税務ニュース2021年01月08日 廊下で家屋2棟を接合も一構えと認めず(2021年1月11日号・№865) 審判所、一構えの家屋か否かは各家屋の規模や設備等の客観的状況で判断
本事案は、請求人が譲渡した土地上にある2棟の家屋が、措置法35条1項「居住用財産の譲渡所得の特別控除」(本件特例)が適用される居住用財産に当たるか否かが争われたものである。
請求人は譲渡した家屋及び土地等について、本件特例を適用して確定申告をしたところ、原処分庁が、請求人の譲渡した土地の一部については本件特例を適用することができないとして更正処分等を行ったため、請求人が処分の全部の取消しを求めていた。請求人は、本件甲家屋と本件乙家屋は2階部分で接合されているため一構えの家屋であると主張していた。
審判所は、二以上の家屋が併せて一構えの家屋であると認めるには、それぞれの家屋の規模、構造、間取り、設備、各家屋間の距離等の客観的状況によって判断すべきであり、それぞれが独立の居住用家屋として機能している場合には一構えの家屋とは認められないとするのが相当であるとの見解を示した。
その上で本件については、甲家屋と乙家屋はそれぞれ独立の家屋としての機能を有していると判断し、併せて一構えの家屋であるとは認められないとした。したがって審判所は、請求人が主として居住の用に供していると認められる甲家屋に限り、居住用財産特別控除規定が適用されると結論付けた。
一方で審判所は、同一の土地に居住用財産特別控除規定の適用対象となる家屋とならない家屋が混在している場合には、原処分庁による土地に係る譲渡収入金額の計算方法(家屋2棟の合計延床面積に占める甲家屋の延床面積の割合により譲渡収入金額を算出)は不合理であり、採用できないとした。
その上で本件については、本件家屋2棟の間には壁や障壁等が存在せず、土地の中で甲家屋と一体として利用されている土地の範囲が不明確であるが、各家屋の各階の登記上の床面積は明らかであることから、このうち最も広い面積を甲家屋及び乙家屋の各建築面積の代わりに用いるのが合理的な計算方法であるとの見解を示し、原処分の一部を取消した。
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