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解説記事2021年08月23日 SCOPE 国税庁が白色申告における帳簿書類の不作成に問題意識(2021年8月23日号・№894)

SCOPE
政府税調の専門家会合では“罰則”との意見も
国税庁が白色申告における帳簿書類の不作成に問題意識


 国税庁が白色申告における無申告など、記帳水準の低い納税者に対して強い問題意識を持っていることが分かった。同庁は8月10日開催の政府税制調査会の納税環境整備に関する専門家会合において記帳の状況などに関する税務執行上の課題について説明した。白色申告については、記帳義務はあるものの特に罰則はないため、帳簿書類を破棄しているのか、あるいは帳簿書類を作成していないのかの区別が困難であり、重加算税が賦課できないケースがあるという。専門家会合では、白色申告における帳簿書類の不作成・不保存に対して罰則を課すべきとの意見も出ており、今後の税制改正に影響を及ぼす可能性もありそうだ。

帳簿書類のないことが有利に

 政府税制調査会に設置された「納税環境整備に関する専門家会合」は昨年から事業者の適正申告の確保や記帳水準の向上について検討を行っている。
 8月10日開催の専門家会合では、国税庁から記帳の状況などに関する税務執行上の課題について説明が行われている。国税庁によると、平成30年分確定申告を行った個人事業者の申告状況は、青色申告60%(正規簿記:29.7%、簡易簿記30.3%)、白色申告40%であり、また、平成30年分における申告誤り等の状況は、意図しない誤りを含む「申告誤り」が税務調査で見つかる割合は記帳水準に連動し白色申告が88.4%と最も高いが、「仮装隠蔽」については青色申告の簡易簿記が8.8%と一番高く、白色申告の7.9%を上回っている。
 ただし、白色申告に関しては、平成26年1月から記帳義務が課せられたものの特に罰則はない。国税庁では、帳簿書類がないケースについて、仮装隠蔽に該当する帳簿書類の破棄なのか、あるいは単に帳簿書類が作成(又は保存)されていないのかの区別が困難であるとしている。本来であれば仮装隠蔽として重加算税を課さなければならないケースが一定数存在していると指摘。帳簿書類がないことがむしろ有利に働くケースがあることに強い問題意識を示している。また、帳簿書類を作成しなくても、推計課税により同業者と同程度の必要経費が認められる点も問題意識としてあるようだ(参照)。

令和3年度税制改正大綱の検討事項に
 専門家会合では、白色申告者の帳簿書類の不作成・不存在に関して罰則を設けるべきとの意見が出ている。与党の令和3年度税制改正大綱では、検討事項において「記帳水準の向上、電子帳簿の信頼性の確保に向け優良な電子帳簿の普及を促進するための更なる措置、記帳義務の適正な履行を担保するためのデジタル社会にふさわしい諸制度のあり方やその工程等について早期に検討を行い、結論を得る。」と明記されている。今後、税制改正に影響を及ぼす可能性もありそうだ。
 ただし、個人事業者の中には、「雑所得」で申告している者も一定数存在する。「雑所得」の場合には青色申告ができないため、制度的に白色申告しかできない個人事業者の取扱いをどうするのかが1つの論点となる。

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