解説記事2021年09月27日 ニュース特集 消費税還付審査を変更、不正還付法人あぶり出し(2021年9月27日号・№899)
ニュース特集
還付申告理由別チェックシート等を整備
消費税還付審査を変更、不正還付法人あぶり出し
今般、国税当局が消費税還付審査の実施方法を見直し、不正還付想定法人の抽出・管理体制を整備したもようだ。新たな還付審査では、全国統一様式の「消費税還付審査判定表」「消費税還付審査チェックシート(接触要否判定用、還付申告理由別)」が使用される。また、審査を分業化し、1次審査(基本的項目の審査)を業務センター、2次審査(接触要否の判定)・3次審査(還付申告理由別チェックシートを使用した深度ある審査)を調査担当部門が担当するという。本特集では、消費税還付審査の見直しの背景、新たな審査手順等の概要をQ&A形式で確認する。
不正還付想定法人に事務量を重点投下
Q
消費税還付審査の実施方法が見直された背景を教えてください。
A
東京局では、①消費税還付申告が年々増加し、審査事務量も増加している、②部内資料等を確認することで還付保留解除の判断ができる還付申告法人が一定数存在することから、そのような法人に投下していた事務量を不正還付想定法人のあぶり出しや真に調査が必要な法人に対する調査に重点的に投下したいと考えていたようです。
また、内部事務センターの拡大により、センターの非常勤職員が還付審査事務に従事することを見据え、還付審査体制を見直す必要も生じていました。
こうした状況から、東京局では、①書面照会を実施せずに保留解除とする事案や実地調査に移行する事案の範囲の見直し、②内部事務(業務)センターでは基本的な項目のみを審査し、対象署の調査担当部門が書面照会を含めた還付審査を実施することとしました。
税務リスク高く、広範囲な反面調査も
Q
不正還付想定法人の管理で課題となっていることは?
A
東京局は、不正還付想定法人に係る課題について、①還付申告法人は、それ以外の法人に対する調査事績に比べ1件当たりの消費税追徴税額が多額で税務リスクが高い、②不正還付想定事案には複雑・困難で広範囲に反面調査を実施する必要がある事案も存在するなど、調査に相当な事務量や期間を要するとしています。
上記を踏まえ、東京局では、不正還付想定法人に対し、消費税調査専担部署(消費税特別調査部門、消費税専門官及び特別調査情報官(消費税担当))による調査支援を含め、適切な調査体制を構築した上で、深度ある実地調査を実施するため、不正還付想定法人を的確に抽出し、継続的に管理する体制を構築するとしています。
還付審査を「調査事務の一部」と位置付け
Q
消費税還付審査の見直しは全国規模で行われていますか?
A
大阪局は、令和2事務年度において、均一かつ的確な還付審査を実施するため、全国統一様式の「消費税還付審査判定表」や「消費税還付審査チェックシート」を活用した審査を3署で試行しました。また、同局は、還付申告件数が年々増加し、不正還付の手口も複雑化・巧妙化していることから、調査目線による還付審査の実施が必要としていました。
そこで大阪局は令和3事務年度において、消費税還付審査を「調査事務の一部」として位置付け、以下のとおり還付審査を分担することとしています。
① 「消費税還付審査判定表」は、業務センターにおいて作成。ただし、業務センターの対象以外の署においては、調査内部事務専担者設置署は調査内部事務専担者が、それ以外の署は一般調査担当部門の職員が作成する。
② 接触要否判定シート及び消費税還付審査チェックシートは、上記①による審査の結果、一定の基準に該当する場合、一般調査担当部門の職員が作成し、納税者等への接触要否等を検討した上で、行政指導に移行する。
1次審査→3次審査で還付理由を解明
Q
東京局でも新たな還付審査の手順を示していますか?
A
東京局は令和3事務年度からの消費税還付審査の実施方法として、以下の手順を示しています。
① まず、「消費税還付審査判定表」を活用して基本的な項目を審査。そこで還付保留を解除することが相当と認められた場合には、還付保留を解除。【1次審査】
② 上記①で還付保留を解除しなかった法人については、「消費税還付審査チェックシート(接触要否判定用)」を活用し、書面照会又は実地調査の実施の要否を判定。なお、書面照会及び実地調査の実施を要さないと判定した法人については、還付保留を解除。【2次審査】
③ 上記②で書面照会を要すると判定した法人については、書面照会を実施し、還付申告理由別「消費税還付審査チェックシート」を使用して還付審査を行う。【3次審査】
④ 上記②又は③で実地調査を要すると判定した法人については、実地調査を実施し、調査で把握した事実や収集した資料等に基づき、還付申告となった理由を確実に解明する(図参照)。

