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会計ニュース2020年12月04日 財務諸表に重要な虚偽表示のリスクあり(2020年12月7日号・№861) 最高裁、上場会社監査事務所名簿の開示差止請求で原審に差戻し

  • 日本公認会計士協会による上場会社監査事務所名簿への登録が認められなかったことが同協会のホームページに開示されることは名誉棄損等に該当するとして公認会計士らが開示の差止めを求めた裁判。
  • 最高裁第二小法廷は令和2年11月27日、公認会計士の主張を認めた原審の判断には法令違反があるとして原審に差し戻す判決。

 本件は、公認会計士ら(被上告人)が日本公認会計士協会(上告人)の品質管理委員会に対し、上場会社監査事務所名簿への登録を申請したところ、同委員会から登録を認めない旨の決定を受けたため、本件決定が同協会のホームページで開示されると公認会計士らの名誉等が毀損されるなどと主張し、開示の差止めを求めた事案である。
 原審の東京高裁では、品質管理委員会の登録を認めないとの決定は公認会計士らに基準不適合事実に該当する事実がないにもかかわらずしたものであるとして、公認会計士らの開示の差止請求を認容した。
 しかし、最高裁(草野耕一裁判長)は、公認会計士らが監査を実施した会社(グローバルアジアホールディングス(平成27年9月12日上場廃止))は連続して営業損失を計上するなど財政的安定性や収益性に問題がある状態にあり、かつ、1億円程度に上る多額の現金を保有することが常態化していたが、公認会計士らは当該会社が現金の所在を明らかにしなかったために現金実査を行うことができなかったことからすると、これらの事象は不正な財務報告若しくは資産の流用につながり得るものといえ、監査において財務諸表における重要な虚偽表示のリスクを識別すべき要因に当たることが明らかなものであったとした。その上で最高裁は、監査人は重要な虚偽表示のリスクが高く、かつ、現金等に関して特別な検討を必要とするリスクがあると評価し、監査意見を形成するに足りる十分かつ適切な監査証拠を入手するために、現金等に関するリスクに個別に対応した実証手続を実施するとともに、内部統制の整備状況を調査し、その運用状況の評価を実施することが求められていたとの見解を示した。この点について検討することなく、公認会計士らに基準不適合事実に該当する事実があるとはいえないとした原審の判断には法令違反があるとして、原審に差し戻した。
 なお、同判決には3人の裁判官の補足意見が付されている。例えば、三浦守裁判官は、品質管理委員会の決定は専門性、独立性を踏まえた知見に基づく判断として、その合理的な裁量が尊重されるべきものと解されるとした。

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