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解説記事2021年08月23日 税制改正解説 令和3年度における国際課税関係の改正について(2021年8月23日号・№894)

税制改正解説
令和3年度における国際課税関係の改正について
 吉田雅史


はじめに
 経済のデジタル化・グローバル化や取引の多様化・複雑化が進展する中、国際課税制度の重要性はますます高まっている。近年、我が国はBEPSプロジェクトの合意事項等を踏まえ、国際的な課税逃れの防止に向けて累次の制度整備を行ってきたところであり、現在は、経済のデジタル化に伴う国際課税上の課題への対応について、OECDを中心に、引き続き精力的な議論が続けられている。国際課税制度については、経済活動の重要なインフラとして、こうした環境の変化や重要性の高まりを踏まえ、健全な経済活動を支援しつつ、公平な競争条件を確保し、国際的な課税逃れに対しては的確に対応していく観点から、引き続き、必要な見直しを行っていく必要がある。
 こうした基本的な考え方の下、令和3年度税制改正においては、主として以下のような見直しを行っている。
 第一に、日本の金融資本市場を国際金融センターの一つとして発展させ、海外から金融事業者・高度人材を呼び込むことは重要な課題であり、規制・税制面の取組みを行うとされているところ、この一環として、国際課税制度においては、外国組合員に対する課税の特例について、より経済活動の実態に即した課税関係を整備し投資促進につなげる観点から、特例適用に係る持分割合要件の判定方法の見直しが行われた。
 第二に、デジタルガバメントの推進や、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う課題への対応を図る観点から、非居住者等が源泉徴収義務者等へ提出するクロスボーダー取引に係る各種申告書・届出書等について、書面による提出に代えて、電子メール等の電磁的方法による提供を行うことができることとされた。
 このほか、過大支払利子税制、外国法人の恒久的施設に帰せられるべき資本に対応する負債の利子の損金不算入制度等、過少資本税制及び内国法人が外国子会社から受ける配当等の額に係る外国源泉税等の額の取扱いについて、それぞれ制度趣旨及び経済活動の実態に即してより一層各制度の適正化を図るといった観点からの見直しが講じられている。
 これらの改正を含む国際課税の改正は、次の法令により行われている。
(法律)
・平成32年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法等の一部を改正する法律(令2.12.4法律第68号)
・所得税法等の一部を改正する法律(令3.3.31法律第11号)
(政令)
・平成32年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法等の一部を改正する法律の施行期日を定める政令(令2.12.24政令第372号)
・平成32年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令(令2.12.24政令第373号)
・所得税法施行令の一部を改正する政令(令3.3.31政令第113号)
・法人税法施行令の一部を改正する政令(令3.3.31政令第114号)
・国税通則法施行令の一部を改正する政令(令3.3.31政令第117号)
・租税特別措置法施行令等の一部を改正する政令(令3.3.31政令第119号)
・法人税法施行令等の一部を改正する政令の一部を改正する政令(令3.3.31政令第130号)
(省令)
・租税特別措置法施行規則の一部を改正する省令(令2.12.24財務省令第88号)
・租税条約等の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律の施行に関する省令の一部を改正する省令(令2.12.28総務省・財務省令第5号)
・外国居住者等の所得に対する相互主義による所得税等の非課税等に関する法律施行規則の一部を改正する省令(令3.3.31総務省・財務省令第2号)
・租税条約等の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律の施行に関する省令の一部を改正する省令(令3.3.31総務省・財務省令第3号)
・所得税法施行規則の一部を改正する省令(令3.3.31財務省令第15号)
・法人税法施行規則の一部を改正する省令(令3.3.31財務省令第16号)
