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コラム2019年09月09日 未公開裁決事例紹介 税理士による売上計上も現金売上の隠匿で重加算税(2019年9月9日号・№802)




未公開裁決事例紹介

税理士による売上計上も現金売上の隠匿で重加算税

重加算税、隠ぺいによる過少申告の結果のみで判断




○関与税理士が現金売上げがあることを踏まえて推測した金額の現金売上げ(税理士計上売上げ)を計上していることをもって隠ぺい行為(通則法68条1項)に該当するか否かが争われた裁決。国税不服審判所は、関与税理士が計上した本件税理士計上売上げは、各現金売上書類に係る売上げではなく、総勘定元帳に計上した仕入れが過大になっていることを懸念してのものであると認められると指摘。本件代表者らは、各現金売上書類を他の売上書類と分けて別途保管して、関与税理士の本件各現金売上書類の提示要求に際してこれを提示せず、現金売上げの存在を隠匿しているものと認められるとした。また、重加算税を課し得るためには、納税者が故意に課税標準等又は税額等の計算の基礎となる事実の全部又は一部を隠ぺいし、又は仮装し、その隠ぺい、仮装行為を原因として過少申告の結果が発生したのであれば足り、それ以上に、申告に際し、納税者において過少申告を行うことの認識を有していることまで必要とするものではないなどと判断した(平成30年10月10日、棄却)。



基礎事実等

(1)事案の概要


 本件は、原処分庁が、審査請求人(以下「請求人」という。)が現金売上げに係る取引書類を隠ぺいして関与税理士に提出せず、これに基づいて過少申告をしたなどとして法人税の青色申告の承認の取消処分並びに法人税等及び消費税等の重加算税の賦課決定処分を行ったのに対し、請求人が、過少申告は隠ぺいに基づくものではないなどとして、青色申告の承認の取消処分の取消し及び重加算税の賦課決定処分の一部の取消しを求めた事案である。

(2)関係法令の要旨(略)

(3)基礎事実

 当審判所の調査及び審理の結果によれば、以下の事実が認められる。

 イ 請求人の概要等

(イ)請求人は、×××××××に設立された、××××××××××××××に本店を置く、製鋼原料、鋳造原料及び非鉄金属原料の購入販売等を目的とする株式会社である。

  なお、請求人の代表取締役には、設立時から×××が就任している。

(ロ)×××は、×××において、請求人と同種の個人事業を営んでおり、請求人の本店所在地にある事務所(以下「請求人事務所」という。)に常駐することができないため、請求人の設立から半年が経過した頃には、請求人の設立時からの工場長である××××に、現金や預金の管理等を含む請求人の業務全般を任せていた。

  以下、×××及び××××を併せて「本件代表者ら」という。

(ハ)請求人は、××××××××に、原処分庁に対して法人税の青色申告の承認申請を行い、××××から平成26年9月30日までの事業年度(以下「平成26年9月期」という。)以後の法人税について、青色申告の承認があったとみなされた。

(ニ)請求人は、平成28年4月14日、事業年度の終了の日を9月30日から4月30日に変更する旨の異動届出書を原処分庁に提出した。

 ロ 現金売上げに係るもの以外の証ひょう書類等の保管状況

 ××××は、×××に業務全般を任された時から継続して、①売上げのうち現金売上げに係るもの以外の請求書の控え及び計量伝票並びに取引先から受け取った仕切書等、②仕入れに係る仕切書の控え、計量伝票及び振込依頼書並びに取引先から受け取った請求書及び領収証等、③一般管理費その他の費用についての領収証等の証ひょう書類(以下、上記①から③までの各書類を併せて「本件各取引書類」という。)のうち、計量伝票は数量が多いため段ボール箱に入れて保管し、計量伝票以外の書類は、請求人事務所内の整理棚(以下「本件整理棚」という。)に入れて保管していた。

