税務ニュース2022年02月18日 理由の記載不十分で住民税課税を取消し(2022年2月21日号・№919) 東京高裁、手続条例等の「理由の義務付け」を行政側に厳しく解釈
埼玉県越谷市に生活の本拠を有する納税者(原告)は、市民税及び県民税につき、越谷市長から課税標準額及び納付すべき税額の増額更正に伴う賦課決定(本件処分)を受けた。これに対し原告は、本件処分は埼玉県行政手続条例14条1項本文及び越谷市行政手続条例14条1項本文(手続条例等)が規定する理由提示の要件を欠いた違法なものである等とし、本件処分の取消しを求めて提訴した。
原告は越谷市から年税額が106,000円となる納税通知書を受領したが、配偶者の合計所得金額が38万円を超えていたことから、その後、原告の配偶者控除の適用を0円・年税額が141,500円となる納税通知書兼変更通知書を受領した。この通知書の更正理由欄には、「配偶者に所得あるため配偶者(特別)控除を更正します。」と記載されていたが、原告はこの理由の記載が不十分なものであると主張した(配偶者の合計所得金額については争っていない)。
一審のさいたま地裁は、「本件通知書の記載から、本件処分は、配偶者控除について更正するものである旨が記載されており、地方税法23条1項7号及び同法292条1項7号が根拠法条であることが明らかである。」などと判示し、原告の請求を斥けた。
これに対し東京高裁は、「当裁判所は、原判決とは異なり、控訴人の請求には理由があると判断する。」として次のとおり判示し、控訴人の請求を容認している。
「手続条例等は、行政庁が不利益処分をする場合には、その名宛人に対し、同時に、当該不利益処分の理由を示さなければならない旨を規定し、さらに、埼玉県行政手続条例14条3項及び越谷市行政手続条例14条3項は、不利益処分を書面でするときは、その理由は書面により示さなければならない旨を規定している。(中略)手続条例等は、地方税に係る賦課決定処分をするに当たっては、当該処分の原因となる事実を示すだけでなく、その根拠法条を提示すべきことを義務付けているものと解するのが相当である。(中略)本件通知書には本件処分の根拠法条が記載されていないのであり、理由の提示として不十分である。したがって、本件通知書の理由の記載は、その余の点について検討するまでもなく、手続条例等の定める理由の提示を欠くというべきである。」
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