税務ニュース2021年10月08日 特定民間国外債利子非課税巡り再び敗訴(2021年10月11日号・№901) 東京高裁も「利子受領者確認書」の期限後提出を許容せず
民間国外債の利子には原則として15%の所得税が課されるが、非居住者等が支払を受ける場合は、一般民間国外債については、利子の支払者を経由して「非課税適用申告書」を所轄税務署長に提出することにより非課税となり(措法6④)、特定民間国外債については、「利子受領者確認書」を提出することにより「非課税適用申告書」を提出したものとみなされる(同⑦現⑧)。本件では、銀行の事務手続上のミスにより、「利子受領者確認書」が提出期限(支払日の翌月末日)までに提出されなかったため、非課税措置が適用されなかった。
銀行側は、一審と同様に、一般民間国外債については、「利子支払者において非課税適用申告書の受理がされたときに所轄税務署長への提出があったものとみなす」(同⑥現⑦)との規定があることから、これを特定民間国外債についても適用又は準用すべきと主張。また、利子受領者確認書の提出期限を非課税措置の適用要件とすることは、源泉所得税等に関する法律関係が提出期限に確定することを前提とするものであり、利子の支払時に源泉徴収・納税義務が確定する源泉徴収制度の基本構造を無視する誤ったものであるなどと主張した。
これに対し東京高裁は、まず、特定民間国外債については、ユーロ債市場の慣行に適合させるために、利子受領者が保管支払取扱者に自身の国外の住所等の告知をして非居住者であることの確認を受け、保管支払取扱者から利子支払者に利子受領者情報を通知させ、利子支払者に「利子受領者確認書」を作成・税務署長に提出させるという流れの手続とされていることを指摘。その上で、措置法6条7項の規定によれば、利子の支払の後に利子受領者確認書が提出されたとしても、同項の規定する要件(提出期限を含む)を全て満たしている場合には、非課税措置を受けることができるのであり、税務署長への提出の事務処理に一定の時間を要することを考慮した上記6項の規定と同様の背景があるとした。
また、利子受領者確認書が提出されるまでの間、源泉所得税等に関する法律関係が確定しない状況が生じるが、確認書の提出により利子の支払の時に遡って源泉所得税等に関する法律関係が確定することになるとして、「提出期限に確定することを前提としている」という銀行側の主張を斥けた。
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