 そして、××××は、本件各取引書類のうち計量伝票以外の書類についても、本件整理棚に収納できなくなる都度、段ボール箱に移して、請求人事務所内に保管していた。

 ハ 現金売上げに係る証ひょう書類等の保管状況

 ××××は、×××に業務全般を任された時から継続して、現金売上げに係る領収証の控え及び取引先から受け取った仕切書等の証ひょう書類(以下、これらを併せて「本件各現金売上書類」という。)並びに現金売上げに係る現金を、請求人事務所内の事務机の引き出しに保管し、当該引き出しの管理は××××及び同人の妻(以下、××××及び同人の妻を併せて「×××夫妻」という。)が行っていた。

 ニ 税理士による請求人の帳簿書類等の記帳代行等

(イ)請求人は、設立から平成28年10月頃までの間、税理士である××××に、帳簿書類の記帳代行及び各種申告書等の税務書類の作成並びに税務代理を委任していた。

(ロ)××××は、3、4か月に1回程度の割合で請求人事務所を訪問して、上記ロの本件整理棚及び段ボール箱に保管されていた本件各取引書類を自らの事務所へ持ち帰り、又は送付させ、本件各取引書類に基づいて、請求人の帳簿書類の記帳代行及び各種申告書等の税務書類の作成を行った。

 ホ 請求人の経理処理

(イ)××××は、平成26年9月期、平成26年10月1日から平成27年9月30日までの事業年度(以下「平成27年9月期」という。)及び平成27年10月1日から平成28年4月30日までの事業年度(以下「平成28年4月期」といい、「平成26年9月期」及び「平成27年9月期」と併せて「本件各事業年度」という。)について、上記ニの(ロ)のとおり、本件各取引書類に基づいて請求人の総勘定元帳を作成したため、本件各現金売上書類に係る現金売上げ(以下「本件現金売上げ」という。)は、本件各事業年度の総勘定元帳の売上高勘定に計上されなかった。

(ロ)××××は、本件各取引書類に基づく売上げ以外に、①平成27年9月期の総勘定元帳の売上高勘定に合計20,000,000円を、②平成28年4月期の総勘定元帳の売上高勘定に合計16,200,000円を、それぞれ売上げとして計上した。

  以下、××××が総勘定元帳の売上高勘定に計上した上記①及び②の売上げを併せて「本件税理士計上売上げ」といい、その内訳は、別表1-1(略)及び別表1-2(略)のとおりである。

(ハ)××××は、本件各取引書類を検討して支払原因等が不明である出金のうち本件代表者らに確認するなどしても支払原因等が解明できないものについて、一旦、前渡金又は仮払金勘定に計上していたところ、本件各事業年度の各決算において、最終的に支払原因等が解明されなかった出金については、総勘定元帳の仕入高勘定に振替計上して決算書類を作成した。

(4)審査請求に至る経緯等(略)



争点および主張

(1)請求人に通則法第68条第1項に規定する隠ぺい行為があったか否か(争点1)。

(2)重加算税の額の計算の方法に誤りがあるか否か(争点2)。

(3)請求人に法人税法第127条第1項に基づく青色申告の承認の取消しをすべき事由があるか否か(争点3)。(略)


 当事者の主張は表1・2のとおり。


【表1】争点1(請求人に通則法第68条第1項に規定する隠ぺい行為があったか否か。)













原処分庁 請 求 人
 本件代表者らは、本件現金売上げを帳簿に計上し、申告しなければならないことを熟知していたにもかかわらず、本件各現金売上書類を××××に提示しないことによって、本件現金売上げの存在を隠ぺいし、これに伴い本件現金売上げに係る所得の存在を隠ぺいした。

 なお、本件税理士計上売上げは、仕入れの過大計上を危惧した××××がその不安要素を解消するために、便宜的に売上げとして計上したものであり、現金売上げの計上漏れを認識した上で、これを解消するために計上したものではないから、本件税理士計上売上げの計上をもって、隠ぺい行為がなかったということはできない。

 したがって、請求人に通則法第68条第1項に規定する隠ぺい行為があった。
 本件代表者らが、本件各現金売上書類を××××に提示しなかったのは、①本件代表者らは、××××に現金売上げがあることを伝えていたこと、②××××は、請求人に現金売上げがあることを踏まえて、平成27年9月期及び平成28年4月期において、本件税理士計上売上げを総勘定元帳の売上高勘定に計上して申告していること、③本件代表者らは、本件現金売上げを上回る本件税理士計上売上げが総勘定元帳の売上高勘定に計上され、これに基づいて申告されていたことを認識していたからである。

