税務ニュース2021年02月19日 自社株対価MAによる100%子会社化も可(2021年2月22日号・№871) 改正会社法の条文上は制限なし、組織再編税制の枠外に
既報のとおり、令和3年度税制改正では自社株等対価M&Aに係る特例(被買収企業株主における株式の譲渡損益の繰延べ)の適用要件の大幅緩和が実施される(本誌870号4頁参照)。この自社株等対価M&Aに係る特例の最大の目的と言えるのが、「100%子会社でない子会社」を作ることだ。一方、100%子会社を作る方法としては株式交換がある。
ただ、自社株等対価M&Aだけでも100%子会社を作ることは不可能ではない。これは、自社株等対価M&Aのベースとなる今般の会社法改正で導入された株式交付制度では、同制度を使って100%子会社を作ることを否定していない(株式交付制度に係る改正会社法の条文上、特にそのような制限はない)からだ。
株式交換と異なり、株式交付では旧株主に旧株式の譲渡が強制されないという点は100%子会社化へのハードルとなり得るが、買収側と旧株主の関係等次第では株式交付を使った100%子会社化も可能だろう。
令和3年度税制改正では、自社株等対価M&Aに係る特例の要件緩和はあくまで「租税特別措置」として行うとの整理がなされ、同特例は組織再編税制の枠外であることが確認されたところ。これを前提にすれば、自社株等対価M&A(株式交付)のみで100%子会社を作った場合、組織再編税制の適用は受けないということになる。
もちろん、100%子会社化の手法としては株式交換が最も簡便であり、このほかにも「株式交付+全部取得条項付種類株式」「株式交付+株式等売渡請求」により100%子会社を作ることも考えられるが、株式交換は言うに及ばず、全部取得条項付種類株式、株式等売渡請求といったスクイーズアウトの手法は、法人税法上は株式交換と同様の取扱いとなり、組織再編税制が適用される(法法2条十二の十六イ、ハ)。
自社株等対価M&A(株式交付)による100%子会社化が行われる場面は限られると思われるが、自社株等対価M&Aに係る特例は組織再編税制の枠外ということを前提にすれば、メリットはあると言えそうだ。
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