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解説記事2019年09月02日 ニュース特集 連結納税制度が改称、「グループ通算制度」へ(2019年9月2日号・№801)




ニュース特集

職権更正によるプロラタ方式全体の再計算や「離脱時」の時価評価も導入

連結納税制度が改称、「グループ通算制度」へ




 連結納税制度が「グループ通算制度(仮称)」へと改称される方向となった。8月27日(火)に開催された政府税調総会で連結納税制度に関する専門家会合が提出した報告資料(以下、報告)に明記された。

 報告の内容は、基本的にこれまでの専門家会合が示してきたものを踏襲しており、「個別申告方式」の導入を前提に、各欠損法人の欠損金額及び企業グループ内の繰越欠損金額を各有所得法人の所得金額の比で配分する仕組みが示されている。損益通算の濫用防止のため、職権更正によりプロラタ方式で全体を再計算させる場合があることも盛り込まれた。

 一方、これまでの専門家会合でも結論が出ていなかった親法人の開始前の欠損金の取扱い、グループ調整計算については両論併記の格好となった。ただし、グループ調整計算については制度ごとに微妙に言い回しが異なっており、税制当局の意図が透けて見える。

 このほか、新制度では「離脱時」の時価評価が導入される点も注目される。

 改正法の公布から適用開始までは1~2年程度の期間を設け、新制度への移行を望まない既存の連結納税グループは、施行までに連結親法人が届け出ることにより新制度に移行しないことも可能。

 本特集では、「グループ通算制度」の基本構造のほか、連結親法人の開始前欠損金の取り扱い、グループ調整計算、適用関係など、押さえておくべき論点を整理してお伝えする。



「グループ通算制度」の基本構造

100%グループ以外の子会社、地方税は引き続き適用対象外




 昨年10月23日に開催された政府税調で「連結納税制度に関する専門家会合」(以下、専門家会合)の設置が了承されて以来、令和2年度税制改正に向け連結納税制度の見直し議論が進んできたが、専門家会合は8月27日の政府税調総会で、同制度の見直しに関する報告を行った。

 まず注目されるのが、制度の名称の変更だ。見直し後の制度は、企業グループ全体を一つの納税単位とする現行制度に代えて、法人格を有する各法人を納税単位として課税所得金額及び法人税額の計算及び申告を各法人がそれぞれ行う「個別申告方式」を前提とすることを踏まえ、「グループ通算制度(仮称)」と名付けられた。

 ただし、報告の内容自体は、基本的にはこれまでの専門家会合で使用されてきた資料をつなぎ合わせたものであり、特に目新しい論点が追加されるわけではない。グループ通算制度の骨格は次頁の通り。



適用対象

 現行制度同様、内国法人である親法人と、その親法人による完全支配関係にある全ての法人(外国法人等を除く)からなる企業グループが、その選択により、新制度の適用対象となる。

 一部の企業系委員からは100%グループ以外の子会社にも適用を拡大するべきとの提案があったが採用されなかった。また、現行制度同様、新制度は地方税には適用しない。

所得・税額計算

 一定の所得調整計算を行った上で、各法人の所得金額又は欠損金額を計算し、企業グループ内の法人間で損益通算する。また、企業グループ内の法人が繰越欠損金を有する場合は、その企業グループ内の法人間で共同利用する(ただし、これらについては、後述の通り一定の制限あり)。