 しかも、請求人には、所得を過少に申告する意図もなかった。

 したがって、請求人に通則法第68条第1項に規定する隠ぺい行為はなかった。

【表2】争点2(重加算税の額の計算の方法に誤りがあるか否か。)













原処分庁 請 求 人
 本件法人税等各賦課決定処分及び本件消費税等賦課決定処分に係る各重加算税の額の計算の基礎となるべき税額(以下「本件各重加算税対象税額」という。)は、通則法第68条第1項及び通則法施行令第28条第1項に基づいて適正に算定されており、その計算の方法に誤りはない。

 なお、本件税理士計上売上げは、仕入れの過大計上を危惧した××××が不安要素を解消するために計上したものであること、さらに、本件現金売上げの金額と本件税理士計上売上げの金額との開差が大きいことから、本件税理士計上売上げは、本件現金売上げを現金売上げとして計上したものとはいえない。

 したがって、本件税理士計上売上げと本件現金売上げとの間に関連性がないから、重加算税の額の計算の基礎となるべき税額の計算において、本件税理士計上売上げを不正事実に基づく益金の額として所得金額に加算するものから減算する必要はない。
 仮に、請求人に通則法第68条第1項に規定する隠ぺい行為があったとしても、次のとおり、本件各重加算税対象税額の計算の方法に誤りがある。

イ 本件税理士計上売上げは、××××が請求人に現金売上げがあることを認識し、現金売上げとして本件現金売上げよりもむしろ過大に計上したものであるから、更正により納付すべきこととなる税額は、原処分庁が主張する隠ぺいの事実に基づくもの(本件現金売上げ)とは無関係のもの、すなわち隠ぺいされていない事実に基づくもの(仕入れの過大計上等)に係る所得に起因して算出されたものであるから、本件各重加算税対象税額はない。

ロ 国税庁長官発遣の「法人税の重加算税の取扱いについて(事務運営指針)」(平成12年7月3日付課法2-8ほか3課共同)(以下「本件重加算税事務運営指針」という。)第3の2(重加対象所得の計算)の(1)は、「不正事実に基づく費用の支出等を認容する場合には、当該支出等が不正事実に基づく益金等の額(益金の額又は損金不算入額として所得金額に加算するものをいう。以下同じ。)との間に関連性を有するものであるときに限り、当該支出等の金額は不正事実に基づく益金等の額の減算項目とする。」と定めている。

  本件税理士計上売上げは、売上げの過大計上として益金の額から減算すべきものであり、本件現金売上げは、売上げの計上漏れとして益金の額に加算すべきものであるところ、税理士計上売上げも現金売上げも、益金の額から減算又は加算するものであり、また、現金売上げに関するものであるから、本件税理士計上売上げと本件現金売上げとの間には関連性がある。


審判所の判断

(1)争点1(請求人に通則法第68条第1項に規定する隠ぺい行為があったか否か。)について

 イ 法令解釈


 通則法第68条は、不正手段による租税徴収権の侵害行為に対し、制裁を課すことを定めた規定であり、同条にいう「事実を隠ぺい」するとは、事実を隠匿しあるいは脱漏することを、「事実を仮装」するとは、所得・財産あるいは取引上の名義を装う等事実をわい曲することをいい、いずれも行為の意味を認識しながら故意に行うことを要するものと解すべきである。

 また、通則法第68条第1項は、過少申告をした納税者が、その国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠ぺいし、又は仮装し、その隠ぺいし、又は仮装したところに基づき納税申告書を提出していたときは、その納税者に対して重加算税を課す旨規定しており、法文上隠ぺい仮装行為の主体は納税者とされているが、納税者が過少申告をするについて隠ぺい、仮装という不正手段を用いていた場合に、過少申告加算税よりも重い行政上の制裁を科することによって、悪質な納税義務違反の発生を防止し、もって申告納税制度による適正な徴税の実現を確保しようとする重加算税制度の趣旨及び目的に照らせば、納税者以外の第三者が隠ぺい仮装行為を行った場合であっても、それが納税者の行為と同視することができる場合には、納税者に対する重加算税の賦課要件を満たすものと解される。

