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解説記事2021年11月15日 最新判決研究 出訴期間徒過の「正当な理由」・貸付金遺贈に係る当該貸付金債務の負債性(2021年11月15日号・№906)

最新判決研究
出訴期間徒過の「正当な理由」・貸付金遺贈に係る当該貸付金債務の負債性
東京地裁令和3年5月21日判決(平成31年(行ウ)第139号)
 筑波大学名誉教授・弁護士 品川芳宣

一、事実

(1)甲は、平成22年9月9日付遺言公正証書により、関連会社のT社に対し、T社の株式48万7066株(T社の議決権総数に占める割合57.2%、以下「本件株式」という。)及びT社に対する貸付金16億611万円余(以下「本件貸付金債権」といい、それに係る債務を「本件貸付金債務」という。)を遺贈する旨の遺言をし、平成25年5月16日死亡した(以下「本件相続」という。)。これにより、上記遺贈の効力が生じ(以下「本件遺贈」という。)、上記各資産がT社に移転した。
 甲の妻乙(相続人)は、平成25年9月12日、甲の平成25年分所得税の準確定申告に当たり、本件遺贈に係る所得金額(本件株式に係る譲渡所得)の算定につき、本件株式の1株当たりの純資産価額を本件貸付金債務をT社の負債と計上せずに3539円と算定して申告(以下「本件準確定申告」という。)し、平成27年2月6日、本件株式の1株当たりの純資産価額を本件貸付金債務をT社の負債に計上して1株当たり1331円とする更正の請求をした(以下「本件更正請求」という。)。
(2)これに対し、処分行政庁は、平成29年6月30日付で、本件株式の1株当たりの純資産価額の算定につき、本件貸付金債務をT社の負債に計上せずに2197円と算定して更正(以下「本件更正」という。)した。乙は、平成29年8月28日、本件更正を不服とし、国税不服審判所長に審査請求(以下「本件審査請求」という。)をしたところ、平成30年7月9日付で、本件審査請求を棄却する旨の裁決(以下「本件裁決」という。)を受けた。本件裁決に係る裁決書(以下「本件裁決書」という。)の謄本は、同月26日、本件審査請求に係る乙の代理人であるY税理士法人に送達された。
 乙は、平成31年2月10日死亡した。乙の妹であり、相続人であるX(原告)は、平成31年3月25日、本件更正を不服とし、国(被告)に対し、その取消しを求めて、本訴を提起した。なお、本訴は、本件更正の取消訴訟に係る出訴期間(平成30年7月27日から平成31年1月28日まで(行訴法14③))を経過した後に提起されたものである。

二、争点及び当事者の主張

1 争  点
(1)本案前の争点
 出訴期間を徒過したことについての「正当な理由」の有無(争点(1))
(2)本案の争点
 本案の争点は、本件更正の適法性であるが、具体的には、本件株式の「その時における価額」をその1株当たりの純資産価額によって算定するに当たって、本件貸付金債務をT社の負債として計上することの適否である(争点(2))。

2 Xの主張
(1)X訴訟代理人弁護士は、平成30年12月21日、Xの夫と面談した際、乙に重篤な認知症の症状が出ていること等を聞き、乙が意思能力を有しない可能性が高いと判断して、乙から委任を受けて本件更正の取消訴訟を提起することを断念した。実際に、乙は、平成31年1月15日、意思能力を有しない旨の医師の診断を受けた。こうして、X訴訟代理人弁護士は、乙の後見開始の審判に係る手続を進めるなど乙の法定代理人を選任した上で同訴訟を提起する準備をしていたが、乙が同年2月10日に死亡したため、乙の相談人の一人であるXが本件訴訟を提起するに至った。このような経緯に照らせば、出訴期間内に本件更正の取消訴訟を提起することができなかったことにつき、「正当な理由」がある。
(2)遺言において受遺者とされた者は、遺言者の生存中は、何らかの権利を取得するものではなく、単に将来遺言が効力を生じたときは遺贈の目的物である権利を取得することができる事実上の期待を有する地位にあるにすぎない。このことからすれば、国が主張するように本件遺贈の直前において本件貸付金債務がT社に移転することが確実であったとは、到底いえない。したがって、本件貸付金債務を本件法人の負債として計上した場合であっても、国が主張するような不合理な結果を招来するとはいえない。

