税務ニュース2020年12月25日 国外不動産の組合契約を形式不備で否認(2020年12月28日号・№864) 東京高裁 登記名義と異なる持分割合認めず、相続税の更正処分を支持
本件は、被相続人が「業務執行者」として組合契約に基づき保有していた米国不動産に係る相続税について争われた事案である。相続人(控訴人)は、①米国所在の不動産の本件被相続人の持分割合に誤りがある(主位的主張)、②仮に本件米国不動産の本件被相続人の持分割合に誤りがないのであれば、被相続人以外の組合員は本件米国不動産を組合財産として取得するために取得費を負担しているにもかかわらず、本件被相続人がそれを個人的に費消したことになるから、本件被相続人は、被相続人以外の組合員に対して取得費相当額を返還すべき債務を負うところ、当該債務を債務控除していない誤りがある(予備的主張)、として本件各更正処分等の取消しを求めた。
また、控訴人らは、「本件組合契約には、外国における不動産の売買、賃貸借、開発等が目的として掲げられ、本件組合契約締結の前後において、米国の本件被相続人名義の口座等へ合計10億円を超える資金が送金されて実際に本件米国不動産が購入され、本件組合員らは昭和63年以降20年以上にわたって本件米国不動産に係る賃貸収入や購入のための借入金の利息の支払等に係る損益を各自の所得税の確定申告に取り込んできた事実が存在しており、この事実からすれば、本件米国不動産は本件組合の組合財産として、本件組合員らの共有と認定されるべきである。」などとの主張を展開した。
これに対し東京高裁は、「本件組合契約には、出資割合や出資方法についての具体的な定めはなく、本件米国不動産について本件組合員らの具体的な持分割合を裏付ける客観的な証拠は見当たらないし、その購入費用が本件組合財産から直接支出されたと認めるに足りる適確な証拠もない。」、「本件米国不動産を取得する都度本件組合員らは当該不動産の持分割合を合意していたとの控訴人らの主張は採用できない。」、「(米国口座への)送金が本件米国不動産の取得ないし維持管理のために支出されたとしても、そのことから本件米国不動産の所有者や、本件組合員らの具体的な持分割合が直ちに導かれるわけではない。」などと判示し、控訴人らの主張を斥けている。
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