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解説記事2021年04月12日 SCOPE サンリオ、書面添付漏れ理由に適用除外規定の適用認められず(2021年4月12日号・№878)

CFC税制の文理解釈による納税者の敗訴続く
サンリオ、書面添付漏れ理由に適用除外規定の適用認められず


 株式会社サンリオの香港子会社が、CFC税制の適用除外要件(事業基準)を満たすか否かが争われた事件で、東京地裁民事38部(鎌野真敬裁判長)は令和3年2月26日、香港子会社の主たる事業が「著作権の提供」に該当するか否かという注目の争点については判断を示さず、原告が確定申告書に適用除外記載書面を添付しなかった事実を捉え、適用除外規定の適用を受けることができないとして、原告の請求を棄却した。

東京地裁、主たる事業が「著作権の提供」に該当するか否かの判断示さず

 処分行政庁は、キャラクター商品等の企画・販売等を行う(株)サンリオに対し、同社の香港子会社2社の主たる事業が「著作権の提供」に該当し、外国子会社合算税制(CFC税制)の適用除外要件の一つである事業基準を満たさず合算課税されるべきとして法人税等の更正処分を行った。サンリオはこれを不服とし、訴訟を提起した。
 サンリオは、「本件各香港子会社は、①商品化関連業務、②販促品関連業務及び③イベント関連業務という、キャラクター・ビジネスという観点からは一体不可分のものとして評価されるべき複合的なサービス事業を営んでおり、著作権を譲渡すること又は著作権を利用許諾することのみを事業とする場合に該当しない」などと主張していた。
 東京地裁は、本件各香港子会社の主たる事業が「著作権の提供」に該当するか否かという点については判断せず、原告が確定申告書に適用除外記載書面を添付しなかった事実を捉え、適用除外規定の適用を受けることができないとの判断を下した。
 また、原告の、適用除外記載書面を添付できない「やむを得ない事情」があったとの主張や、「適用除外記載書面を添付していないことにより適用除外規定の適用を受けられない旨は更正通知書に記載されておらず、被告国が本件訴訟において追加したのは違法な理由の差し替えにあたる」との主張は、のとおりすべて斥けられた。

 さらに、「外国子会社合算税制が適用されるならば、外国税額控除が適用されるべき」との主張についても、「本件各香港子会社が納付した外国法人税に係る明細書を添付しておらず、本件各香港子会社に課された外国法人税の額をこれに含めていない」として排斥され、「特別の事情」も認められなかった。
産業界は法令の「機械的な解釈」を懸念
 外国子会社合算税制を巡っては、先日もみずほ銀行が敗訴し、租税回避とはいえないような案件にも課税が行われているとの懸念が広がっている(本誌876号)。産業界は以前から、コンテンツビジネスを展開する海外子会社が、マーケティングやサポート活動を行っている場合においても、法令の機械的な解釈により、「著作権を用いた事業」として一律合算となることに懸念を示しており、その懸念を払拭する一定の指針となり得る裁判所の判断が期待されただけに、この点について判決で何ら触れられなかったことは残念な結果といえるだろう。ただ、本件は控訴されており、控訴審が香港子会社の主たる事業についてどのような判断を下すのか(あるいは再び判断を避けるのか)、注目される。

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