 ロ 認定事実

 請求人提出資料、原処分関係資料並びに当審判所の調査及び審理の結果によれば、以下の事実が認められる。

(イ)本件各現金売上書類の××××に対する提出又は提示の有無

 A ××××は、請求人の帳簿書類の記帳代行及び申告書等の作成の準備のために請求人事務所を訪問する前に、××××に対し、ファクシミリを利用して、本件各取引書類の事前の送付又は準備を依頼しているところ、平成26年6月1日から同年9月30日までの本件各取引害類の一部の送付を依頼した書面によると、「計量票」、「通帳のコピー」等の記載と併せて、「他に現金売上があればその書類」と記載されており、××××は、請求人に現金売上げがあることを推測し、××××に対して、現金売上げに係る書類の提出又は提示を求めていた。

 B ××××は、本件各事業年度において、本件各現金売上書類及び現金売上げに係る現金を、本件各取引書類と区別し、請求人事務所内の×××夫妻が管理する事務机の引き出しに入れて保管し、上記Aの××××からの現金売上げに係る書類の提出又は提示の求めに対して、××××に本件各現金売上書類の提出又は提示を一切しなかった。

(ロ)本件各現金売上書類を××××に提出又は提示しなかった理由等

 A ×××は、請求人を設立する以前にも事業を営んでいたことがあり、現金売上げも売上げとして帳簿に計上すべきことを理解していたが、売上げを少なく申告すれば支払う税金も少なくなり、手元に資金が多く残ると考え、××××に本件各現金売上書類を提出しなかった。

 B ××××は、×××から業務全般を任された際に、現金売上げに係る現金を別管理するよう指示を受けた。

   また、××××は、現金売上げを売上げとして帳簿に計上すべきことを理解しており、自身が本件各現金売上書類を××××に提出しないことで、本件現金売上げが請求人の法人税の所得金額の計算上、益金の額に算入されていないことを認識していた。

   なお、××××は、×××に対する日々の電話連絡の際に、本件現金売上げについて伝えていた。

 C 上記のとおり、××××は、本件各取引書類と本件各現金売上書類を別々に管理しているところ、この管理方法は、×××から引き継いだものであった。

 D ×××は、××××が××××に本件各現金売上書類を提出又は提示しないことにより、本件現金売上げが請求人の法人税の所得金額の計算上、益金の額に算入されていないことを認識していた。

(ハ)××××による本件税理士計上売上げの計上理由

  ××××は、支払原因等が不明である出金を請求人の総勘定元帳の仕入高勘定に計上するなどしていたため、仕入高勘定が過大になっていることを懸念していたことから、過大となっていると思われる金額について調整をすることとしたが、決算処理で仕入高勘定を減算すると本件代表者らに不審に思われると考え、売上高勘定に売上げを加算することとし、請求人の総勘定元帳の売上高勘定に本件税理士計上売上げを計上した。

  なお、この点について、××××は、平成29年11月1日付の当審判所長宛の「上申書」と題する書面(以下「本件上申書」という。)において、請求人の事業における現金売上げの計上漏れに対応する趣旨をも含めて本件税理士計上売上げの計上を行った旨を記載して提出するとともに、当審判所からの質問に対しても、その旨答述している。

  しかしながら、××××は、上記(イ)のとおり、××××に対して、本件各現金売上書類の提出又は提示を求めたにもかかわらず、同人から、それらの提出も提示も受けることができなかったのであり、現金売上げの金額を具体的に推認できるような資料を何も確認することができないにもかかわらず、現金売上げの計上漏れの金額を推測して計上するのは不自然であること、××××が原処分に係る調査を担当した職員に対して、本件税理士計上売上げの計上理由について、飽くまで仕入れの過大計上に対する不安を解消するためである旨を申述しながら、本件上申書の記載において、その内容を変遷させた理由について説明していないこと、××××が当審判所に対して、一方では本件各現金売上書類の提出も提示も一切受けていないにもかかわらず、現金売上げの書類は9割方保存があるが1割程度は保存がないであろうことに対応する趣旨をも含めて本件税理士計上売上げを計上した旨答述しながら、他方で、とにかく現金売上げについては関心が薄かったため、本件各現金売上書類の提出を求めなかった旨答述するなど、現金売上げについて相矛盾する答述をしていることからすれば、××××の本件上申書における、現金売上げの計上漏れに対応する趣旨をも含めて本件税理士計上売上げの計上を行った旨の記載及びこれに沿った内容の当審判所に対する答述は、信用することができない。