・租税特別措置法施行規則等の一部を改正する省令(令3.3.31財務省令第21号)
・復興特別所得税に関する省令の一部を改正する省令(令3.3.31財務省令第28号)
・法人税法施行規則等の一部を改正する省令の一部を改正する省令(令3.3.31財務省令第33号)
・法人税法施行規則の一部を改正する省令(令3.4.15財務省令第42号)(申告書別表関係)
・地方法人税法施行規則の一部を改正する省令(令3.4.15財務省令第43号)(申告書別表関係)
・復興特別法人税に関する省令の一部を改正する省令(令3.4.15財務省令第45号)(申告書別表関係)
・法人税法施行規則等の一部を改正する省令の一部を改正する省令(令3.4.15財務省令第46号)(申告書別表関係)

1 外国組合員に対する課税の特例の改正
(1)適用要件の見直し

 投資組合財産に対する持分割合は、一定の特定組合契約(特例適用投資組合契約を直接に締結している組合に係る組合契約をいう。)に係る組合財産として投資組合財産に対する持分を有する者(その特例適用投資組合契約を締結している外国組合員及びその外国組合員と特殊の関係のある者を除く。)のその特定組合契約に係る組合財産に係る持分割合を除外して計算した割合とすることとされた(措令26の30④⑨⑩)。
(2)特例適用申告書の提出手続の見直し
 特例適用申告書及びその添付書類を5年ごとに提出しなければならないこととされた(措法41の21⑨二⑩、67の16④)。
(3)特例適用申告書等の電子提出の特例等
① 特例適用申告書等の配分の取扱者に対する書面による提出に代えて、その配分の取扱者に対してその特例適用申告書等に記載すべき事項の電磁的方法による提供を行うことができることとされた。この場合において、その提供があったときは、その特例適用申告書等をその配分の取扱者に提出したものとみなすこととされた(措法41の21⑪、67の16④、措規19の12⑮、22の19の2①)。
② 特例適用申告書等に記載すべき事項を電磁的方法により提供する場合には、配分の取扱者に対する書面によるその特例適用申告書等の添付書類の提出に代えて、その配分の取扱者に対してその添付書類に記載されるべき事項の電磁的方法による提供を行うことができることとされた。この場合において、その提供を行った外国組合員は、その特例適用申告書等にその添付書類を添付して、提出したものとみなすこととされた(措法41の21⑬、67の16④)。
(4)適用関係
① (1)の改正の適用関係は以下のとおり。
 イ 所得税の特例
   外国組合員である非居住者が令和3年4月1日以後に有することとなる国内源泉所得又は外国組合員である外国法人が同日以後に支払を受けるべき国内源泉所得について適用し、外国組合員である非居住者が同日前に有することとなった国内源泉所得又は外国組合員である外国法人が同日前に支払を受けるべき国内源泉所得については従前どおり(改正措令附則14)。
 ロ 法人税の特例
   外国組合員である外国法人が令和3年4月1日以後に有することとなる国内源泉所得について適用し、外国組合員である外国法人が同日前に有することとなった国内源泉所得については従前どおり。
② (2)の改正は、令和3年4月1日から施行(改正法附則1、改正措規附則1)。なお、次のとおり適用関係が定められている。
  令和3年4月1日前に改正前の制度に基づき提出された特例適用申告書(その特例適用申告書又はその特例適用申告書につき提出された変更申告書の提出後に所定の事項の変更をした場合において、その変更をした日以後同年3月31日までに変更申告書の提出がなされていないときにおけるその特例適用申告書を除く。)は、同年4月1日において改正後の制度に基づき提出された特例適用申告書とみなす(改正法附則40①、59①)。
③ (3)の改正は、令和3年4月1日以後に配分の取扱者に対して行う電磁的方法による特例適用申告書等に記載すべき事項及びその特例適用申告書等の添付書類に記載されるべき事項の提供について適用(改正法附則40③、59③)。

2 クロスボーダー取引に係る利子等の課税の特例等における非課税適用申告書等の電子提出の特例の創設等
(1)振替国債等の利子の課税の特例等の改正

① 振替国債等の利子の課税の特例の改正
 イ 非課税適用申告書等の電子提出
  次に掲げる書類の特定振替機関等に対する書面による提出に代えて、その特定振替機関等に対してその書類に記載すべき事項又は記載されている事項の電磁的方法による提供を行うことができることとされた。この場合において、その提供があったときは、その書類をその特定振替機関等に提出したものとみなすこととされた(措法5の2⑰、措規3の18)。
