会決議に取消し及び無効事由を認めることはできないから、原告らの請求には理由がない。
第4 結論
 よって、原告らの請求を棄却することとして、主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第8部
         裁判官 吉岡正豊

(別紙)
      決議一覧
1 第1号議案 (株式併合の件)
 次の内容で被告株式を併合することを承認すること
(1)効力発生日   平成31年2月15日
(2)併合する株式の種類   普通株式
(3)併合の割合   4万9842株を1株に併合
(4)効力発生日における発行可能株式総数  229株
2 第2号議案 (定款の一部変更の件)
 第1号議案が可決されることを条件とし、平成31年2月15日を効力発生日として、発行可能株式総数を229株とするとともに、単元株制度を廃止する旨の定款の一部変更を承認すること

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