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解説記事2021年07月05日 税制改正解説 令和3年度における相続税・贈与税関係の改正について(下)(2021年7月5日号・№889)

税制改正解説
令和3年度における相続税・贈与税関係の改正について(下)
 早川貴之

租税特別措置法等(登録免許税関係)の改正

1 医療機関の開設者が再編計画に基づき不動産を取得した場合の所有権の移転登記等の税率の軽減措置の創設

1 制度の内容
(1)土地・建物の取得に係る軽減措置

 再編計画の認定を受けた医療機関の開設者(令和5年3月31日までにその認定を受けた者に限る。)が、その再編計画に記載された医療機関の再編の事業に必要な土地又は建物の取得をした場合には、その土地又は建物の所有権の移転の登記に係る登録免許税の税率は、取得又は建築後1年以内に登記を受けるものに限り、土地については1,000分の10(本則:1,000分の20)、建物については1,000分の2(本則:1,000分の4)とされる(措法80の3)。

2 適用関係
 良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律(令和3年法律第49号)の公布の日(令和3年5月28日)以後に受ける登記に係る登録免許税について適用される(改正法附則1十七)。

2 居住誘導区域等権利設定等促進計画に基づき不動産を取得した場合の所有権等の移転登記等の税率の軽減措置の創設

1 制度の内容
 居住誘導区域又は都市機能誘導区域内の土地又は建物について所有権の移転又は地上権若しくは賃借権の設定を受ける者が、令和3年4月1日から令和5年3月31日までの間に、居住誘導区域等権利設定等促進計画に基づき、土地又は建物の所有権、地上権又は賃借権の取得をした場合には、その土地又は建物の所有権の移転又は地上権若しくは賃借権の設定の登記に係る登録免許税の税率は、その居住誘導区域等権利設定等促進計画に係る公告があった日以後1年以内に登記を受けるものに限り、所有権の移転の登記にあっては1,000分の10(本則:1,000分の20)とされ、地上権又は賃借権の設定の登記にあっては1,000分の5(本則:1,000分の10)とされる(措法83の2の2)。

2 適用関係
 令和3年4月1日以後に受ける登記に係る登録免許税について適用される(改正法附則1)。

3 マンション建替事業の施行者等が受ける権利変換手続開始の登記等の免税措置の改正

1 改正前の制度の概要
(1)マンション建替事業に係る免税措置

 マンションの建替え等の円滑化に関する法律(以下「マンション建替円滑化法」という。)に規定する施行者等が、令和4年3月31日までに、マンション建替円滑化法の規定によるマンション建替事業に伴い受ける施行マンションの区分所有権の取得の登記等については、登録免許税は課されない(措法76①)。
(2)マンション敷地売却事業に係る免税措置
 マンション建替円滑化法に規定するマンション敷地売却組合が、令和4年3月31日までに、マンション建替円滑化法の規定によるマンション敷地売却事業に伴い受ける売却マンションの区分所有権の取得の登記等については、登録免許税は課されない(措法76②)。

2 改正の内容
(1)マンション敷地売却事業に係る免税措置

 マンション建替円滑化法の改正により、火災に対する安全性が不足しているマンション等がマンション敷地売却事業に係る要除却認定の対象に追加されたことに伴い、上記1(2)のマンション敷地売却事業に係る免税措置について、当該マンションが適用対象に追加された(措法76②)。
(2)敷地分割事業に係る免税措置
 マンション建替円滑化法に規定する敷地分割組合、除却敷地持分若しくは非除却敷地持分等を与えられることとなる者等が、マンションの管理の適正化の推進に関する法律及びマンションの建替え等の円滑化に関する法律の一部を改正する法律(令和2年法律第62号)の施行の日から令和6年3月31日までの間に、マンション建替円滑化法の規定による敷地分割事業に伴い受ける次に掲げる登記については、この期間内に登記を受けるものに限り、登録免許税を課さないこととされた(措法76③)。
① マンション建替円滑化法に規定する敷地権利変換手続開始の登記
② マンション建替円滑化法の規定による敷地権利変換後の土地及びその権利について必要な登記
 ただし、上記②に掲げる登記に係る登録免許税については、除却敷地持分又は非除却敷地持分等を与えられることとなる者が取得する土地の権利の価額とこれに対応する権利として有していた分割実施敷地持分の価額との差額(次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に定める価額)に相当する金額に対応する部分については、登録免許税の課税対象となる(措令42の3④)。
① 除却敷地持分を与えられることとなる者…その者に係る除却敷地持分の価額から分割実施敷地持分の価額を控除した残額
② 非除却敷地持分等を与えられることとなる者…その者に係る非除却敷地持分等の価額から分割実施敷地持分の価額を控除した残額
(注)除却敷地持分とは敷地分割後の除却マンションの存する敷地に対する持分をいい、非除却敷地持分等とは敷地分割後の除却敷地以外の敷地に対する持分をいい、分割実施敷地持分とは敷地分割事業を実施する敷地に対する持分をいう。