 (イ)非課税適用申告書等
 (ロ)組合等届出書等及び組合契約書等の写し
 ロ 適格外国仲介業者の承認申請書等の電子提出
 (イ)適格外国仲介業者の承認申請書の特定振替機関に対する書面による提出に代えて、その特定振替機関に対してその適格外国仲介業者の承認申請書に記載すべき事項の電磁的方法による提供を行うことができることとされた。この場合において、その提供があったときは、その適格外国仲介業者の承認申請書をその特定振替機関に提出したものとみなすこととされた(措令3⑮、措規3の18)。
 (ロ)適格外国仲介業者の承認申請書に記載すべき事項を電磁的方法により提供する場合には、特定振替機関に対する書面によるその適格外国仲介業者の承認申請書の添付書類の提出に代えて、その特定振替機関に対してその添付書類に記載されるべき事項の電磁的方法による提供を行うことができることとされた。この場合において、その提供を行った者は、その適格外国仲介業者の承認申請書にその添付書類を添付して、提出したものとみなすこととされた(措令3⑯、措規3の18⑧⑨)。
② 振替社債等の利子等の課税の特例の改正
 イ 非課税適用申告書等の電子提出
  本特例における非課税適用申告書等の提出、適格外国仲介業者の承認申請書等の提出及び適格口座管理機関の承認申請書等の提出についても、上記①の振替国債等の利子の課税の特例の改正と同様の措置を講じることとされた(措法5の3⑨、措令3の2⑪⑯、措規3の19④⑥⑮)。
 ロ 特殊関係者の通知書の電子提出等
  特殊関係者の通知書の特定振替機関等又は適格外国仲介業者に対する書面による提出に代えて、その特定振替機関等又は適格外国仲介業者に対してその特殊関係者の通知書に記載すべき事項の電磁的方法による提供を行うことができることとされた(措令3の2、措規3の19⑮)。
③ 振替割引債の差益金額等の課税の特例の改正
  本特例における非課税適用申告書等の提出、適格外国仲介業者の承認申請書等の提出、適格口座管理機関の承認申請書等の提出及び特殊関係者の通知書の提出についても、上記①の振替国債等の利子の課税の特例の改正及び上記②の振替社債等の利子等の課税の特例の改正と同様の措置を講じることとされた(措法41の13の3⑫、措令26の20⑭⑲、措規19の7④⑥⑮)。
(2)民間国外債等の利子の課税の特例の改正
 非課税適用申告書の民間国外債等の利子の支払をする者に対する書面による提出に代えて、その利子の支払をする者に対してその非課税適用申告書に記載すべき事項の電磁的方法による提供を行うことができることとされた。この場合において、その提供があったときは、その非課税適用申告書をその利子の支払をする者に提出したものとみなすこととされた(措法6⑧⑪⑬、措規3の20⑧)。
(3)外国金融機関等の店頭デリバティブ取引の証拠金に係る利子の課税の特例の改正
① 非課税適用申告書等の電子提出の特例
  非課税適用申告書等の店頭デリバティブ取引の証拠金に係る利子の支払をする者等に対する書面による提出に代えて、その利子の支払をする者等に対してその非課税適用申告書等に記載すべき事項の電磁的方法による提供を行うことができることとされた。この場合において、その提供があったときは、その非課税適用申告書等をその利子の支払をする者等に提出したものとみなすこととされた(措法42⑪、措規19の14の3⑱)。
② 適用期限の延長
  適用期限が令和6年3月31日まで3年延長された(措法42①②)。
(4)外国金融機関等の債券現先取引等に係る利子等の課税の特例の改正
① 非課税適用申告書等の電子提出の特例
  非課税適用申告書等の特定利子の支払をする者等に対する書面による提出に代えて、その特定利子の支払をする者等に対してその非課税適用申告書等に記載すべき事項の電磁的方法による提供を行うことができることとされた。この場合において、その提供があったときは、その非課税適用申告書等をその特定利子の支払をする者等に提出したものとみなすこととされた(措法42の2⑭、措規19の15)。
② 適用期限の延長
  特定外国法人が特定金融機関等との間で行う債券現先取引に係る利子等の非課税措置の適用期限が令和5年3月31日まで2年延長された(措法42の2③、67の17⑨)。
(5)条約届出書等の提出手続の改正
① 条約届出書等の電子提出の特例
