税務ニュース2020年11月06日 「生前に合意解除あった」との主張排斥(2020年11月9日号・№857) 東京地裁 確認書・事情説明書の記載は仮装に該当と判断、重加算税容認
本件は、被相続人がデベロッパーとの間での土地の売買契約中に相続が開始した事案である(契約締結日は平成26年5月29日、被相続人の相続開始日は同年10月2日)。原告(相続人)らは、売買契約が解除されている状況にあるとして、土地のみを課税対象として相続税を申告したところ、課税庁は本件売買契約に係る売買残代金請求権を課税対象として更正処分を行った。
当該処分を不服とした原告は提訴し、「本件区画整理事業の進捗にかなりの遅れが生じ、被相続人とデベロッパーが策定した等価交換方式による分譲マンション建設事業計画自体の進捗が著しく遅れることが予想され、当該計画を見直す必要が生じるに至っていることなどから、本件売買契約等は、本件相続が開始する以前において既に解除されたものである」などと主張。
これに対し東京地裁は、売買契約等の締結及びその履行状況など本件の前提事実を踏まえ、「本件被相続人による本件売買契約等の合意解除の申入れがあったと認めることはできず、本件売買契約等は、本件確認書が締結された平成26年12月1日に、本件相続人らとデベロッパーとの間で合意されたものと認めるのが相当である。」、「本件相続における課税財産は、本件土地ではなく、本件売買契約に係る売買残代金請求権である。」と判示、原告の主張を斥けている。
本件相続税の申告には、上記確認書のほか、相続人ら作成の事情説明書が添付されており、被相続人が生前(平成26年9月21日)に本件売買契約等の解除意志を原告Aに伝え、同月25日、原告Aと仲介業者がデベロッパーとの話し合いを行い、契約解除する旨を表明していたとされる。しかしこの点についても東京地裁は、「本件確認書及び本件事情説明書の各記載は、事実に反するものといわざるを得ない。」、「本件相続に係る課税財産が本件土地であることを仮装したもの」との判断を示し、相続人らへの重加算税の賦課は相当とした。
原告らは上記のほか、本件事案について原告らが所轄税務署に相談をしていた経緯から、売買残代金請求権を課税対象としたことや重加算税の賦課決定をしたことは信義則に反するとも主張したが、この主張も「信義則に反するとはいえない。」として斥けられている。
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