3 適用関係
 上記2(1)の改正はマンションの管理の適正化の推進に関する法律及びマンションの建替え等の円滑化に関する法律の一部を改正する法律(令和2年法律第62号)附則第1条第3号に定める日(令和2年6月24日から1年6月以内)以後に受ける登記に係る登録免許税について適用され、上記2(2)の改正は同法の施行の日(令和2年6月24日から2年以内)以後に受ける登記に係る登録免許税について適用される(改正法附則1十三イ)。

4 認定事業再編計画等(産業競争力強化法)に基づき行う登記の税率の軽減措置の改正

1 改正前の制度の概要
 産業競争力強化法に規定する認定事業再編計画又は認定特別事業再編計画に係る認定(同法の施行の日から令和4年3月31日までに受けるものに限る。)に基づいて会社の設立等を行う場合におけるその登記に係る登録免許税の税率は、これらの認定の日から1年以内に登記を受けるものに限り、1,000分の3.5等(本則1,000分の7等)に軽減される(旧措法80①)。

2 改正の内容
(1)認定事業基盤強化計画(造船法)に基づき行う登記の税率の軽減措置

 船舶産業事業者が造船法の改正により創設される事業基盤強化計画の認定を受けた場合には、産業競争力強化法の事業再編計画の認定を受けたものとみなされる。これに伴い、本特例の適用対象となる登記の範囲に、この認定を受けたものとみなされた認定事業基盤強化計画に基づき行う登記が追加された(措法80①)。
(2)産業競争力強化法の改正に伴う改正
 産業競争力強化法の改正により、特別事業再編計画の認定に係る規定が削除されたことに伴う所要の改正が行われた。

3 適用関係
 上記2(1)の改正は、海事産業の基盤強化のための海上運送法等の一部を改正する法律(令和3年法律第43号)附則第1条第2号に定める日(公布の日から3月以内)以後に受ける登記に係る登録免許税について適用される(改正法附則1十六)。
 上記2(2)の改正は、産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律(令和3年法律第70号)の施行の日(公布の日から3月以内)以後に受ける登記に係る登録免許税について適用される(改正法附則1十イ)。

