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税務ニュース2021年08月20日 税制改正解説にTPR判決と類似の記述(2021年8月23日号・№894) 事業移転なき組織再編は非適格となることを再確認する意図の可能性

  • 令和3年度版税制改正の解説に、『組織再編税制では、単なる資産の譲渡ではなく「事業」を移転する場合について、その事業の支配が継続することを要件に、譲渡損益の計上を繰り延べる』というTPR判決の内容と同趣旨の記述。
  • 「事業」が移転しない組織再編は税制非適格となることを再確認する意図の可能性も。

 令和3年度税制改正では、自社株等対価M&Aに係る特例が組織再編税制の枠外の「租税特別措置」として導入されたが、令和3年度「税制改正の解説」ではその理由が下記の通り説明されている(662頁)。

(注)法人税法における組織再編税制では、単なる資産の譲渡ではなく「事業」を移転する場合について、その事業の支配が継続することを要件に、譲渡損益の計上を繰り延べることとされています。しかしながら、株式交付により、株式交付子会社の株主が株式対価での買収に応ずる場合には、その株式の譲渡は、事業の移転とはいえず、法人税法上、譲渡損益の計上が繰り延べられる組織再編成には該当しません。
以下略

 従来、組織再編税制が譲渡損益の繰延べの要件としているのは「移転資産に対する支配の継続」であり、少なくとも完全支配関係がある中での組織再編では「事業の支配の継続」までは求められていないと考えられてきた。この考え方を覆したのがTPR事件だ。ヤフー・IDCF事件に続く法人税法132条の2の適用事案であるTPR事件では、TPR側の「完全支配関係下の適格合併には事業継続要件が法令上要件とされていない」との主張に対し、裁判所は「組織再編税制は、組織再編成により資産が事業単位で移転し、組織再編成後も移転した事業が継続することを想定しているものと解される」と判示し、「完全支配関係下の適格合併にも、組織再編税制の基本的な考え方から事業の継続が想定されている」として、TPR側の主張を斥けたところ。TPR判決は既に最高裁で国側勝訴のまま確定している(令和3年1月15日付 TPRの上告棄却決定)。税制改正の解説における上記記述はTPR判決と同趣旨に見え、今後同種事案に対し、「事業の移転のない組織再編は税制非適格となる」というメッセージが込められていると受け取れなくもない。財務省のオフィシャルな見解である「税制改正の解説」でこの考え方が明記されたインパクトは小さくないと言えそうだ。

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