 イ 届出書等の源泉徴収義務者等に対する書面による提出に代えて、その源泉徴収義務者等に対してその届出書等に記載すべき事項(以下①において「届出書等記載事項」という。)の電磁的方法による提供を行うことができることとされた。その届出書等の提出をする者がその源泉徴収義務者等に届出書等記載事項を電磁的方法により提供した場合には、その届出書等の提出をする者は、その届出書等記載事項に係る届出書等をその源泉徴収義務者等に提出したものとみなすこととされた(実特規14の2①⑨)。
 ロ 届出書等記載事項を電磁的方法により提供する場合には、届出書等の提出の際に経由すべき源泉徴収義務者等に対する書面によるその届出書等の添付書類の提出に代えて、その源泉徴収義務者等に対してその添付書類に記載すべきものとされ、又は記載されている事項の電磁的方法による提供を行うことができることとされた。この場合において、その提供を行った届出書等の提出をする者は、その届出書等にその添付書類を添付して、提出したものとみなすこととされた(実特規14の2③④⑥⑨二)。
② 免税芸能法人等に関する届出書の電子提出の特例
  免税芸能法人等に関する届出書の芸能人等の役務提供に係る人的役務提供事業の対価の支払をする者に対する書面による提出に代えて、その対価の支払をする者に対してその免税芸能法人等に関する届出書に記載すべき事項(以下②において「記載事項」という。)の電磁的方法による提供を行うことができることとされた。免税芸能法人等がその対価の支払をする者に記載事項を電磁的方法により提供した場合には、その免税芸能法人等は、その記載事項に係る免税芸能法人等に関する届出書をその対価の支払をする者に提出したものとみなすこととされた(措令26の32④、措規19の14③〜⑥)。
(6)適用関係
① (1)①イの改正は、令和3年4月1日以後に特定振替機関等に対して行う電磁的方法による非課税適用申告書等に記載すべき事項の提供について適用(改正法附則21)。
② (1)①ロ(イ)の改正は、令和3年4月1日以後に特定振替機関に対して行う電磁的方法による適格外国仲介業者の承認申請書に記載すべき事項の提供について適用(改正措令附則5①)。
③ (1)①ロ(ロ)の改正は、令和3年4月1日以後に特定振替機関に対して行う電磁的方法による適格外国仲介業者の承認申請書に添付すべき書類に記載されるべき事項の提供について適用(改正措令附則5②)。
④ (1)②イの改正は、(1)①の振替国債等の利子の課税の特例の改正に係る適用関係と同様(改正法附則21、改正措令附則5①②)。
⑤ (1)②ロの改正は、令和3年4月1日以後に提出する特殊関係者の通知書について適用し、同日前に提出した特殊関係者の通知書については従前どおり(改正措令附則5③)。
⑥ (1)③の改正は、(1)①の振替国債等の利子の課税の特例の改正及び上記(1)②の振替社債等の利子等の課税の特例の改正に係る適用関係と同様(改正法附則21、改正措令附則13)。
⑦ (2)の改正は、令和3年4月1日以後に民間国外債等の利子の支払をする者に対して行う電磁的方法による非課税適用申告書に記載すべき事項の提供について適用(改正法附則22)。
⑧ (3)①の改正は、令和3年4月1日以後に店頭デリバティブ取引の証拠金に係る利子の支払をする者等に対して行う電磁的方法による非課税適用申告書等に記載すべき事項の提供について適用(改正法附則41)。
⑨ (3)②の改正は、令和3年4月1日から施行(改正法附則1)。
⑩ (4)①の改正は、令和3年4月1日以後に特定利子の支払をする者等に対して行う電磁的方法による非課税適用申告書等に記載すべき事項の提供について適用(改正法附則42)。
⑪ (4)②の改正は、令和3年4月1日から施行(改正法附則1)。
⑫ (5)①の改正は、令和3年4月1日以後に源泉徴収義務者等に対して行う電磁的方法による届出書等記載事項の提供について適用(改正実特規附則②)。
⑬ (5)②の改正は、令和3年4月1日以後に芸能人等の役務提供に係る人的役務提供事業の対価の支払をする者に対して行う電磁的方法による記載事項の提供について適用(改正措令附則15)。

3 その他
(1)対象純支払利子等に係る課税の特例(過大支払利子税制)の見直し

① 対象外支払利子等の額
  過大支払利子税制の対象から除外される対象外支払利子等の額に、次に掲げる金額が追加された(措法66の5の2②三ニ、68の89の2②三ホ、措令39の13の2⑫⑬、39の113の2⑪⑫)。
 イ 生命保険会社の締結した保険契約に基づいて保険業法第116条第1項に規定する責任準備金として積み立てられた金額のうち保険料積立金に係る支払利子等に相当する金額
 ロ 損害保険会社の締結した保険契約に係るイに掲げる金額に準ずる金額
② 控除対象受取利子等合計額
