カートの中身空

閲覧履歴

最近閲覧した商品

表示情報はありません

最近閲覧した記事

税務ニュース2022年02月18日 東京地裁、日産自へのCFC税制適用支持(2022年2月21日号・№919) キャプティブ保険子会社は非関連者基準を満たしていないと判断

  • 令和4年1月20日、CFC税制の適用の是非巡る訴訟で日産が敗訴。
  • 東京地裁は、バミューダに設立されたキャプティブ保険子会社がCFC税制上の非関連者基準を満たしていないとして課税処分を支持。
  • キャプティブ保険子会社の国内設立が困難な中、「日本の所得が海外に流出している」と言えるのかとの疑問も。日産は控訴。

 金融業を営む日産自動車のメキシコ法人(以下、「メキシコ法人」)は、日産車を購入する顧客に対して貸付け(カーローン)を行う業務を営んでいた。このカーローンは、メキシコ法人が顧客に生命保険をかけて、顧客の死亡時に保険金がメキシコ法人におりるという取引であった。日本で住宅を買う際に加入が求められる団信のようなものと考えればよいだろう。そして、この保険は、第三者である保険会社を通じて、日産自動車のグループ会社であるバミューダのキャプティブ保険子会社が引き受けていた。キャプティブ(captive)には「つながれた」「縛られた」といった意味があり、キャプティブ保険は「自家保険」と訳されることが多い。海外では著名企業の多くが、日本でも総合商社や海運会社、大手メーカーなど少なくとも数十社がキャプティブ保険子会社を保有していると言われている。
 本事案では、このキャプティブ保険子会社がCFC税制上の非関連者基準を満たしていない(上記保険は関連者に係る保険とみなすべき)ということで、キャプティブ保険子会社の所得が日産自動車に合算されることとなった。ただ、本事案においては、そもそも日本の所得が海外に流出していると言えるのかという根本的な疑問は残る。
 というのも、日本の保険業法の免許制の下で日本国内にキャプティブ保険子会社を作ることは実務上極めて困難だからだ。キャプティブ保険子会社を有する日本企業は、一旦は一般の国内保険会社に保険料を支払ってリスクを移転したうえで、海外に設立したキャプティブ保険子会社に対し、当該国内保険会社が保険料を支払ってリスクを移転する(再保険をかける)という仕組みをとっていることが多い。
 専門家からは、日本国内にキャプティブ保険子会社を作ることが事実上できないとすると、バミューダのキャプティブ保険子会社の所得が「日本の課税対象」であったとは考えにくく、日本の所得が海外に流出している状況にない中でCFC税制を適用して課税するのは、CFC税制の趣旨にも反するのではないかとの声も聞かれる。
 日産自動車は控訴したことが確認されている。控訴審の行方が注目されるところだ。

当ページの閲覧には、週刊T&Amasterの年間購読、
及び新日本法規WEB会員のご登録が必要です。

週刊T&Amaster 年間購読

お申し込み

新日本法規WEB会員

試読申し込みをいただくと、「【電子版】T&Amaster最新号1冊」と当データベースが2週間無料でお試しいただけます。

週刊T&Amaster無料試読申し込みはこちら

  • footer_購読者専用ダウンロードサービス
  • footer_法苑WEB
  • footer_裁判官検索