 損益通算の方法については、各欠損法人の欠損金額及び企業グループ内の繰越欠損金額を各有所得法人の所得金額の比で配分するプロラタ方式を基本とする(前頁の図1参照)。



 修・更正が生じた場合、損益通算できる損失等の額を原則として当初申告額に固定し、これにより他の法人への影響を遮断する(図2参照)。







 ただし、濫用防止のため、職権更正によりプロラタ方式で全体を再計算させる方式を導入する。

 また、企業グループ内の各法人は連帯納付責任を負うことになる。現行制度と同様、納付責任には限度額を設けない方向だ。



時価評価課税及び欠損金の制限

親法人の開始前の欠損金については結論出ず両論併記に




 開始・加入時の時価評価課税・欠損金の切り捨てについては、組織再編税制との整合性の観点から以下の見直しが行われることになる。

 報告の要旨は下記の通り。



【時価評価課税及び欠損金の制限の対象となる法人】






1.開始時のグループ法人で、完全支配関係がある法人間の適格組織再編成と同様の要件(完全支配関係の継続要件)に該当しないもの

2.非適格組織再編成により加入した再編当事者

3.再編当事者以外の加入法人で、適格組織再編成と同様の要件(親法人との間の完全支配関係の継続要件、従業者継続要件及び事業継続要件等)に該当しないもの






【時価評価課税の対象外となる法人】






1.開始時のグループ法人で、完全支配関係がある法人間の適格組織再編成と同様の要件(完全支配関係の継続要件)に該当するもの

2.適格組織再編成により加入した再編当事者

3.再編当事者以外の加入法人で、適格組織再編成と同様の要件(親法人との間の完全支配関係の継続要件、従業者継続要件及び事業継続要件等)に該当するもの(現金買収や、適格組織再編成に伴って加入した「連れ子法人」も含まれる)

4.グループ内の新設法人

  ただし、上記1~3のうち、親法人との間の支配関係が5年以内であり、かつ、共同事業性がないものは、含み損益の利用を一部制限するとともに(加入後の特定資産譲渡等損失額の損金不算入等)、欠損金の利用を制限する(親法人との支配関係前に生じた欠損金及び親法人との支配関係前から有する資産の加入前の実現損から成る欠損金の利用制限)。開始時の親法人の取り扱いも同様となる。共同事業要件については、企業グループ内のいずれか一の法人との間で共同事業性があるかどうかにより判定する。






 一方、連結親法人の開始前欠損金の取り扱いについては結論に至らず、自己の所得の範囲でのみ繰越控除可能とする案と、制限なく企業グループの所得から控除できる案の両論併記となった。

 また、新制度では「離脱時」の時価評価が導入される。具体的には、企業グループから離脱する法人が、その行う事業について継続の見込みがないなどの場合には、離脱時にその法人の資産を時価評価させ、その評価損益を投資簿価修正の対象とする。



グループ調整計算

各制度で微妙に異なる表現、受取配当ではグループ調整計算維持も




 開始・加入時の時価評価課税・欠損金の切り捨てと同様、議論が難航しているグループ調整計算についても、明確な結論は示されていない。

 グループ調整計算でも、金額的なインパクトの大きさから、特に研究開発税制、外国税額控除、受取配当(国内・国外)、寄附金に企業の関心が集まっているが、いずれもグループ調整計算の廃止の是非については両論併記の格好となった。

 ただし、各項目の結論部分を確認すると、微妙な違いが見て取れる。受取配当(国内・国外)については、グループ調整計算の維持論に触れている部分が「引き続き調整計算を行うといったことが考えられる」との表現になっている一方、研究開発税制と外国税額控除では「引き続き調整計算を行うなど、何らかの配慮をすることも考えられる」となっている。「引き続き調整計算を行う“など”」という表現を踏まえると、「何らかの配慮」とは、現時点では調整計算の維持に限定されないということだろう。グループ調整計算の維持を望む企業にとっては気になる言い回しだ。

 これに対し寄附金については、「何らかの配慮をすることも考えられる」とされるに留まり、調整計算を行うとの文言がない。

 報告書を起案した税制当局の意図が透けるところである。



適用・手続き関係

グループ内の資本金1億円以下の法人にも電子申告




適用関係

 新制度の導入にあたっては、システム改修が必要となること、既存の連結納税法人は新制度への移行の検討に時間を要すること、現行制度での連結納税の導入を検討している企業があることなどを踏まえ、改正法の公布から新制度の適用開始まで1~2年程度の期間を設けることとなった(図3参照)。



 また、新制度への移行を望まない既存の連結納税グループは、施行までに連結親法人が届け出ることにより新制度に移行しないことができる。

 その他の経過措置については、詳細は記載されず、欠損金の取り扱いを含め、別途検討が必要とされた。

手続き関係

 申請、承認、却下、取消等については、基本的にこれまで専門家会合に提出された資料のままとなっているが、注意が必要なのが電子申告関係だ。新制度では、企業グループ内の各法人には電子申告義務が課される。このため、グループ内に資本金1億円以下の法人があったとしても、一律、電子申告が義務付けられることになる。





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