税務ニュース2021年05月28日 新電帳法施行まで半年、準備期間足りず(2021年5月31日号・№884) 企業からは保存要件の早期明確化と施行日の柔軟な執行望む声
令和3年度税制改正では電子帳簿保存法(以下、電帳法)が抜本的に緩和される一方、規制強化も図られる。改正前の電子取引のデータ保存制度では、申告所得税、法人税について、検索要件を含む諸要件が満たせない場合には、そのデータの出力書面をもって電子取引データに代えることができるとされていたが(電帳法10条)、今回の改正でこの措置が廃止され(改正電帳法7条)、電子取引について紙保存に“逃げる”という代替手段が完全に封じられる(868号21頁参照)。
改正電帳法7条に基づく電子データの保存要件は改正電帳法施行規則に委任されているが、例えば検索要件については、大綱における記述から予想されていた通り、緩和後の「日付、金額、取引先」に基づいた検索(調査官のダウンロード要求に従う場合)が必要とされている(改正電帳法施行規則4条①)。この施行規則は、令和4年1月1日から施行される(同附則1条)。すなわち、約半年後には新制度に移行するということだ。
これに対し多くの企業からは、施行日までの準備期間が極めて短いため、改正後、直ちに電子データの保存要件を全て満たすことは相当困難ではないかとの指摘が出始めている。企業側からは早期に保存要件の詳細及びその解釈をQ&A等で税務当局が示すとともに、場合によっては、令和4年1月1日からの施行について、“柔軟な執行”を行うべきとの声も上がっている。電子データの保存については、「災害その他やむを得ない事情」がある場合は、改正後の要件にかかわらず、電子データの保存が可能との宥恕規定もあるため(改正電帳法施行規則4条③)、しばらくはこの解釈で凌ぐべきとの意見もある。
企業は徐々に取引情報の電子化を進めているが、今回の制度変更の詳細によっては、これまでデータでやり取りしていた企業間の取引情報を紙に戻すということも検討せざるを得なくなる。本件は令和4年度改正のテーマではなく、あくまで「運用、解釈の明確化の問題」として何らかの解決の道が模索されることになろう。
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