税務ニュース2021年07月09日 ムゲン裁判の一部敗訴不服とし国が上告(2021年7月12日号・№890) “平成9年回答”根拠とした過少申告加算税取消し部分の破棄求める
ムゲンエステート事件の東京高裁判決のうち、過少申告加算税の賦課決定取消し部分を不服とする国は令和3年7月1日、当該部分の破棄を求める上告受理申立て理由書(以下「理由書」)を提出した。東京高裁判決では、消費税等の更正処分は容認されたものの、過少申告加算税の賦課決定処分については「税務当局が過去の見解を変更したのに納税者への周知などの必要な措置を講じていなかったこと」により「原告の過少申告には『正当な理由』がある」として、処分が取り消されていた。
理由書における国の主張は以下の通り。①過少申告加算税の趣旨に照らせば、過少申告があっても例外的に過少申告加算税が課されない場合として国税通則法65条4項の定める「正当な理由があると認められる」場合とは、真に納税者の責めに帰することのできない客観的な事情があり、過少申告加算税の趣旨に照らしてもなお、納税者に過少申告加算税を賦課することが不当又は酷になる場合をいうものと解するのが確立した判例である。
②相手方が本件各確定申告において依拠した法令解釈については、課税庁において統一的に採用されていたことを示す通達や課税庁監修の公刊物が存在しておらず、平成9年回答は一般の納税者が確定申告をするに当たって法令を解釈する際の信頼形成の根拠となり得るものではないから、課税庁の公権的解釈ないし課税上の取扱いとして一般の納税者に明らかにされていたとはいえない。
③相手方が平成9年回答に依拠して本件確定申告をしたとは認められない。
④その他の要素を考慮しても相手方が本件確定申告において依拠した法令解釈に合理的な論拠があったとみることはできない。
このほか国は、「相手方が本件各確定申告において依拠した法令解釈には相応の論拠が客観的に存在したとはいえず、本件各確定申告の申告額が過少であったことは、消費税法30条2項1号の個別対応方式における用途区分の判定に関する一般的な解釈とは異なる解釈に基づく単なる法令解釈の誤りによるものにすぎないから、本件は国税通則法65条4項に定める『正当な理由があると認められる』場合には当たらないというべきである。」「本件は法令の解釈に関する重要な事項を含むものである。」と主張している。
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