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税務ニュース2021年08月27日 非上場株の低額譲渡事案で納税者が上告(2021年8月30日号・№895) 「時価二元論」を批判する理由書を提出

  • 非上場株式の低額譲渡事案の差戻控訴審で敗訴した相続人らが上告受理申立理由書を提出(884号40頁参照)。
  • “大淵所見”は、「時価二元論」を「従前のみなし譲渡所得の課税実務とは異なる不平等課税」と指摘。

 令和3年8月3日に提出された上告受理申立理由書は、上告受理申立理由として①本件においては時価評価にあたり評価通達を適用すべきではないこと、②時価とは利害相反する第三者間で成立する売買価額であり、時価の意義を制限的に解釈すべきでないこと、③原判決には時価二元論という重大な問題が存在すること、④租税回避目的は時価の算定に影響しないこと、⑤原判決は本件評価報告書の評価に重大な誤りがあること、の5点を挙げている。
 納税者(申立人)らは、理由書と併せて、大淵博義中央大学名誉教授による「東京高裁令和3年5月20日判決の税法上の所見」及び日本経済新聞2007年10月8日朝刊に掲載された「中小企業の自社株買い進まず」と題する記事を書証として提出した。
 大淵名誉教授の所見では、「本件課税処分が認定した時価は、売主の時価は類似業種比準価額2,505円、買主は配当還元価額75円という『泣き別れの時価』という取引社会ではあり得ない『時価二元論』を採用しているが、このことは、従前のみなし譲渡所得の課税実務とは異なる不平等課税である。」と主張。また、時価二元論が実務と相容れないこと、時価二元論の結果二重課税のおそれがあると指摘している。
 さらに、国税庁が日本経済新聞の取材に対し「価格は売り手と買い手の当事者間で決めるのが基本。正常な交渉を通じて決定された価格であれば、類似業種比準方式、純資産方式、配当還元方式のいずれをベースにした取引でも問題ない」と回答した記事をとり上げ、「国税庁としても個人と法人との間で正常な交渉を通じて決定された価格による取引は、時価による取引となることを是認している。」と主張している。
 原判決は評価書の評価について、譲受人評価額(82円)と譲渡人評価額(1,255円)とを1:1で加重平均するという手法に疑問を呈したが、これに対し理由書では、「売買であれば、何が適正な時価であるかは、売主と買主の双方の立場から検討されるべきであり、双方の立場から検討するに当たって、譲渡人評価額と譲受人評価額を1:1で加重平均することが最も衡平性・客観性のある方法である。」と反論、評価報告書の評価方法は十分合理性があるとの主張を展開している。

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