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税務ニュース2019年10月11日 疑似株式報酬にインサイダー規制の声も(2019年10月14日号・№807) 権利行使日未確定なら業績連動給与に該当せず損金不算入

  • 海外展開する企業でSARなどの株価連動現金報酬を付与するニーズも、日産自動車社長の辞任をきっかけに、SARをインサイダー取引規制等の対象にすべきとの意見も。類似した仕組みを持つファントムストックにも同様の問題。
  • SAR、ファントムストックも業績連動給与として損金算入の対象も、権利行使日未確定なら損金不算入。

 株式報酬を導入する上場企業が急増しているが、主要な海外子会社の役員にも株式報酬を付与したい企業の中には、非居住者が日本の証券会社で口座を開設する困難さを踏まえ、株価に連動した現金報酬であるファントムストックやSAR(42頁参照)を付与するところもある。経済産業省は今年3月、海外子会社の役員にファントムストックを支給した場合、「業績連動給与」の損金算入要件を満たせば損金算入が認められる旨の課税上の取扱いを明らかにしたところだ(本誌781号11頁参照)。
 こうした中、日産自動車の西川社長がSARの権利行使日を後ろにずらすことで本来より4,700万円多い報酬を受け取っていた問題で辞任したのは周知の通り。SARにせよファントムストックにせよ、権利行使日を後ろにずらすような場合、行使日が確定しているとは言えないため、「職務執行期間開始日の属する事業年度開始の日以後の所定の期間若しくは職務執行期間開始日以後の所定の日における株式の市場価格の状況を示す指標」を基に算定しているという業績連動給与の損金算入要件(法人税法34条①イ)を満たさず損金不算入となる。
 また、金商法の専門家からは、西川社長辞任を受け、SARをインサイダー取引規制の対象にすべきとの声も上がっている。SARは株価に連動にして報酬額が算定されるもののあくまで現金報酬であり、現状ではインサイダー規制の対象とならないからだ。日産自動車は既に取締役会でSARの廃止を決めているが、SARと同様の問題はファントムストックでも起こり得る。ファントムストックはSARと同じく株価連動型の現金報酬であり、SARが「値上がり益」を現金支給するのに対し、ファントムストックは「株価そのもの」を現金支給するという点以外、大差はない。したがって、仮にSARをインサイダー規制の対象にするという議論が起これば、当然ファントムストックにも波及することになる。専門家からは、株式を介さない以上、インサイダー規制の対象とするのは無理があり、報酬決定手続規制の強化が現実的との声も聞かれるが、これらの報酬の活用を考える企業は議論の行方を見守る必要があろう。

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