会計ニュース2021年12月03日 公認会計士の実務経験期間は3年以上へ(2021年12月6日号・№909) CPE履修要件を満たさない場合は登録の抹消も

  • 公認会計士制度部会の検討が開始。公認会計士の登録申請までの実務経験期間は3年以上へ。
  • CPEの不正受講等を踏まえ、公認会計士法上、CPEの履修要件を満たさない場合は登録抹消も可能に。

 金融審議会公認会計士制度部会が11月29日に開催され、公認会計士法改正に向けた議論に入った(本誌908号10頁参照)。すでにお伝えしているとおり、上場会社監査事務所登録制度の法制化や公認会計士・監査審査会による検査の対象に虚偽証明に係る監査手続の追加、監査法人の社員の配偶関係に基づく業務制限の見直しが行われる。
 そのほかの改正項目として挙げられるのは、公認会計士登録までの実務経験期間の見直しだ。現行、公認会計士登録申請までには実務経験として2年以上の業務補助等が必要とされている。国際教育基準(IES)では、実務経験の習得を図る方法として「3年間の実務経験」が好ましいとしており、イギリス、ドイツ、フランスでは実務経験要件は3年以上とされている(アメリカは州法により異なり、実務経験要件は概ね1.4年以上とされている)。このため、日本においても実務経験期間を3年以上に見直す方向となっている。
 また、継続的専門研修(CPE)については、日本公認会計士協会では履行義務を果たさない者に対して、研修の履修指示、氏名等の公示・公表等の措置や、戒告、会員権停止、退会勧告等の懲戒処分を行うことができるとされている。しかし、公認会計士の登録の抹消事由とはされていない。最近ではeラーニング研修の二重受講や早送り受講など、不正受講が見受けられている。CPEは公認会計士制度に対する社会からの信頼を維持するための重要な制度であることから、CPEの履修要件を満たさない場合には、公認会計士の登録の抹消事由とすることも視野に入れて検討が行われている。
 昨今では監査法人以外の事業会社や行政機関等での業務に従事する組織内会計士が増加傾向にあるが、登録事項の整備も行われる。現行、公認会計士の登録は開業時の登録を念頭に、氏名、生年月日等のほか「事務所」の登録を求めている。ただし、事業会社等に勤務する組織内会計士については、便宜的に自宅等を「事務所」として登録する例があるとされ、名簿上の登録内容が組織内会計士を想定したものとなっていないとの指摘がある。このため、勤務先を登録することなどにより組織内会計士の実態を把握し、日本公認会計士協会による組織内会計士向けの研修活動を充実させるなどの効果を期待するとしている。

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