5 特例事業者等が不動産特定共同事業契約により不動産を取得した場合の所有権の移転登記等の税率の軽減措置の改正

1 改正前の制度の概要
(1)
不動産特定共同事業法に規定する特例事業者(小規模特例事業者を除く。以下同じ。)又は適格特例投資家限定事業者が、同法に規定する不動産特定共同事業契約に係る不動産取引の目的となる不動産で次に掲げるものの取得をした場合には、その不動産の所有権の移転の登記に係る登録免許税の税率は、令和3年3月31日までに登記を受けるものに限り、1,000分の13とされている(旧措法83の3①)。
① 建替え等により特定建築物の新築又は改築をする場合において、その特定建築物の敷地の用に供することとされている土地
② ①の土地を敷地とする①の建替えが必要な建築物
③ 特定建築物とするために一定の増築、修繕又は模様替((2)において「特定増築等」という。)をすることが必要な建築物
④ ③の建築物の敷地の用に供されている土地
(注)上記の特定建築物とは、次に掲げる要件の全てを満たす耐火建築物又は準耐火建築物であって、一定の耐震基準に適合するものをいう(旧措令43の3③)。
 イ 建築物の用途が、住宅、事務所、店舗、旅館、ホテル、料理店、駐車場(路外駐車場に限る。)、学校、病院、介護施設、図書館、博物館、会館、公会堂、劇場、映画館、遊技場又は倉庫であること。ただし、店舗型性風俗特殊営業及び店舗型電話異性紹介営業の用は除く。
 ロ 建築物の階数が5以上又は延べ面積が2,000㎡以上であること。
 ハ 建築物の構造が、鉄骨造、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造等であること。
(2)不動産特定共同事業法に規定する特例事業者又は適格特例投資家限定事業者が、不動産特定共同事業契約に係る不動産取引の目的となる建築物(上記(1)①の土地に建築をする特定建築物又は上記(1)③の建築物に限る。)の新築、改築又は特定増築等をした場合には、その建築物(特定増築等の場合には、その特定増築等部分に限る。)の所有権の保存の登記に係る登録免許税の税率は、令和3年3月31日までに登記を受けるものに限り、1,000分の3とされている(措法83の3②)。
(3)不動産特定共同事業法に規定する小規模不動産特定共同事業者又は小規模特例事業者が、不動産特定共同事業契約に係る不動産取引の目的となる建築物で次に掲げるものの取得をした場合には、その建築物の所有権の移転の登記に係る登録免許税の税率は、令和3年3月31日までに登記を受けるものに限り、1,000分の13とされていた(旧措法83の3③)。
① 特例建築物の新築又は改築をする場合におけるその建替えが必要な建築物
② 特例建築物とするために一定の増築、修繕又は模様替((4)において「特例増築等」という。)をすることが必要な建築物
(注)特例建築物とは、住宅、事務所、店舗、旅館、ホテル、料理店、駐車場(路外駐車場に限る。)、学校、病院、介護施設、図書館、博物館、会館、公会堂、劇場、映画館、遊技場又は倉庫の用に供する建築物をいう。ただし、店舗型性風俗特殊営業及び店舗型電話異性紹介営業の用に供するものは除く(旧措令43の3⑦)。
(4)不動産特定共同事業法に規定する小規模不動産特定共同事業者又は小規模特例事業者が、上記(3)の不動産特定共同事業契約に係る不動産取引の目的となる建築物(特例建築物又は上記(3)②の建築物に限る。)の新築、改築又は特例増築等をした場合には、その建築物(特例増築等の場合にあっては、その特例増築等部分に限る。)の所有権の保存の登記に係る登録免許税の税率は、令和3年3月31日までに登記を受けるものに限り、1,000分の3とされている(措法83の3④)。

2 改正の内容
 次の見直しが行われた上、適用期限が令和5年3月31日まで2年延長された。
(1)特定建築物及び特例建築物の用途の追加
 本特例の対象となる特定建築物及び特例建築物の用途の範囲に保育所が追加された(措令43の3③一⑦)。
(2)特定建築物の規模要件の見直し
 特定建築物の規模に係る要件を、次のとおり用途別に設定することとされた(措令43の3③二)。
① 住宅(サービス付き高齢者向け住宅を除く。)、駐車場又は倉庫…建築物の階数が5以上又は延べ面積が2,000㎡以上であること
② ①の用途以外の用途…次に掲げる要件のいずれかを満たすこと
 イ ①に定める要件
 ロ 次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次に定める要件
 (イ)建築物の新築等をした場合…建築物に係る建築面積が150㎡以上であること及び建築物の床面積1㎡当たりの工事に要した費用が25万円以上であること
 (ロ)建築物の特定増築等をした場合…建築物に係る建築面積が150㎡以上であること

3 適用関係
 上記2の改正は、令和3年4月1日以後に不動産を取得する場合の所有権の移転登記又は建築物を建築する場合の所有権の保存登記に係る登録免許税について適用され、同日前に取得又は建築をした場合については、従前どおりとされている(改正措令附則30③④)。

6 相続に係る所有権の移転登記の免税措置の拡充

1 改正前の制度の概要
(1)相続登記が未了で数次相続が発生している土地の免税

 個人が相続(相続人に対する遺贈を含む。以下同じ。)により土地の所有権を取得した場合において、その個人がその相続によるその土地の所有権の移転の登記を受ける前に死亡したときは、平成30年4月1日から令和3年3月31日までの間にその個人をその土地の所有権の登記名義人とするために受ける登記については、登録免許税を課さないこととされていた(旧措法84の2の3①)。
(2)行政目的のため相続登記を促進する必要のある土地の免税
 個人が、所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法の施行の日から令和3年3月31日までの間に、土地について相続による所有権の移転の登記を受ける場合において、その土地が相続による土地の所有権の移転の登記の促進を特に図る必要があるものであり、かつ、その土地のその登記に係る登録免許税の課税標準たる不動産の価額が10万円以下であるときは、その土地の相続による所有権の移転の登記については、登録免許税を課さないこととされていた(旧措法84の2の3②)。

