カートの中身空

閲覧履歴

最近閲覧した商品

表示情報はありません

最近閲覧した記事

会社法ニュース2021年12月24日 倒産危機では株主でなく自主再建が優先(2021年12月27日号・№912) 東京高裁、国際興業の元代表取締役の相続人らの控訴を棄却

  • 国際興業に対するサーベラスの経営再建案を巡る控訴審。東京高裁は令和3年11月18日、同社の元代表取締役の相続人である第1審原告らの請求をすべて棄却。代表取締役(第1審被告)は、倒産の危険のあった同社の自主再建を優先すべきであり、これに反してまで株主利益を最大化するよう配慮すべき義務はなかったと判断。

 本件は、国際興業(第1審被告(被控訴人))がサーベラスから融資を受けて経営再建をするに当たって、平成17年3月24日、国際興業が発行していた全株式について100%無償減資を行ったところ、無償減資が行われるまで株主であった第1審原告(元代表取締役の相続人(創業家一族))らが国際興業に対し、①同社の代表取締役である第1審被告がサーベラスとの交渉の際に既存株主が株式を保有し続けるような方法を採るように交渉しなかったこと、②国際興業の監査役であった第1審原告Aに取締役会の招集通知を送付しなかったことが任務懈怠に当たるなどとして損害賠償請求を行ったものである。原審の東京地裁では、一部を除き原告の請求を棄却していた(本誌906号12頁参照)。
 東京高裁(北澤純一裁判長)は原審に引き続き、国際興業の代表取締役であった第1審被告において、倒産の現実的危険性のあった国際興業を自主再建することを優先すべきであって、これに反してまで株主の利益を最大化するよう配慮し、行動すべき義務はなかったなどとし、任務懈怠行為及び不法行為は認められないとの判断を示した。
 また、第1審被告による取締役会招集通知義務違反について東京高裁は、監査役である第1審原告Aは業務実態のない名目的監査役で、これまで取締役会に出席したことがなかった上、サーベラスの支援を受けなければ国際興業が破綻することなどを理解していたことから、取締役招集通知の送付を受けていたとしても取締役会に出席したとは考えられず、招集通知の欠けつは無償減資の決議の効力に影響しなかったと指摘。第1審被告に任務懈怠行為及び不法行為としての取締役会招集通知義務違反は認められないとした。
 なお、東京地裁の判決では、第1審原告Aについて、自主再建案が実現した後においても国際興業及びグループ会社の役員に留まることができたものと認められるとし、3年分の役員報酬である4,718万3,118円の支払いが認められていたが、第1審原告Aが自発的に監査役を辞任しなくても監査役として再任されることはなく、監査役の地位を喪失することは必至の状況であったなどとして役員報酬の支払いを取り消した。

当ページの閲覧には、週刊T&Amasterの年間購読、
及び新日本法規WEB会員のご登録が必要です。

週刊T&Amaster 年間購読

お申し込み

新日本法規WEB会員

試読申し込みをいただくと、「【電子版】T&Amaster最新号1冊」と当データベースが2週間無料でお試しいただけます。

週刊T&Amaster無料試読申し込みはこちら

人気記事

人気商品

  • footer_購読者専用ダウンロードサービス
  • footer_法苑WEB
  • footer_裁判官検索