税務ニュース2020年11月20日 子会社株式等の購入手数料は共通対応(2020年11月23日号・№859) “仕入れの時点における目的”で個別対応方式の用途区分を判定
周知の通り、現在係争中のマンション販売事業者の仕入税額控除を巡る裁判では、販売目的で行った建物の購入のうち、購入時に住宅用として賃貸されている建物の取得に係る課税仕入れについては、販売目的として「課税売上対応」と区分すべきか、非課税売上げである住宅の賃料収入をも目的としているとして「共通対応」と区分すべきなのかという点が争われている。
地裁判決では、1件は「共通対応」と主張した国側が勝訴、もう1件は「課税売上対応」と主張した納税者が勝訴と結論が分かれたが、いずれの判決でも、用途区分は“仕入れの時点における目的”で判断すべきとの解釈が示されている(849号4頁)。
国内における有価証券の取得に要する購入手数料は、一般的には、「非課税売上対応」に区分されるが、これらの判決を踏まえ、業務提携や子会社化など組織再編等のために取得する有価証券を保有する企業の間では、その購入手数料について、仕入れの時点における目的で判断すると、将来における譲渡を目的とせず“保有”し続けるのであるから、「共通対応」と区分すべきなのではないかとの声が挙がっている。
一方、“保有”目的の有価証券であっても「非課税売上対応」に区分すべきとの意見も聞かれる。国税庁HPの質疑応答事例等で公表されている情報は、売買目的有価証券を前提とした取扱いについてのもののみと考えられ、取得の目的によって区分した取扱いを明確に示したものはないため、課税当局の明確な見解を求める声が当編集部にも寄せられていた。
本誌が課税当局に確認したところによると、企業支配等、“保有”が目的である場合は、非課税売上げにのみ要するものとは言えず、また、課税売上げにのみ要するものとも言えないため、「共通対応」に区分されるとのことだ。その際には、有価証券の取得の目的が、株主向けのIR情報や、稟議書等で明確にされているなど、客観的に説明できる状態にあることが重要とのことなので、開示面への配慮も求められる。
現在のところ課税当局から公表されている情報はないが、納税者等から同様の問い合わせを受けた場合には、統一的に上記のとおり回答するようにしているとのことだ。
課税当局の見解は、マンション販売事業者の裁判の判決における「用途区分は“仕入れの時点における目的”で判断すべき」という裁判所の判断とも整合性が取れたものと考えてよいだろう。
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