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解説記事2019年09月30日 第2特集 会計上の見積りの開示など、新会計基準の公開草案が公表へ(2019年9月30日号・№805)




第2特集

2021年3月期決算から適用、早期適用も可

会計上の見積りの開示など、新会計基準の公開草案が公表へ


 企業会計基準委員会(ASBJ)が10月中にも同時に公表する予定の「会計上の見積りの開示に関する会計基準(案)」及び「会計方針の開示、会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準(案)」の2つの会計基準案の概要がわかった。両者ともに基準諮問会議から新規テーマとして提言を受けたものである。前者については、IASB(国際会計基準審議会)が2003年に公表したIAS第1号「財務諸表の表示」第125項において開示が求められている「見積りの不確実性の発生要因」について、日本基準においても注記情報として開示を求めるべきとの意見を踏まえてのもの。具体的に会計上の見積りの開示は、当年度の財務諸表に計上した金額が会計上の見積りによるもののうち、翌年度の財務諸表に重要な影響を及ぼす可能性が高い項目を識別した上で、識別した項目のそれぞれについて、会計上の見積りの内容を表す項目名などを注記するとされている。また、後者は「関連する会計基準等の定めが明らかでない場合に採用した会計処理の原則及び手続」に関する注記事項の充実を図るもの。適用はそれぞれ2021年3月31日以後終了する事業年度の年度末に係る財務諸表から適用することとしている。






翌年度の財務諸表に重要な影響を及ぼす可能性が高い項目を識別




 「会計上の見積りの開示に関する会計基準(案)」は基準諮問会議の提言を踏まえ、「会計方針の開示、会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」とともに、同委員会が検討を行ってきたもの。会計基準の開発にあたっては、個々の注記を拡充するのではなく、原則(開示目的)を示したうえで、具体的な開示内容は開示目的を踏まえて判断することとした。また、IAS第1号「財務諸表の表示」第125項の定めを参考としている。

 公開草案では、「会計上の見積り」とは資産及び負債や収益及び費用等の額に不確実性がある場合において、財務諸表作成時に入手可能な情報に基づいて、その合理的な金額を算出することをいう(企業会計基準第24号「会計方針の開示、会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」第4項(3))と定義。その上で、会計上の見積りの開示は、当年度の財務諸表に計上した金額が会計上の見積りによるもののうち、翌年度の財務諸表に重要な影響を及ぼす可能性が高い項目における会計上の見積りの内容について、財務諸表利用者の理解に資する情報を示すことを目的としている。

翌年度の金額的な大きさなどを企業が判断

 具体的に会計上の見積りの開示については、当年度の財務諸表に計上した金額が会計上の見積りによるもののうち、翌年度の財務諸表に重要な影響を及ぼす可能性が高い項目を識別することとしている。識別するためには、翌年度の財務諸表に及ぼす影響の金額的な大きさとその発生可能性を総合的に勘案して企業が判断することになる。

 また、識別する項目は、当年度の財務諸表に計上した金額に重要性があるものに着目して開示する項目を識別するのではなく、翌年度の財務諸表に重要な影響を及ぼす可能性が高いものに着目して開示する項目を識別することとしている。このため、例えば、固定資産について減損損失の認識は行わないとした場合には、翌年度の財務諸表に及ぼす影響を検討したうえで、当該固定資産を開示する項目として識別する可能性があるとしている。

 なお、翌年度の財務諸表に重要な影響を及ぼす可能性が高い場合には、当年度の財務諸表に計上した収益及び費用(一定期間にわたり充足される履行義務に係る収益の認識や、ストック・オプションの費用処理額の見積りなど)、並びに会計上の見積りの結果、当年度の財務諸表に計上しないこととした負債(引当金など)を識別することを妨げないとしている。また、金融商品や賃貸等不動産の時価情報などのように、注記において開示する金額を算出するにあたって見積りを行ったものについても、翌年度の財務諸表に重要な影響を及ぼす可能性が高い場合には、これらを識別することを妨げないとしている。

会計上の見積りの内容などを注記

 注記に関しては、識別した項目のそれぞれについて、会計上の見積りの内容を表す項目名とともに(識別した項目が複数ある場合は項目名をまとめて記載)①当年度の財務諸表に計上した金額、②会計上の見積りの内容について財務諸表利用者の理解に資するその他の情報について注記することとされている。①及び②の事項の具体的な内容や記載方法(定量的情報若しくは定性的情報、又はこれらの組み合わせ)については、開示の目的を踏まえて判断することとされている。なお、①及び②の事項について、会計上の見積りの開示以外の注記として財務諸表に記載している場合には、当該注記を参照する旨の記載をすることができるとしている。

