税務ニュース2021年11月12日 申告不要配当特例、適用範囲の見直しを(2021年11月15日号・№906) 会計検査院、特殊関係個人株主と大口個人株主の間で課税の公平性保てず
会計検査院が申告不要配当特例等を適用している個人株主の適用範囲の見直しの検討を財務省に求めていることが11月5日に公表された「令和2年度決算検査報告」で明らかとなった。
上場株式等に係る配当のうち持株割合が3%未満の者が支払いを受ける配当については、源泉徴収における所得税率が15.315%になるとともに、確定申告を行わず、源泉徴収のみで課税関係が終了する確定申告不要方式を選択できる。また、配当所得は、累進税率が適用される総合課税方式に代えて他の所得と区分して15.315%の税率で所得税額を計算する申告分離課税方式により確定申告を行うことができ、上場株式等に係る譲渡損失がある場合には、譲渡損失と損益通算を行うことができる(申告不要配当特例等)。一方、上場株式等に係る持株割合が3%以上の者(大口の個人株主)が支払いを受ける配当等は、原則として申告不要配当特例等を適用することができない。
会計検査院が問題視したのは、上場会社の株式を保有している法人の過半数を支配している特殊関係個人株主だ。特殊関係個人株主の持株割合が3%未満であっても特殊関係法人株主を通じるなどして上場会社に対する持株割合を実質的に3%以上とすることが可能になるが、特殊関係個人株主は持株割合が3%未満であるため、申告不要配当特例等の適用が可能になっている。
会計検査院が検査を行った申告不要配当特例等を適用した特殊関係個人株主135人のうち122人は、特殊関係法人株主の対象会社に対する持株割合が3%以上であったり、特殊関係個人株主が保有する株式及び特殊関係法人株主が保有する株式を合計すると対象会社に対する持株割合が3%以上になっていた。また、持株割合3%以上の大口の個人株主の所得税等の負担割合は24.9%だが、前述の122人の場合は15.3%と低くなっている。このため、会計検査院は、持株割合が実質的に大口の個人株主と同等の3%以上となっている特殊関係個人株主との間での課税の公平性が保たれていない状況にあるとして、今後、財務省において申告不要配当特例等の適用範囲について、適切なものとなるよう検討を行っていくことが必要としている。
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