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税務ニュース2022年03月11日 非上場株低額譲渡事案の上告不受理決定(2022年3月14日号・№922) 「時価二元論」論争は深まらないまま長期間の訴訟が決着

  • 非上場株式の低額譲渡に該当するとした課税処分の是非が争われてきた事案について、最高裁第二小法廷は令和4年2月18日、上告審として受理しない決定を行った(本誌895号14頁参照)。

 本件の概要は次のとおりである。非上場の株式会社A社の代表取締役であった被相続人甲は平成19年8月1日、A社の役員及び従業員らを株主とする有限会社B会に対し、自身の有していたA社の株式のうち72万5,000株(発行済株式総数の7.88%)を、配当還元方式で評価した価額である1株75円で譲渡した。その後、甲が同年12月28日に心不全で急逝したことから、同人の相続人である本件上告受理申立人らは、被相続人の平成19年分の所得税について、本件株式譲渡に係る譲渡所得の収入金額を上記配当還元方式で評価した価額で準確定申告した。これに対し所轄税務署長は、本件株式譲渡における株式の時価は類似業種比準方式で評価した価額である1株2,505円(異議決定後に減額された後の金額)であるから本件株式譲渡は所得税法59条1項2号の低額譲渡に当たるとして、申立人らに対し更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分を行った。申立人らはこれらの取消しを求めて提訴した。
 本件の争点は、所得税法59条1項の「その時(本件株式の譲渡の時)における価額」とは、所得税法基本通達59−6(1)に規定する売主の譲渡直前の議決権割合等により同族株主か否かを判定して財産評価基本通達(以下「評価通達」という。)の評価方法を適用して評価した価額をいうのか(被告主張)、本件の売買対象の7.88%の少数の株式数又は議決権割合を考慮した時価で判定すべきか(原告ら主張)である。
 これまでの判決等の経緯を振り返ると、一審・東京地裁判決は納税者敗訴、控訴審・東京高裁判決は納税者勝訴、最高裁判決は原審取消・差戻し判決、その差戻し後の控訴審・東京高裁は納税者敗訴、そして今回の納税者の上告受理申立てに至っている。
 申立人らは、「本件においては時価評価にあたり評価通達を適用すべきではないこと」「原判決には時価二元論という重大な問題が存在すること」などを理由として、上告受理申立てを行っていたが、最高裁第二小法廷(三浦守裁判長)は令和4年2月18日、「本件申立ての理由によれば、本件は、民訴法318条1項により受理すべきものとは認められない。」との理由を挙げ、本件を上告審として受理しない旨を決定し、当事者に告知した。

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