 ハ 当てはめ

 ×××は、現金売上げを売上げとして帳簿に計上すべきことを認識した上で、本件各現金売上書類を本件各取引書類と区分して管理し、また、売上げを少なく申告すれば支払う税金も少なくなり、手元に資金が多く残ると考えて、××××に本件各現金売上書類を一切提出又は提示しないことにより現金売上げの存在を隠匿したものと認められる。

 同様に、××××は、本件各現金売上書類を本件各取引書類と区別して請求人事務所内の×××夫妻が管理する事務机の引き出しで管理し、しかも、本件現金売上げが請求人の法人税の所得金額の計算上、益金の額に算入されないことを認識しながら、本件各現金売上書類を××××に一切提出又は提示しないことにより、現金売上げの存在を隠匿したものと認められる。

 さらに、××××は、請求人の代表者である×××から請求人の業務全般を任されており、また、××××の行為は請求人の行為と同視することができる。

 したがって、これら一連の本件代表者らの行為は、本件各事業年度における本件現金売上げの把握を困難にし、故意に国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠ぺいする行為であるといえるから、請求人に通則法第68条第1項に規定する隠ぺい行為があったと認められる。

 ニ 請求人の主張について

(イ)請求人は、本年各現金売上書類を××××に提出又は提示しなかったのは、現金売上げがあることを踏まえた××××が、平成27年9月期及び平成28年4月期において、本件現金売上げを上回る金額の本件税理士計上売上げを計上して申告していたことを、本件代表者らが認識していたからである旨主張する。

  しかしながら、××××が本件税理士計上売上げを計上したのは、現金売上げがあることを踏まえたからではなく、請求人の総勘定元帳の仕入高勘定が過大になっていることを懸念したからであり、したがって、本件税理士計上売上げは、本件現金売上げとは無関係に計上された別個のものであるといえ、××××が本件税理士計上売上げを計上したからといって、本件現金売上げを計上したことにはならないのであるから、請求人の主張は、その前提を欠くものである。

  したがって、この点に関する請求人の主張には理由がない。

(ロ)請求人は、請求人には、所得を過少に申告する意図はなかった旨主張する。

  しかしながら、通則法第68条第1項による重加算税を課し得るためには、納税者が故意に課税標準等又は税額等の計算の基礎となる事実の全部又は一部を隠ぺいし、又は仮装し、その隠ぺい、仮装行為を原因として過少申告の結果が発生したものであれば足り、それ以上に、申告に際し、納税者において過少申告を行うことの認識を有していることまでを必要とするものではない(最高裁判所昭和62年5月8日第二小法廷判決・集民151号・35頁参照)。

  したがって、この点に関する請求人の主張には理由がない。

(2)争点2(重加算税の額の計算の方法に誤りがあるか否か。)について

 イ 判断


(イ)本件税理士計上売上げの計上は、単に売上高勘定に売上げを加算したものにすぎず、不正手段による租税徴収権の侵害行為に対し、制裁を課すことを定めた通則法第68条第1項に規定する「事実の全部又は一部を隠ぺいし、又は仮装し」たことにならないことは明らかである。

  したがって、本件税理士計上売上げの計上は、通則法第68条第1項かっこ書きに規定する「その税額の計算の基礎となるべき事実で隠ぺいし、又は仮装されていないもの」に該当する。