3 国の主張
(1)「正当な理由」とは、出訴期間内に出訴しなかった(できなかった)ことについて社会通念上相当と認められる理由を意味し、少なくとも本人の事務の繁忙、病気、出張不在、法律の不知等はこれに当たらないと解される。仮に、乙が平成31年1月15日時点において意思能力を有しなかったとしても、そのことは同日になって初めて乙が訴訟を提起することが困難となる事情が生じたことを意味するものではない。乙が、平成13年に認知症を発症し、平成23年9月にアルツハイマー型認知症と診断されていること等に鑑みれば、乙は、既に平成28年4月8日以降は意思能力を有しなかった可能性が極めて高い。このようなことからすれば、Xは、遅くとも本件裁決書の送達を受けた平成30年7月26日には、乙につき後見開始の審判の申立ての準備を行うことは十分に可能であったといえる。このことに照らせば、出訴期間を徒過したことについて「正当な理由」はない(争点1)。
(2)譲渡所得に対する課税は、資産の値上がりによりその資産の所有者に帰属する増加益(キャピタル・ゲイン)を所得として、その資産が所有者の支配を離れてほかに移転するのを機会に、これを清算して課税する趣旨のものであるから、本件株式の「その時における価額」をその1株当たりの純資産価額によって算定する場合においても、本件遺贈の直前の状態に基づいて行うべきである。もっとも、遺言はいつでも撤回することができるものではあるが、本件遺贈の直前においてはもはや甲により遺言の一部が撤回されることは考えられず、本件貸付金債権がT社に移転することが確実な状況であったといえるから、本件遺贈により本件貸付金債務が混同により消滅することも、本件遺贈の直前において確実なものであったといえる。そうすると、本件株式の「その時における価額」を1株当たりの純資産価額によって算定するに当たって、本件貸付金債務をT社の負債として計上すべきではない。
(3)本件遺贈がされた後の本件株式は、T社において自己株式の数のみの増加として処理されることとなり、将来においてT社が当該自己株式を譲渡し、金銭等の払込みを受けた場合には、その払込みに係る金額は資本金等の増加として扱われ、自己株式を譲渡したことに伴う譲渡損益はT社の損益として認識されないこととなる。そうすると、上記増加部分については、将来においてキャピタル・ゲインに対する課税がされないこととなり、無限の課税繰延べを防止するという所得税法59条1項の前記趣旨を没却し、不合理な結果を招来することとなる。

三、判決要旨

請求棄却。
1 出訴期間徒過の「正当な理由」(争点1)

(1)行政事件訴訟法14条3項本文は、処分につき審査請求をすることができる場合において、審査請求があったときは、処分に係る取消訴訟は、その審査請求をした者については、これに対する裁決があったことを知った日から6か月を経過したときは、提起することができない旨を定めるとともに、同項ただし書は、正当な理由があるときは、この限りでない旨を定めている。同項ただし書所定の「正当な理由」とは、出訴期間内に取消訴訟を提起しなかったことにつき社会通念上相当と認められる理由をいうものと解される。
 民事訴訟法28条は、訴訟能力及び訴訟無能力者の法定代理は、同法に特別の定めがある場合を除き、民法その他の法令に従う旨を定めている。
 意思能力とは自己の行為の結果を判断し得る精神的能力をいい、訴訟能力とは自己の訴訟上の利益を擁護して訴訟を遂行するのに必要な能力をいうから、意思能力を有しない者は訴訟能力も有しないと解される。
 これを本件についてみると、乙は、平成31年1月15日、K病院の医師から、①アルツハイマー型認知症である旨、②乙の判断能力は自己の財産を管理・処分することができないもの(後見相当)であり、回復する可能性はない旨の診断を受けたことからすれば、乙は、同日当時、精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にあり、意思能力を有しなかったものと認められる。そうすると、乙は、遅くとも同日頃以降は訴訟無能力者であり、本件更正の取消訴訟に係る出訴期間の末日である同月28日が経過するまで、自ら又は訴訟代理人を選任して本件更正の取消訴訟を提起することができなかったものと認められる。
 以上の事情に鑑みれば、出訴期間を徒過したことについて「正当な理由」があると認められる。
(2)国は、乙は既に平成28年4月8日以降は意思能力を有しなかった可能性が極めて高く、Xは、遅くとも本件裁決書の送達を受けた平成30年7月26日には、乙につき後見開始の審判の申立ての準備を行うことは十分に可能であったが、後見開始の審判の申立てや特別代理人の選任の申立てをしていないことを踏まえれば、出訴期間を徒過したことについて「正当な理由」がない旨主張する。
 証拠によれば、乙は、平成13年に認知症を発症し、平成23年9月にアルツハイマー型認知症と診断され、平成27年4月14日に本件病院に入院した後も認知症は進行し、平成28年1月15日頃の時点では中等度の認知症と診断され、同年4月8日頃以降は重度の認知症と診断されていたことが認められ、これらの事情からすれば、乙は平成31年1月15日よりも前から精神上の障害である認知症であったことが認められる。しかし、これらの事情を踏まえても、乙が平成28年4月8日頃以降から意思能力を有しなかったと直ちに認めることはできず、これを認めるに足りる証拠もない。