  法人が公社債投資信託の収益の分配の額の支払を受ける場合において、その支払を受ける収益の分配の額のうち公社債の利子から成る部分の金額があるときは、その公社債の利子から成る部分の金額を控除対象受取利子等合計額の計算における受取利子等の額の合計額に加算することができることとされた(措令39の13の2、39の113の2)。
(2)外国法人の恒久的施設に帰せられるべき資本に対応する負債の利子の損金不算入制度等の改正
① 外国法人の恒久的施設に帰せられるべき資本に対応する負債の利子の損金不算入制度
  本制度における損金不算入額の計算に用いる外国法人の恒久的施設に帰せられる負債は、その恒久的施設を通じて行う事業に係る負債の利子の支払の基因となる負債その他資金の調達に係る負債とされた(法令188⑫二)。
② 内国法人の国外事業所等に帰せられるべき資本に対応する負債の利子の損金不算入制度
  本制度における損金不算入額の計算に用いる内国法人の国外事業所等に帰せられる負債は、その国外事業所等を通じて行う事業に係る負債の利子の支払の基因となる負債その他資金の調達に係る負債とされた(法令141の4⑧二)。
(3)国外支配株主等に係る負債の利子等の課税の特例(過少資本税制)の改正
 過少資本税制の適用要件及び損金不算入額の計算に用いられる国外支配株主等及び資金供与者等に対する負債並びに内国法人又は類似法人の総負債について、負債の利子等の支払の基因となる負債その他資金の調達に係る負債とされた(措法66の5①②③⑤四、68の89①②③⑤四、措令39の13①②⑥⑩、39の113①②⑥⑩、措規22の10の6①、22の75の2)。
(4)内国法人が外国子会社から受ける配当等の額に係る外国源泉税等の額の取扱いの見直し等
① 外国子会社配当益金不算入制度の適用を受ける剰余金の配当等の額につき外国子会社合算税制との二重課税調整規定の適用を受ける場合の外国源泉税等の額に係る損金算入
  内国法人が外国法人から受ける剰余金の配当等の額(外国子会社配当益金不算入制度の適用を受けるものに限る。)につき内国法人の外国関係会社に係る所得の課税の特例(以下①及び②において「外国子会社合算税制」という。)との二重課税調整規定の適用を受ける場合のその剰余金の配当等の額に係る外国源泉税等の額の損金算入について、その外国子会社合算税制との二重課税調整規定の適用を受ける部分に対応する外国源泉税等の額に限り、損金算入を認めることとされた(措法66の8⑯、68の92⑯)。
② 外国子会社配当益金不算入制度の適用を受けない剰余金の配当等の額につき外国子会社合算税制との二重課税調整規定の適用を受ける場合の外国源泉税等の額に係る外国税額控除(法令142の2⑧一・二、155の27⑥一・二)
 イ 内国法人が外国法人(外国子会社に該当するものを除く。)から受ける剰余金の配当等の額につき外国子会社合算税制との二重課税調整規定の適用を受ける場合のその剰余金の配当等の額に係る外国源泉税等の額の外国税額控除について、その外国子会社合算税制との二重課税調整規定の適用を受ける部分に対応する外国源泉税等の額に限り、外国税額控除の対象から除外することとされた。
 ロ 内国法人が外国法人から受ける損金算入配当等の額につき外国子会社合算税制との二重課税調整規定の適用を受ける場合のその剰余金の配当等の額に係る外国源泉税等の額の外国税額控除について、その外国子会社合算税制との二重課税調整規定の適用を受ける部分に対応する外国源泉税等の額に限り、外国税額控除の対象から除外することとされた。
③ 居住者の外国関係会社に係る所得の課税の特例の改正
  居住者の外国関係会社に係る所得の課税の特例における課税対象金額に係る雑所得の金額の計算上必要経費に算入すべき特定外国関係会社又は対象外国関係会社から受ける剰余金の配当等の額に係る外国所得税の額について、その剰余金の配当等の額のうち本特例との二重課税調整規定の適用を受ける部分の金額に対応する外国所得税の額に限ることとされた(措令25の19③二)。
④ 特殊関係株主等である内国法人等に係る外国関係法人に係る所得の課税の特例(コーポレート・インバージョン対策合算税制)の改正
  内国法人等が特殊関係株主等である内国法人等に係る外国関係法人に係る所得の課税の特例の適用を受ける場合においても上記①から③までと同様の見直しが行われた(措法66の9の4⑭、68の93の4⑭、法令142の2⑧三・四、155の27⑥三・四、措令25の25⑨)。
(5)株式等を対価とする株式の譲渡に係る所得の計算の特例の創設
