税務ニュース2022年02月25日 調査拒否による巨額追徴事案、上告棄却(2022年2月28日号・№920) 有識者の意見書で租税正義訴えるも、判例の見直しには至らず
調査拒否が巨額(約40億円)の追徴課税に至った本事案は実務家の注目を集めてきた。類似事案の最高裁判例はあるものの、無予告調査に反発して実地調査が進められない事案は身近に起こり得る示唆に富むものと言えよう。
こうした中、本件上告に対し、上告理由書・上告受理申立理由書の提出(令和2年10月22日)から間もない令和3年2月12日に、上告棄却・上告審不受理決定が行われていたことが判明した。
上告については、「民事事件について最高裁判所に上告をすることが許されるのは民訴法312条1項又は2項所定の場合に限られるところ、本件上告の理由は、違憲をいうが、その実質は単なる法令違反を主張するものであって、明らかに上記各項に規定する事由に該当しない。」との理由が付され、上告受理申立については、「本件申立ての理由によれば、本件は、民訴法318条1項により受理すべきものとは認められない。」との理由が付されている。
上告人は、上告理由書・上告受理申立理由書の提出後も補充主張を行ってきた。令和3年1月15日には、阿部康隆神戸大学名誉教授・弁護士及び三木義一青山学院大学名誉教授・弁護士による意見書を提出するなど、特に租税正義の観点からの主張を強めていた。三木名誉教授は、「税務代理人達の対応に問題があるとしても、もっとけしからんのは最高裁平成16年判決の法理を乱用し、ちょっとした努力で防げた企業倒産を招き、税務行政の本質を外した課税庁であると言わねばならない。」など、課税庁が納税者への制裁として(意識的に納税者には会わずに、通知もせずに)本件課税処分を行ったことを指摘した。上告人は、これらの意見書を踏まえた租税正義の主張を記載した理由書(補充書)の提出を試みようとしていたが、令和3年2月15日に提出した理由書(補充書)は最高裁の決定と行き違いになった。
本件事案が平成16年判例当時と異なるのは、行政手続法・国税通則法において「不利益処分に対する適正手続保障」を重視する改正が行われたことだが、判例の見直しにまでは至らなかった。
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