2 本件貸付金債務のT社における負債性(争点2)
(1)所得税法59条1項1号は、法人に対する遺贈により譲渡所得の基因となる資産の移転があった場合には、譲渡所得の金額の計算については、その事由が生じた時に、その時における価額に相当する金額により、これらの資産の譲渡があったものとみなす旨を定めているところ、同項柱書き所定の「その時における価額」とは、当該譲渡の時における客観的交換価値、すなわち、それぞれの資産の現況に応じ、不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立する価額をいうものと解される。
 課税実務上、取引相場のない株式の所得税法59条1項柱書き所定の「その時における価額」については、所得税基本通達(以下「基本通達」という。)59−6、23~35共−9の(4)ニにより、「1株又は1口当たりの純資産価額等を参酌して通常取引されると認められる価額」に準じて算定した価額によるとされ、また、同価額は、原則として、基本通達59−6の(1)~(4)によることを条件に、財産評価基本通達(以下「評価通達」という。)の178から189−7までの例により算定した価額とするという評価方法が採用されている。
 このような取扱いがされている趣旨は、上記評価方法の対象となる取引相場のない株式の客観的交換価値を的確に把握することが容易ではないことに鑑みて、その客観的交換価値の算定方法を評価通達の例によるものに原則として統一し、課税庁における個別的な判断が区々になることを避け、課税事務の迅速な処理を期するとともに、納税者間の公平、納税者の便宜等を図ることにあると解される。
 このような趣旨に照らせば、基本通達及び評価通達の定める上記評価方法に従って算出された価額は、上記評価方法によっては上記客観的交換価値を適切に算定することができない特別の事情の存しない限り、上記客観的交換価値を超えるものではないと推認され、上記価額に基づく課税処分は適法であると認めるのが相当である。
(2)そこでまず、基本通達の定める取引相場のない株式の評価方法(基本通達59−6、23~35共−9)の合理性についてみると、上記評価方法は、取引相場のない株式については、大量かつ反復継続的な取引は行われず、また、仮に売買実例が存在したとしても、その取引価格が当事者間の主観的事情に左右されることが避け難く、その取引価格をもって当該株式の客観的交換価値を反映したものとは直ちにいえないことに鑑みて、適正な価額による売買実例がある場合等を除き、その取引価格に依拠せずに評価するものと解され、当該株式の性質に即した評価を可能とするものとして、一般的な合理性を有するものということができる。
 次に、評価通達の定める取引相場のない株式の評価方法(評価通達178~189−7)の合理性についてみると、当該評価方法は、資産構成が類似業種比準方式における標本会社に比して著しく株式等に偏っている評価会社の株式の価額の評価について、このような評価会社の株式の価額はその保有する株式等の価額に依存する割合が一般に高いものと考えられることを考慮した上で、当該会社の有する資産の価値を的確に反映し得る評価方式である純資産価額方式によるべきこととしたものであって、合理的かつ実態に即した評価を行うための株式の価額の評価方式として、一般的な合理性を有するものということができる。
 そして、基本通達59−6は、「1株又は1口当たりの純資産価額等を参酌して通常取引されると認められる価額」を評価通達178から189−7までの例により算定する場合には、原則として、基本通達59−6の(1)~(4)によることを条件としているところ、このような条件を設けた趣旨は、価額の評価の対象が譲渡所得の基因となる資産であることを踏まえ、中心的な同族株主の保有する株式の価値はその会社財産に対する持分としての価値と切り離して考えられないことや個人の株式の取引実態等に鑑みて、相続税及び贈与税の課税における財産の評価に関するものである評価通達178から189−7までの例による価額の算定に一定の条件を設けたものと解され、一般的な合理性を有するものということができる。
(3)本件株式は、取引相場のない株式に当たり、また、適正な価額による売買実例のある株式には該当しないから、本件株式の「その時における価額」はT社の1株又は1口当たりの純資産価額等を参酌して通常取引されると認められる価額によることとなり、この価額は、原則として、基本通達59−6の(1)~(4)によることを条件に、評価通達178から189−7までの例により算定した価額となる。
 甲は、本件遺贈の直前において、T社の議決権の総数57.2%の議決権を有しており、「中心的な同族株主」に該当するから、本件株式の「その時における価額」を算定する場合には、T社が「小会社」に該当するものとして、その例によることとなる。