 株式交付子会社の株主である外国法人等が、株式交付により株式交付子会社の株式を譲渡し、その株式交付に係る株式交付親会社の株式の交付を受けた場合には、その交付を受けた株式交付親会社の株式が恒久的施設管理株式交付親会社株式以外の株式に該当するときは、本制度の適用はないこととされた(措法37の13の3②、66の2の2②、措令25の12の3②、39の10の3①)。
(6)その他の国際課税の改正
① 納税環境整備
 イ 税務関係書類における押印義務の見直し
 (イ)外国法人の法人税等の申告書における記名押印制度
   外国法人の法人税等の申告書における記名押印制度は廃止された(旧法法151、旧地法法30、旧財確法60)。
 (ロ)国外関連者との取引に係る課税の特例等に係る納税の猶予制度
   国外関連者との取引に係る課税の特例等に係る納税の猶予の適用を受ける場合担保の種類ごとに必要となる提出書類(担保提供関係書類)について法令上明確化された(措規22の10の2)。
 ロ 相手国等の租税の徴収の共助
   今般の国税通則法の改正において、納税管理人制度の拡充がされたことに伴い、相手国等の租税の徴収の共助において所要の整備が行われた(実特法11④柱書、実特令7①柱書、実特規17③)。
② 東京オリンピック競技大会又は東京パラリンピック競技大会に参加等をする非居住者等に係る課税の特例の改正
  適用期限が令和3年12月31日まで1年延長された(措法41の23①③、67の16の2①②)。
③ 非居住者に係る金融口座情報の自動的交換のための報告制度の改正
  報告対象国の範囲に、ニューカレドニアを加えることとされた(実特規別表六十)。
(7)適用関係
① (1)の改正は、法人の令和3年3月31日以後に終了する事業年度分の法人税について適用し、法人の同日前に終了した事業年度分の法人税については従前どおり(改正法附則1一、55、71、改正措令附則1一)。
② (2)①の改正は、外国法人の令和3年4月1日以後に開始する事業年度の所得に対する法人税について適用し、外国法人の同日前に開始した事業年度の所得に対する法人税については、従前どおり(改正法令附則5)。
③ (2)②の改正は、内国法人の令和3年4月1日以後に開始する事業年度の所得に対する法人税について適用し、内国法人の同日前に開始した事業年度の所得に対する法人税については、従前どおり(改正法令附則3)。
④ (3)の改正は、法人の令和3年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税について適用し、法人の同日前に開始した事業年度の所得に対する法人税については、従前どおり(改正法附則43)。
⑤ (4)①の改正は、内国法人の令和3年4月1日以後に開始する事業年度において外国法人から受ける剰余金の配当等の額がある場合について適用し、内国法人の同日前に開始した事業年度において開始した事業年度において外国法人から受けた剰余金の配当等の額がある場合については従前どおり(改正法附則56、72)。
⑥ (4)②の改正は、内国法人の令和3年4月1日以後に開始する事業年度の所得に対する法人税について適用し、内国法人の同日前に開始した事業年度の所得に対する法人税については従前どおり(改正法令附則3、4)。
⑦ (4)③の改正は、居住者が令和4年1月1日以後に納付することとなる剰余金の配当等の額に係る外国所得税の額について適用し、居住者が同日前に納付することとなった剰余金の配当等の額に係る外国所得税の額については従前どおり(改正措令附則11)。
⑧ (4)④の改正は、(4)①から③までと同様の適用関係(改正法附則56、72、改正法令附則3、4、改正措令附則11)。
⑨ (5)の改正は、令和3年4月1日以後に行われる株式交付について適用(改正法附則36⑤、53)。
⑩ (6)①イ(イ)の改正は、令和3年4月1日から施行(改正法附則1)。
⑪ (6)①イ(ロ)の改正は、令和3年4月1日から施行(改正措規附則1)。
⑫ (6)①ロの改正は、令和4年1月1日から施行(改正通令附則①ただし書、改正実特規附則①)。
⑬ (6)②の改正は、令和2年12月28日から施行(平成32年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法等の一部を改正する法律附則1、平成32年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法等の一部を改正する法律の施行期日を定める政令)。
⑭ (6)③の改正は、令和2年12月28日から施行(令和2年12月改正実特規附則)。

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