(ロ)ところで、重加算税の額の計算の基礎となるべき税額について、通則法第68条第1項は、通則法施行令第28条で定めるところにより、「過少申告加算税の額の計算の基礎となるべき税額に係る過少申告加算税」に代えて、重加算税を課する旨規定しているところ、ここでいう「過少申告加算税の額の計算の基礎となるべき税額」について、通則法第68条第1項かっこ書き及び通則法施行令第28条第1項は、「その税額の計算の基礎となるべき事実で隠ぺいし、又は仮装されていないものに基づくことが明らかであるものがあるとき」は、当該隠ぺいし、又は仮装されていない事実のみに基づいて修正申告書の提出又は更正があったものとした場合における納付すべき税額(以下「過少申告加算税対象税額」という。)を控除した税額とする旨規定している。

(ハ)そうすると、上記(イ)のとおり、本件税理士計上売上げの金額は、その他の隠ぺいし、又は仮装されていない事実とともに、本件各重加算税対象税額の計算上控除される対象となる過少申告加算税対象税額の計算の対象に含まれることとなる。

  したがって、原処分庁が本件各重加算税対象税額の計算上、本件税理士計上売上げの金額を通則法第68条第1項及び通則法施行令第28条第1項の規定に基づいて過少申告加算税対象税額の計算の対象に含めて計算した過少申告加算税対象税額を控除したことは適法であるから、重加算税の額の計算の方法に誤りはない。

 ロ 請求人の主張について

(イ)請求人は、本件税理士計上売上げは、××××が請求人に現金売上げがあることを認識して、本件現金売上げより過大な金額を計上したものであるから、更正により納付すべきこととなる税額は、本件現金売上げとは無関係の仕入れの過大計上等に係る所得に起因して算出されたものであり、本件各重加算税対象税額はない旨主張する。

  しかしながら、本件税理士計上売上げは、××××が請求人の総勘定元帳の仕入高勘定が過大になっていることを懸念して計上したものであり、また、本件各重加算税対象税額の計算は、通則法第68条第1項及び通則法施行令第28条第1項に基づき行うこととなり、更正処分において所得金額の計算上加算した金額又は減算した金額が、隠ぺいし、又は仮装されていない事実に基づくことが明らかなものであるか否かを判断して行うのであって、本件税理士計上売上げが、本件現金売上げがあることを認識して計上されたものであるか否かを判断して行うのではない。

  したがって、この点に関する請求人の主張には理由がない。

(ロ)また、請求人は、本件税理士計上売上げも本件現金売上げも益金の額から減算又は加算するものであるし、また、現金売上げに関するものであるから、本件税理士計上売上げと本件現金売上げとの間には、本件重加算税事務運営指針第3の2の(1)にいう関連性があるといえ、本件各重加算税対象税額の計算に当たり、本件税理士計上売上げを、本件現金売上げから減算すべきである旨主張する。

  しかしながら、本件重加算税事務運営指針第3の2の(1)にいう「関連性を有する」とは、例えば、不正事実に基づく売上除外に対応する経費を示していると解されるから、本件税理士計上売上げと本件現金売上げとの間に、本件重加算税事務運営指針でいう関連性があるということはできない。

  したがって、この点に関する請求人の主張には理由がない。

(3)争点3(請求人に法人税法第127条第1項に基づく青色申告の承認の取消しをすべき事由があるか否か。)について(略)

(4)本件青色取消処分の適法性について(略)

(5)本件法人税等各賦課決定処分の適法性について


 上記のとおり、請求人に通則法第68条第1項に規定する国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実を隠ぺいする行為があり、請求人は、その隠ぺいしたところに基づき、本件各事業年度の法人税の各確定申告書、平成26年9月課税事業年度の復興特別法人税の申告書及び本件各課税事業年度の地方法人税の各確定申告書を提出したのであるから、通則法第68条第1項に規定する重加算税の賦課要件を満たしている。

 そして、上記のとおり、重加算税の額の計算の方法に誤りはなく、当審判所において、請求人の本件各事業年度の法人税、平成26年9月課税事業年度の復興特別法人税及び本件各課税事業年度の地方法人税の重加算税の額を計算すると、本件法人税等各賦課決定処分の額といずれも同額となる。

 なお、本件法人税等各賦課決定処分のその他の部分については、請求人は争わず、当審判所に提出された証拠資料等によっても、これを不相当とする理由は認められない。

 したがって、本件法人税等各賦課決定処分は、いずれも適法である。

(6)本件消費税等賦課決定処分の適法性について(略)





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