 本件遺贈の直前においてT社の有する各資産を評価通達に定めるところにより評価した価額の合計額は87億3991万円余であり、このうち株式及び出資の価額の合計額は50億3606万円余であるところ、後者が前者に占める割合は57.6%である。そうすると、T社は株式保有特定会社に該当し(評価通達189の(2))、乙が評価通達の189−3の(1)の「S1の金額」と(2)の「S2の金額」との合計額によって評価することの選択をしたことはうかがわれないから、本件株式の価額は評価通達185の本文の定めにより計算した1株当たりの純資産価額によって評価することとなる。
(4)譲渡所得に対する課税は、資産の値上がりによりその資産の所有者に帰属する増加益を所得として、その資産が所有者の支配を離れて他に移転するのを機会に、これを清算して課税する趣旨のものである(最高裁昭和47年12月26日第三小法廷判決・民集26巻10号2083頁参照)。すなわち、譲渡所得に対する課税においては、資産の譲渡は課税の機会にすぎず、その時点において所有者である譲渡人の下に生じている増加益に対して課税されることとなるところ、所得税法59条1項は、同項各号に掲げる事由により譲渡所得の基因となる資産の移転があった場合に当該資産についてその時点において生じている増加益の全部又は一部に対して課税できなくなる事態を防止するため、「その時における価額」に相当する金額により資産の譲渡があったものとみなすこととしたものと解される(最高裁令和2年3月24日第三小法廷判決・裁判集民事263号63頁参照)。
 このような譲渡所得に対する課税の上記趣旨に照らせば、本件のような株式保有特定会社の株式の譲渡に係る譲渡所得に対する課税においては、譲渡人が当該株式を保有していた当時における株式保有特定会社の各資産及び各負債の価額に応じた評価方法を用いるべきものと解され、そうすると、株式保有特定会社の1株当たりの純資産価額(〈略〉)の計算は、当該譲渡の直前におけるその各資産及び各負債の価額に基づき行うべきであると解するのが相当である。
(5)国は、本件株式の「その時における価額」をその1株当たりの純資産価額によって評価するに当たって、本件遺贈の直前の状態に基づいて行うべきであるとした上で、①本件遺贈の直前においてはもはや甲により遺言の一部が撤回されることは考えられず、本件貸付金債権がT社に移転することが確実な状況であったといえる、②仮に本件貸付金債務をT社の負債として計上した場合には、本件遺贈により生ずる本件株式の価額の増加部分については、本件株式が自己株式となることとの関係で、将来においてキャピタル・ゲインに対する課税がされないこととなり、無限の課税繰延べを防止するという所得税法59条1項の趣旨を没却し、不合理な結果を招来するとして、本件貸付金債務をT社の負債として計上すべきではない旨主張する。
 国の主張のうち上記①について検討すると、遺言は遺言者の死亡により初めてその効力が生ずるものであり(民法985①)、遺言者はいつでも既にした遺言を取り消すことができ(同法1022)、遺言者の死亡以前に受遺者が死亡したときには遺贈の効力は生じない(同法994①)のであるから、遺言者の生存中は遺贈を定めた遺言によって何らの法律関係も発生しないのであって、受遺者とされた者は、何らの権利を取得するものではなく、単に将来遺言が効力を生じたときは遺贈の目的物である権利を取得することができる事実上の期待を有する地位にあるにすぎない(最高裁昭和31年10月4日第一小法廷判決・民集10巻10号1229頁)。このような遺贈の性質に鑑みれば、遺言が作成されてからその効力が発生するまでの間において、遺贈の目的である権利が受遺者とされた者に移転することが確実であるとは通常は考え難いというべきである。
 また、国は、本件遺贈の直前において、甲が遺言の一部(本件貸付金債権を遺贈する旨の部分)を撤回することがおよそ考えられなかったこと、及び甲が死亡して本件遺贈の効力が生じた時に本件貸付金債権がT社に移転して混同により消滅することが確実であったことを基礎付ける具体的な事実を主張していない上、本件においてかかる事実はうかがわれない。
 次に、国の主張のうち前記②について検討すると、本件貸付金債務が本件遺贈の直前においていまだ存在していた以上、国が主張する本件株式の価額の増加部分は、そもそも本件遺贈の時点において譲渡人である甲の下に生じている増加益ではないから、譲渡所得に対する課税の対象にはならないものである。
 また、本件遺贈がされた後においては、①本件貸付金債務の消滅によりT社の負債が減少することになるから、本件株式以外のT社の株式の1株当たりの純資産価額が増加すること、②本件株式を含む自己株式以外のT社の株式の1株当たりの純資産価額が増加することからすれば、本件遺贈がされたことによるT社の株式の価額の増加部分は、本件株式を含む自己株式以外のT社の株式において生ずるといえる。そうすると、本件株式を含む自己株式以外のT社の株式が譲渡された場合には、その時のその価額に応じて、上記増加部分に対する課税がされる可能性があるから、本件遺贈に伴う本件貸付金債務の消滅により生ずる価額の増加部分について譲渡所得に対する課税の機会が失われるとはいえない。
 以上によれば、本件貸付金債務をT社の負債として計上すべきである。