業務センターから自発的見直し要請も
Q
業務センターで実施される1次審査について教えてください。
A
業務センターでは、「消費税還付審査判定表」を使用して基本項目の審査を行い、業務センターの担当者は、署調査担当部門での審査の対象となる法人について、申告書等及び「消費税還付審査判定表」を対象署に回付します。
一方、署調査担当部門による審査の対象とならない法人については、①申告書付表・明細書が添付されていない場合、②「要更正連絡せん」があり、申告内容を検討した結果、法令の適用誤り(免税事業者又は簡易課税制度適用法人による還付申告及び時効消滅後の還付申告を含む)又は計算誤りがある場合に、電話又は書面により行政指導(書類の提出要請、自発的な見直し要請)が行われます。なお、この要請に応じない法人については、対象署に引き継がれます。
調査、書面照会、連絡せん処理など
Q
調査担当部門に「消費税還付審査判定表」が回付された後の審査は?
A
2次審査では、調査担当部門の担当者による「消費税還付審査チェックシート(接触要否判定用)」を使用した検討が行われ、①調査、②書面照会、③要更正連絡せん処理、④源泉未納連絡、⑤還付保留解除の判定が行われます。
書面照会を要すると判定された法人については、「消費税還付申告の内容についてのお尋ね」が送付されます。
また、還付申告となった理由を解明するために実地調査を要すると判定された法人に対しては重点項目調査を実施し、不正還付が想定される法人を把握した場合には、十分な調査体制による深度ある実地調査が行われます。
還付申告理由別チェックシートは3種類
Q
書面照会を実施した法人の3次審査について教えてください。
A
接触要否判定の結果、書面照会を実施した法人については、調査担当部門の担当者が、書面照会に対する回答書の記載内容や添付書類に基づき、還付申告となった理由に応じて、下表右欄に掲げる書類を使用して深度ある審査を行います(還付申告理由が複数ある場合、該当するチェックシートをいずれも使用)。

なお、「消費税還付審査チェックシート(輸出免税)」では国内仕入、輸出免税売上に係る事項の検討、「消費税還付審査チェックシート(輸出物品販売場)」では国内仕入、非居住者に対する免税販売に係る事項の検討、「消費税還付審査チェックシート(その他)」では有形固定資産、無形固定資産、商品に係る資料確認、課税売上割合、仕入関係(共通、固定資産、商品)に関する事項が検討され、①実地調査、②不正還付想定法人の連絡、③要更正連絡せん処理、④源泉未納連絡、⑤還付保留解除の判定が行われます。
消費税検討表、勘定科目別チェックポイントを使用
Q
実地調査が行われた場合の還付理由の解明方法は?
A
調査担当部門の担当者は、実地調査において把握した事実や収集した資料等に基づき、「消費税検討表」(申告内容、仕入関係(固定資産、商品等)、輸出免税、輸出物品販売場、国外事業者が行う役務の提供に関する検討)及び「勘定科目別消費税のチェックポイント」を使用して、還付申告となった理由を解明します。
なお、実地調査を実施した結果、還付保留を解除することが相当と認められた場合には、還付保留が解除されます。
還付保留がいたずらに長期間とならないように
Q
消費税還付審査の進捗状況はどのように管理されますか?
A
還付審査事務の進捗状況の管理では、「消費税還付申告書保留解除等進行管理表」(下掲参照)が使用されます。東京局では、業務センターと法人課税部門で当該管理表を共有し、還付審査に係る各事務の進捗状況を確実に入力することにより、還付保留がいたずらに長期間とならないよう的確に進行管理を行うとしています。

「不正還付想定法人連絡せん」等を作成
Q
不正還付想定法人の管理はどのように行われますか?
A
不正還付想定法人を把握した場合は、「消費税不正還付想定法人連絡せん」が作成されます。当該連絡せんには、想定される不正還付の形態、法人名、納税地、代表者名(実質経営者)、業種目、実況区分、関与税理士、前回調査事績等のほか、連絡日時点の接触状況、法人概要(事業内容や取引形態のほか、特筆すべき事実の特異性等の具体的な内容)、不正想定図(連絡日時点において想定される不正想定図)、署内で検討した調査体制(消費税調査専担部署への調査支援要請の有無)等が記載されます。
また、不正還付想定法人の管理では、「消費税不正還付事案等の概況連絡せん」「消費税不正還付想定法人リスト」などが作成されます。
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