税務ニュース2021年06月11日 納骨堂への固定資産税等課税相次ぐ(2021年6月14日号・№886) 課税を認めた平成28年東京地裁判決受け、都が課税を指示
近年、少子高齢化の進展とともに、特に墓地の確保が困難な都市部の宗教法人が納骨堂を新設するケースが増えつつあり、その需要も高まっているが、宗教法人や税理士等が注意する必要があるのが、固定資産税・都市計画税、不動産取得税の課税だ。
従来、納骨堂はこれらの課税対象外とされていたが、平成28年5月24日の東京地裁判決が宗教法人の納骨堂に対して固定資産税・都市計画税を課すことを認めたことを受け、東京都主税局が課税を開始し、平成31年には各都税事務所に宗教法人の納骨堂に対して固定資産税を課税すべき旨の通知まで発出している。
地方税法上、「宗教法人が専らその本来の用に供する宗教法人法第3条に規定する境内建物及び境内地」への固定資産税は非課税とされており(同法348②三)、納骨堂の建物・土地もこの規定に該当するように見える。しかし東京地裁判決は、「境内建物及び境内地」について、宗教法人法3条を引用しつつ「宗教の教義をひろめ、儀式行事を行い、及び信者を教化育成するという主たる目的のために必要な当該宗教法人にとって本来的に欠くことのできない建物、工作物及び土地で、同条各号に列挙されたようなものを意味する」との解釈を示し、地方税法上の「境内建物及び境内地」を狭く解釈することにより、宗教法人の納骨堂は「境内建物」に該当しないとした課税処分を容認している。
ただ、この東京地裁判決については、宗教法人の納骨堂が課税の対象とされてこなかった理由を争点にしていないという、裁判所の判断を根底から覆しかねない指摘がなされている。また、この東京地裁判決が出る前に都が発遣していた通達では、宗教法人の納骨堂も「地方税法348条2項3号の境内建物」として非課税とされてきたこと、平成7年12月26日付けの文化庁次長通達(庁文宗第133号)が納骨堂を「宗教法人法3条の境内建物に含まれる」としていること、宗教法人が納骨堂の永代供養料等を得ることは法人税課税の対象となる収益事業から除かれていること(法令5①五ニ、法基通15-1-18)との整合性を問題視する声も聞かれる。今後、この東京地裁判決の判断の是非を改めて問う動きが出てくるのか、注目される。
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