四、解説

はじめに
 本件は、個人が非上場株式を法人に遺贈した場合に、所得税法59条の適用に当たり、主として、当該非上場株式の「価額」の評価額が争われた事案である。このような事案は、実務上よく生じることであり、所得税法上非上場株式の「価額」の評価が問題となる最も多いケースといえる。ただ、本件においては、当該遺贈の内容の一つに、当該法人の大株主である被相続人(甲)が当該法人に対する多額の貸付金(本件貸付金債権)を遺贈することがあった。そのため、当該法人の株式(本件株式)の「価額」の純資産価額の計算上、当該貸付金に係る当該法人の債務(本件貸付金債務)を当該法人の負債として控除できるか否かという問題が生じた。
 また、当該被相続人の死亡(相続開始)時点において、唯一の相続人であった同人の妻(乙)が重度の認知症を患っており、本件の出訴期間徒過直後に死亡し、同妻の妹(X)が、相続人として本訴を提起するため、本案前の争点として、出訴期間徒過についての「正当な理由」の存否も争われることになった。
 以下、これらの問題について、検討することとする。

1 出訴期間とそれを徒過した場合の「正当な理由」
(1)国税通則法115条1項は、「国税に関する法律に基づく処分(〈略〉)で不服申立てをすることができるものの取消しを求める訴えは、審査請求についての裁決を経た後でなければ、提起することができない。」と定め、不服申立て前置主義を採用している(注1)。ただし、同項は、①審査請求をしても3月を経ても裁決がないとき、②関連する処分について取消訴訟が係属しているとき及び③緊急な事由があるときその他正当な理由があるときには、当該前置は必要ないことを定めている。
 そして、処分の取消訴訟については、行政事件訴訟法14条1項が、「取消訴訟は、処分又は裁決があったことを知った日から6箇月を経過したときは、提起することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。」と定めているので、その出訴期間と「正当な理由」の意義・解釈が問題となる。この出訴期間については、「裁決があったことを知った日」の初日が算入されるか否かが、多くの取消訴訟において争われてきた。しかし、最高裁昭和52年2月17日第一小法廷判決(民集31巻1号50頁)が、「行政事件訴訟法14条4項(編注=現行1項)を適用して取消訴訟の出訴期間を計算する場合には、裁決があったことを知った日又は裁決があった日を初日とし、これを期間に算入すべきものと解するのが相当であ」ると判示したため、多くの裁判例がそれに追従している(注2)。
(2)次に、「正当な理由」の意義・解釈については、次のような事例がある。
① 所得金額等を減額する当初更正が行われ、当初更正を減額する再更正が行われた場合に、当該再更正にも不服申立てができる旨の誤った教示が行われたため、当初更正に係る出訴期間を徒過したときに「正当な理由」があると認められた事例(福岡高裁昭和47年11月20日判決・税資66号1011頁)。
② 法人税の前年度の更正と当年度の更正が同時に行われ、前年度の更正についてのみ不服申立ての前置をして、当年度の更正について当該前置を経ないで取消訴訟を提起した場合に、税理士が関与していたことを考慮して、「正当な理由」を認めなかった事例(東京地裁昭和50年7月15日判決・税資82号432頁)。
③ 裁決書謄本が原告方に送達された時、重度障害者である原告の母がこれを受け取り他の書類と一緒に原告方事務所内にしまいこんだため、その後、約1年経て実際に原告が当該裁決書謄本を発見した場合に、「正当な理由」に当たらないとされた事例(名古屋地裁平成元年6月23日判決・税資170号790頁)。
(3)本件においては、平成30年7月9日付で本件裁決が行われ、同月26日に乙の代理人であるY税理士法人が送達を受け、同31年1月15日に医師から乙が訴訟能力を有しない旨の診断を受け、同年2月10日に乙が死亡し、同年3月25日(出訴期間は同年1月28日まで)に乙の相続人の1人である妹のXが本訴を提起したというものである。しかし、国は、乙が平成13年に認知症を発症し、同23年9月にアルツハイマー型認知症と診断され、既に同28年4月以降意思能力を有しなかった可能性が極めて高いこと等から、乙は遅くとも本件裁決書の送達を受けた時点で後見開始の審判の申立ての準備を行うことが十分可能であり、「正当な理由」はない旨主張していた。
 これに対し、本判決は、前述のように、本件の出訴期間中乙が訴訟無能力者であったことを認め、乙が平成31年2月10日に死亡した後、相続人であるXが同年3月25日に本訴を提起したことに「正当な理由」がある旨判示した。
 しかしながら、相続税の実務については、ほとんどの場合に専門家である税理士が受任して申告等が行われており、ましてや、本件の相続税事案のように大口でかつ困難な税法解釈を伴うものについては、本件遺贈の段階から弁護士又は税理士の専門家の指導の下に実施されたものと十分に推測される。現に、本件裁決書を受理した者は、我が国では著名な税理士法人である。そして、本件裁決があった項の乙の認知症の病状等からみて、乙の親族であるXらとY税理士法人等との間で審査請求中から取消訴訟提起の要否が検討されていたものと推測される。そうすると、出訴期間に係る「正当な理由」を判断した前掲の東京地裁昭和50年7月15日判決、名古屋地裁平成元年6月23日判決等の判断に比し、本判決の判断はやや原告側に甘いように考えられる。