2 改正の内容
(1)行政目的のため相続登記を促進する必要のある土地の免税の対象となる登記の範囲の見直し

 本特例の対象となる登記の範囲に、土地の表題部所有者の相続人が受ける所有権の保存の登記が追加された(措法84の2の3②)。
(2)適用期限の延長
 本特例の適用期限が令和4年3月31日まで1年延長された(措法84の2の3①②)。

3 適用関係
 上記2(1)については、令和3年4月1日以後に受ける登記に係る登録免許税について適用される(改正法附則1)。

7 農用地利用集積等促進事業により農用地等を取得した場合の所有権の移転登記の税率の軽減の特例の創設

1 制度の内容
 利用権設定等促進事業により農用地等を取得した場合の所有権の移転登記の税率の軽減(措法77)は、本来、農業経営基盤強化促進法に規定する利用権設定等促進事業により、一定の区域内において、農用地等を取得した場合に、その利用権設定等促進事業に係る市町村長が作成した農用地利用集積計画の公告の日以後1年以内に登記を受けるものに限り認められる措置である。
 今般、福島復興再生特別措置法に規定する農用地利用集積等促進事業(同法に規定する福島農林水産業振興施設の整備に係るものを除く。)により、一定の区域内において、農用地等を取得した場合に、その農用地利用集積等促進事業に係る福島県知事が作成した農用地利用集積等促進計画の公告の日以後1年以内に登記を受ける場合であっても、その適用が認められることとされた(震災税特法40の2の2)。

2 適用関係
 上記1の改正は、令和3年4月1日以後に農用地利用集積等促進事業により取得する土地の所有権の移転の登記に係る登録免許税について適用される(改正法附則1)。

8 その他の改正

1 租税特別措置等の適用期限の延長等
(1)
預金保険法に規定する第一号措置を行うべき旨の内閣総理大臣の決定等に基づく預金保険機構による金融機関等の株式の引受け等に伴い、当該金融機関等が受ける資本金の額の増加の登記等に係る税率の軽減措置(旧措法80⑤)が、租税特別措置法から削除され、恒久措置として預金保険法に規定されることとされた(預金保険法135④)。
(2)次に掲げる租税特別措置の適用期限が令和5年3月31日まで2年延長された。
 ① 土地の売買による所有権の移転登記等の税率の軽減措置(措法72)
 ② 利用権設定等促進事業により農用地等を取得した場合の所有権の移転登記の税率の軽減措置(措法77)
 ③ 信用保証協会等が受ける抵当権の設定登記等の税率の軽減措置(措法78)
 ④ 農業競争力強化支援法に規定する認定事業再編計画に基づき行う登記の税率の軽減措置(措法80④)
 ⑤ 認定民間都市再生事業計画に基づき建築物を建築した場合の所有権の保存登記の税率の軽減措置(措法83)
 ⑥ 特定目的会社が資産流動化計画に基づき特定不動産を取得した場合等の所有権の移転登記の税率の軽減措置(措法83の2の3)
(3)東日本大震災の被災者等が建造又は取得をした船舶又は航空機に係る所有権の保存登記等の免税措置について、適用対象から漁船以外の船舶及び航空機に係る保存登記等が除外されるとともに、その適用期限が令和8年3月31日まで5年延長された(震災税特法41)。
(4)次に掲げる特例措置の適用期限が令和8年3月31日まで5年延長された。
 ① 東日本大震災の被災者等が新築又は取得をした建物に係る所有権の保存登記等の免税措置(震災税特法39)
 ② 東日本大震災の被災者等が被災代替建物に係る土地を取得した場合の所有権の移転登記等の免税措置(震災税特法40)
 ③ 東日本大震災の被災者等が取得した農用地に係る所有権の移転登記等の免税措置(震災税特法40の2)
 ④ 被災関連市町村から特定の交換により土地を取得した場合の所有権の移転登記の免税措置(震災税特法40の3)

2 租税特別措置等の廃止
 次に掲げる特例措置は、適用期限の到来をもって廃止された。
(1)東日本大震災の被災者等が受ける本店等の移転の登記等の免税措置(旧震災税特法41の3)
(2)株式会社商工組合中央金庫が受ける抵当権の設定登記等の税率の特例に係る適用期間の延長の特例措置(旧震災税特法41の4)

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