 また、②会計上の見積りの内容について財務諸表利用者の理解に資するその他の情報としては、「当年度の財務諸表に計上した金額の算出方法」「当年度の財務諸表に計上した金額の算出に用いた主要な仮定」「翌年度の財務諸表に与える影響」が例示として挙げられている。

個別財務諸表への注記は簡素化の方向

 そのほか、個別財務諸表への注記については簡素化する方向で検討が進められている。詳細はまだ決まっていないが、個別財務諸表において識別した項目が連結財務諸表において識別した項目と同一であり、かつ、連結財務諸表における当該項目に関する会計上の見積りに関する注記の内容により、個別財務諸表における当該項目に関する会計上の見積りの内容が推測できると判断される場合などについては、項目名と会計上の見積りの内容について連結財務諸表に注記している旨を記載することを認める方向となっている。

 適用時期は、2021年3月31日以後終了する事業年度の年度末に係る財務諸表からとする方針だ。2020年3月末までには正式決定したいとしており、準備期間が1年以上あれば、財務諸表作成者に過度な負担をかけることにならないと判断した。また、公表日以後終了する事業年度の年度末に係る財務諸表からの早期適用も認める。

 なお、適用初年度においては、本会計基準の適用は表示方法の変更として取り扱われるが、企業会計基準第24号第14項の定めにかかわらず、識別した項目の注記事項については、適用初年度の財務諸表に併せて表示される比較情報には記載しないことができるとする経過措置を設けるとしている。






新たな経済事象が生じた場合や業界固有の実務慣行などを想定




 もう1つ会計基準案は、「関連する会計基準等の定めが明らかでない場合に採用した会計処理の原則及び手続」に関する注記事項の充実を図るもの。この注記事項の充実については新たな会計基準を開発するのではなく、既存の企業会計基準第24号を改正し、会計基準の名称を「会計方針の開示、会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準(案)」に変更する。

 「関連する会計基準等の定めが明らかでない場合」とは、特定の会計事象等に対して適用し得る具体的な会計基準等の定めが存在しないため、会計処理の原則及び手続を策定して適用する場合とした。会計基準には明記しないものの、例えば、①関連する会計基準等が存在しない新たな取引や経済事象が出現した場合に適用する会計処理の原則及び手続(対象とする会計事象等自体については明らかではないものの、参考となる既存の会計基準等(他の会計基準設定主体が定めた会計基準を含む)がある場合に、当該既存の会計基準等が定める会計処理の原則及び手続も含む)や、②業界の実務慣行とされている会計処理方法(企業が所属する業界団体が当該団体に所属する各企業に対して通知する会計処理方法も含む)で重要性があるときが想定されている。

重要な会計方針に含まれると明記

 公開草案では、関連する会計基準等の定めが明らかでない場合に採用した会計処理の原則及び手続については、それらが重要な会計方針に含まれることを明らかにし、企業会計原則注解(注1-2)における定めを引き継いでいる。重要な会計方針の注記については、採用した会計処理の原則及び手続の概要を注記することとし、会計方針の例として、①有価証券の評価基準及び評価方法、②棚卸資産の評価基準及び評価方法、③固定資産の減価償却の方法、④繰延資産の処理方法、⑤外貨建資産及び負債の本邦通貨への換算基準、⑥引当金の計上基準、⑦収益及び費用の計上基準を挙げている。ただし、重要性の乏しいものについては、注記を省略することができる。また、会計基準等の定めが明らかであり、当該会計基準等において代替的な会計処理の原則及び手続きが認められていない場合には、当該会計方針の注記を省略することができるとした。

 適用時期については、2021年3月31日以後終了する事業年度の年度末に係る財務諸表からとする方針。ただし、公表日以後終了する事業年度の年度末に係る財務諸表から適用することができるとした。また、今回の改正会計基準を適用したことにより新たに注記する会計方針は、表示方法の変更には該当しないものの、改正会計基準を新たに適用したことにより関連する会計基準等の定めが明らかでない場合に採用した会計処理の原則及び手続を新たに開示する場合には、追加情報としてその旨を注記することとしている。





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