2 所得税法59条の立法趣旨と内容
(1)昭和25年に施行されたシャウプ税制の下では、譲渡所得に係る「譲渡」の意義を厳格に解し、相続又は贈与によって財産が移転した段階においても、被相続人が当該財産を保有していた間のキャピタル・ゲインに対して譲渡所得課税を実施してきた。しかし、このような税制については、戦後の超インフレの下でキャピタル・ゲインが急増した土地等の不動産を所有している者の相続が生じると、多額な相続税と所得税が同時に課せられることになり、国民の強い不満を招くこととなった。特に、相続税を負担する者がほとんどいないような農村においても、一家の大黒柱が亡くなると、同時に生計の源となる田畑に対し、戦後のインフレもあって多額な所得税負担が生じるということで社会問題にもなった(注3)。
 そのため、上記のシャウプ税制は、逐次改正され、現行規定のように、所得税法60条に定める相続又は贈与に係る取得費引継の規定と相俟って、相続又は贈与の段階では、原則として、譲渡所得課税を行わないこととし、当該相続又は贈与によって取得した資産を実際に譲渡した段階において、被相続人等が所有していた間のキャピタル・ゲインを含めて、譲渡所得課税を行うこととし、例外的に同法59条に該当する場合のみ課税することとした(注4)。
(2)ところで、現行の所得税法59条1項は、次のように定めている。
 「次に掲げる事由により居住者の有する山林(〈略〉)又は譲渡所得の基因となる資産の移転があつた場合には、その者の山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算については、その事由が生じた時に、その時における価額に相当する金額により、これらの資産の譲渡があつたものとみなす。
一 贈与(法人に対するものに限る。)又は相続(限定承認に係るものに限る。)若しくは遺贈(法人に対するもの及び個人に対する包括遺贈のうち限定承認に係るものに限る。)
二 著しく低い価額の対価として政令で定める額による譲渡(法人に対するものに限る。)」
 また、上記2号にいう「政令で定める額」については、所得税法施行令169条が、「……同項に規定する山林又は譲渡所得の基因となる資産の譲渡の時における価額の2分の1に満たない金額とする。」と定めている(注5)。
 要するに、所得税法59条1項は、前述したような通常の相続又は個人に対する贈与による資産移転については、キャピタル・ゲイン課税を行わないこととし、当該移転後には当該キャピタル・ゲイン課税が十分に期待し難いもの、すなわち、限定承認の相続、個人に対する包括遺贈で限定承認に係るもの、法人に対する贈与、遺贈及び著しく低い価額による譲渡に限定して、当該資産の移転につき、「その時の価額」によって譲渡があったものとみなしているものと解される。

