税務ニュース2021年01月08日 令和3年改正で電子帳簿に2カテゴリー(2021年1月11日号・№865) 「優良な電子帳簿」と「電子“的”な帳簿」、それぞれのメリットは
令和3年度税制改正では、電子帳簿について、現行の電子帳簿保存要件(①訂正等の履歴が残ること(訂正履歴確保要件)、②帳簿間で相互関連性があること、③検索機能があること)を不要とする「一般」カテゴリーと、現行要件を満たす「優良」カテゴリーが設けられるとともに、後者には過少申告加算税を5%軽減(通常課される過少申告加算税の額から当該申告漏れに係る所得税、法人税又は消費税の5%に相当する金額を控除)する措置が講じられる。
本改正を巡っては、上記①の訂正履歴確保要件を満たさない場合でも電子保存が可能になる点について大手会計システム会社が異議を唱え、税制改正大綱とりまとめ直前まで混乱が生じたのは既報の通りだ(本誌862号10頁参照)。その背景には、「トレーサビリティ」という自社のシステムの優位性が低減しかねないとの危機感があったものとみられる。
結局、電子帳簿は上記の通り2つのカテゴリーに分かれ、大綱ではそれぞれを「優良な電子帳簿」「その他の電子“的”な帳簿」と書き分けている。
〇与党税制改正大綱9頁②
……現行の厳格な要件を充足する事後検証可能性の高い電子帳簿については、信頼性確保の観点から優良な電子帳簿としてその普及を促進するための措置を講ずるとともに、その他の電子的な帳簿についても、正規の簿記の原則に従うなど一定の要件を満たす場合には電子帳簿として電子データのまま保存することを当面可能とする。
「優良な電子帳簿」には既存の大手システム会社の製品、「電子“的”な帳簿」には新興企業のクラウド系の製品などが該当するものと見られる。企業にとっては、これまで電子帳簿とは認められていなかった後者による電子保存が可能となることは、プリントアウトの手間がなくなるという点で大きなメリットと言える。また、後者には元々コスト面でも優位性がある。改正法の施行は令和4年1月1日からとまだ検討の時間はあるが、過少申告加算税の軽減措置の有無と相俟って、いずれを選択するかは悩ましいところだろう。
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