3 非上場株式の「その時の価額」
(1)所得税法においては、前述の同法59条1項の規定のみならず、通常の取引価額が付されることなく資産が移転等した時には、当該資産の当該移転等の時の「価額」を基にして、各種所得金額の計算が行われることになる(所法36②、39、40、41等参照)。
 かくして、「価額」の意義・解釈が問題となるが、理論的には、相続税法上の「時価」又は法人税法上の「価額」と同様、「不特定多数の当事者間で自由取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額」すなわち、客観的交換価値であると解されている。しかし、個々の資産について「客観的交換価値」を求めることは極めて困難であり、特に、本件で問題となっている非上場株式については尚更である。
 そこで、基本通達23~35共−9(4)は、非上場株式の価額につき、次のように定めている。
 「(4)(1)から(3)までに掲げる場合以外の場合 次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に定める価額とする。
イ 売買実例のあるもの 最近において売買の行われたもののうち適正と認められる価額
ロ 公開途上にある株式で、当該株式の上場又は登録に際して株式の公募又は売出し(以下この項において「公募等」という。)が行われるもの(イに該当するものを除く。) 金融商品取引所又は日本証券業協会の内規によって行われるブックビルディング方式又は競争入札方法のいずれかの方式により決定される公募等の価格等を参酌して通常取引されると認められる価額
(注)公開途上にある株式とは、金融商品取引所が株式の上場を承認したことを明らかにした日から上場の日の前日までのその株式及び日本証券業協会が株式を登録銘柄として登録することを明らかにした日から登録の日の前日までのその株式をいう。
ハ 売買実例のないものでその株式の発行法人と事業の種類、規模、収益の状況等が類似する他の法人の株式の価額があるもの 当該価額に比準して推定した金額
ニ イからハまでに該当しないもの 権利行使日等又は権利行使日等に最も近い日におけるその株式の発行法人の1株又は1口当たりの純資産価額等を参酌して通常取引されると認められる価額」
(2)この取扱いにおいては、①当該非上場株式について適正な売買実例があれば当該売買価額、②公開途上にある株式については公募等の価格又は③類似法人の比準可能な売買価額を参酌して当該「価額」を評価することとし、それらがなければ、④「純資産価額等を参酌して通常取引されると認められる価額」によって評価することとしている。このような取扱いは、前述の客観的交換価値をできる限り追求しようとしていることにほかならない。
 しかし、実務上、上記の④の方法によっても評価し難いこともあって、基本通達59−6は、所得税法59条の適用に当たって、次のように定めて、評価通達の準用を認めることとしている(この取扱いは、従前の取扱いに文理上の問題があったということで、本判決も引用している最高裁令和2年3月24日判決を経て同年改正されたものである。)(注6)。
 「59−6 法第59条第1項の規定の適用に当たって、譲渡所得の基因となる資産が株式(株主又は投資主となる権利、株式の割当てを受ける権利、新株予約権(新投資口予約権を含む。以下この項において同じ。)及び新株予約権の割当てを受ける権利を含む。以下この項において同じ。)である場合の同項に規定する「その時における価額」とは、23~35共−9に準じて算定した価額による。この場合、23~35共−9の(4)ニに定める「1株又は1口当たりの純資産価額等を参酌して通常取引されると認められる価額」とは、原則として、次によることを条件に、〈略〉「財産評価基本通達(法令解釈通達)の178から189−7まで〈略〉の例により算定した価額とする。
(1)財産評価基本通達178、188、188−6、189−2、189−3及び189−4中「取得した株式」とあるのは「譲渡又は贈与した株式」と、同通達185、189−2、189−3及び189−4中「株式の取得者」とあるのは、「株式を譲渡又は贈与した個人」と、同通達188中「株式取得後」とあるのは「株式の譲渡又は贈与直前」とそれぞれ読み替えるほか、読み替えた後の同通達185ただし書、189−2、189−3又は189−4において株式を譲渡又は贈与した個人とその同族関係者の有する議決権の合計数が評価する会社の議決権総数の50%以下である場合に該当するかどうか及び読み替えた後の同通達188の(1)から(4)までに定める株式に該当するかどうかは、株式の譲渡又は贈与直前の議決権の数により判定すること。
(2)当該株式の価額につき財産評価基本通達179の例により算定する場合(同通達189−3の(1)において同通達179に準じて算定する場合を含む。)において、当該株式を譲渡又は贈与した個人が当該譲渡又は贈与直前に当該株式の発行会社にとって同通達188の(2)に定める「中心的な同族株主」に該当するときは、当該発行会社は常に同通達178に定める「小会社」に該当するものとしてその例によること。
(3)当該株式の発行会社が土地(土地の上に存する権利を含む。)又は金融商品取引所に上場されている有価証券を有しているときは、財産評価基本通達185の本文に定める「1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)」の計算に当たり、これらの資産については、当該譲渡又は贈与の時における価額によること。
(4)財産評価基本通達185の本文に定める「1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)」の計算に当たり、同通達186−2により計算した評価差額に対する法人税額等に相当する金額は控除しないこと。」
 以上のような所得税基本通達(同通達が準用する評価通達を含む。)の取扱いについては、それらが租税法律主義上の法源でないにしても、当該取扱いに合理性があれば、当該事案において「特別の事情」がない限り、当該取扱いに基づく評価額が当該非上場株式の客観的交換価値に相当するものであると、多くの裁判例が容認している。本判決も、その流れに沿った判断が行われている。

4 純資産価額計算における本件貸付金債務の負債性
(1)本件においては、本件株式の価額について、前述の基本通達23~35共−9(4)の取扱いによっては評価し難いということで、同通達59−6の取扱いによって評価することが相当であることが当事者の合意するところであり、本判決もそれを認めるところである。この場合、本件株式の価額を評価通達の取扱いを準用して評価するに当たっては、T社の株式保有割合が57.6%であるということで、株式保有特定会社(評基通189(2))に該当し、乙が評価通達189−3(1)の「S1+S2」方式を選択しなかったため、本件株式の価額は、1株当たりの純資産価額(相続税評価額)(評基通185)によって評価することになった。そして、この純資産価額の計算上、本件貸付金債務がT社の負債として控除できるか否かが本件の最大の争点となった。
 この場合、甲は、死亡する約3年前に、本件株式及び本件貸付金債権をT社に遺贈する旨の遺言公正証書を作成し、本件相続においてその旨滞りなく施行されている。かくして、本件遺贈により、所得税法59条1項にいう「譲渡所得の基因となる資産の移転」があったことになり、本件株式の「その時における価額」によって譲渡があったものとみなされることになり、かつ、T社において本件貸付金債務が消滅することになった。
 かかる場合に、本件遺贈時(本件株式の譲渡時)における本件株式に係るキャピタル・ゲインを清算するに当たって、T社の純資産価額の計算上本件貸付金債務を負債とするか否かについては、両論あり得ると考えられる。それであるからこそ、恐らく税理士等による本件準確定申告においては、本件貸付金債務を負債に計上しないこととし、その後再検討した上で1年5月後に本件更正請求をしたものと推測される。そして、本訴において、前述のようなX及び国による主張がなされることになった。
(2)本判決は、前述したように、従前の最高裁判決が判示した譲渡所得課税の趣旨を踏まえ、「譲渡所得に対する課税の上記趣旨に照らせば、本件のような株式保有特定会社の株式の譲渡に係る譲渡所得に対する課税においては、譲渡人が当該株式を保有していた当時における株式保有特定会社の各資産及び各負債の価額に応じた評価方法を用いるべきものと解され、そうすると、株式保有特定会社の1株当たりの純資産価額(〈略〉)の計算は、当該譲渡の直前におけるその各資産及び各負債の価額に基づき行うべきであると解するのが相当である。」と判示し、本件貸付金債務をT社の負債に計上すべきとした。そして、国の主張に対しては、①「遺贈の目的である権利が受遺者とされた者に移転することが確実であるとは通常は考え難い」、②「本件遺贈がされたことによるT社の株式の価額の増加部分は、……T社の株式が譲渡された場合には、その時のその価額に応じて、上記増加部分に対する課税がされる可能性がある」と判示して、いずれも退けている。
(3)ところで、評価通達が取引相場のない株式の価額を純資産価額方式で評価する趣旨は、個人が直接所有している資産の価額と出資先の法人が所有している資産の価額とを原則同等に取り扱おうとしているところであるから、本件相続に係る相続財産については本件貸付金債権と本件貸付金債務とをパラレルに考える必要がある。また、前記2で述べたように、現行所得税法の本旨は、被相続人が所有していた間のキャピタル・ゲインを個人である相続人等の所得税の課税対象にすることを前提にしており、法人に対する贈与、低額譲渡等については当該所得税が課税できなくなることを考慮して所得税法59条及び60条が設けられているはずである(本判決が判示するT社における課税の機会は法人税の課税に過ぎない。)。
 そうすると、本件相続(本件遺贈)に係る相続税と所得税(譲渡)の関係を考慮すると、本件株式に係るキャピタル・ゲインの算定においては、本件貸付金債権と本件貸付金債務の存在を除外することが妥当であると考えられること、本件遺贈の効力について、本件貸付金債権を当然のように相続財産から除外し、本件貸付金債務の存否を認めることに説得力を有しないこと、T社の段階で譲渡所得課税が可能であるかのような所得税と法人税の課税を混同すべきではないこと、等からみて、本判決の結論にはむしろ問題があるように考えられる。

5 本判決の意義と問題点
 以上のように、本件は、財産管理会社T社の大株主である甲が、T社に対し、所有していたT社株式(本件株式)とT社に対する貸付金(本件貸付金債権)を遺贈した場合に、当該遺贈(本件遺贈)に係る所得税法59条に基づく所得税の課税処分(本件更正)の取消訴訟において、本案前に、出訴期間の徒過に係る「正当な理由」の存否と本案として、本件貸付金債権に対応するT社の本件貸付金債務を本件株式の価額を純資産価額方式で評価する場合にT社の負債になるか否かが、争われたものである。
 本判決は、上記の「正当な理由」については、甲の唯一の相続人である妻乙が認知症を患っていることもあって、「正当な理由」を認め、本案の本件貸付金債務の負債性については、前述の理由によりそれを容認した。これらの判断は、類似の事例が少ないだけに意義のあるものである。しかし、それらの判断については、それぞれ問題があることは前述したとおりである。
 なお、本件は、確定しているようであるが、上記の問題について控訴審で検討すべきであったと考えられる。
(注1)地方税法19条の12においても、同様に審査請求前置主義が定められている。
(注2)横浜地裁昭和57年3月31日判決(訟務月報28巻6号1260頁)、東京高裁昭和58年3月29日判決(税資129号823頁)、名古屋地裁昭和62年7月27日判決(同159号298頁)、京都地裁平成3年8月21日判決(同186号433頁)等参照。
(注3)農村(寒村)に育った筆者が小学生の頃、近所の当主が亡くなると、「あの家では「相続税」が大変だ!」という噂をよく聞かされたことがあるが、それは所得税であったはずである。
(注4)このような税制改正の経緯については、品川芳宣「資産の無償譲渡をめぐる課税と徴収の交錯(1)」税理2004年1月号23頁参照。
(注5)なお、所得税基本通達59−3は、「……時価の2分の1以上の対価による法人に対する譲渡であっても、その譲渡が法第157条(〈略〉)の規定により、税務署長の認めるところによって、当該資産の時価に相当する金額により山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額を計算することができる。」と定めている。
(注6)同通達の改正の経緯と問題点については、品川芳宣「財産(資産)評価の実務研究 第20回」資産承継2021年10月号159頁等参照。

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