解説記事2022年03月28日 未公開裁決事例紹介 相続開始前3年以内贈与の相続税計算で一部取消裁決(2022年3月28日号・№924)
未公開裁決事例紹介
相続開始前3年以内贈与の相続税計算で一部取消裁決
審判所、遺留分及び贈与加算額は控除せず
〇相続税の計算に当たり、相続人の取得財産の合計額から遺留分を、各相続人の暦年贈与財産の加算額の合計額から贈与加算額をそれぞれ控除すべきか争われた裁決。国税不服審判所は、相続税の計算に当たり、①長男は、遺留分に基づく価額弁償金を請求人に返還しておらず、長男が相続により取得したものと認められることから、遺留分は各相続人の取得財産の合計額から控除すべきではなく、また、②長男は、相続税法19条1項に規定する「相続又は遺贈により財産を取得した者」に該当することになるから、贈与加算額は各相続人の暦年贈与財産の加算額の合計額から控除すべきではないとの判断を示した(福裁(諸)令2第9号、一部取消し)。
主 文
令和元年6月27日付でされた更正をすべき理由がない旨の通知処分の一部(平成28年12月28日付でされた過少申告加算税の賦課決定処分(令和元年6月27日付でされた過少申告加算税の変更決定処分後のもの)の全部)を別紙1「取消額等計算書」(略)のとおり取り消す。
基礎事実等
(1)事案の概要
本件は、審査請求人(以下「請求人」という。)が、相続税の申告後、土地の評価に誤りがあることなどを理由に、相続税の更正の請求をしたところ、原処分庁が、土地の評価額については、更正の請求書に記載された金額で減額する旨の更正処分を行い、その他の部分については、更正をすべき理由がない旨の通知処分を行ったのに対し、請求人が、当該通知処分に不服があるとして当該通知処分の全部の取消しを求めた事案である。
(2)関係法令
関係法令の要旨は、別紙2のとおりである。なお、別紙2において定義した略語については、以下、本文においても使用する。
(3)基礎事実及び審査請求に至る経緯
当審判所の調査及び審理の結果によれば、以下の事実が認められる。
イ 請求人の夫である××××(以下「本件被相続人」という。)は、××××××××に死亡し、その相続(以下「本件相続」という。)が開始した。本件相続に係る共同相続人は、本件被相続人の妻である請求人、本件被相続人の子である××××、××××及び××××の4名である(以下、「本件相続人ら」という。)。
ロ ××××は、本件被相続人の財産を請求人に遺贈する旨の遺言公正証書が××××の遺留分を侵害しているとして、平成26年5月8日、請求人に対して遺留分減殺請求の意思表示をした。
ハ 本件相続人らは、法定申告期限内である平成26年7月8日、本件被相続人に係る相続税(以下「本件相続税」という。)について、相続税の申告書(以下「本件申告書」という。)を共同で原処分庁へ提出した。
なお、本件申告書には、①上記ロにより××××が遺留分として××××××を取得したこと(以下、××××が取得した遺留分に相当する額を「本件遺留分」という。)が記載された「資産負債一覧」と題する書類(関与税理士が作成)、②平成23年3月7日付遺言公正証書、③上記ロの平成26年5月8日付遺留分減殺請求通知書の写しが添付されていた。
ニ 請求人は、平成27年2月23日、××××を被告として、不当に領得された金員合計137,748,585円及び遅延損害金の支払を求める訴えを×××××××に対して提起した(以下、当該事件を「本件不当利得返還請求事件」という。)。
なお、請求人は、同年7月22日、××××××××に対して、本件不当利得返還請求事件に係る訴えの変更申立書を提出し、不当に領得された金員として支払を求める金員を180,892,085円及び遅延損害金に変更した。
ホ 原処分庁は、平成28年12月28日付で、請求人に対して、本件相続税の調査に基づく更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分(以下「本件賦課決定処分」という。)をした。請求人は、これらの処分を不服として、再調査の請求を経て、審査請求をした。当審判所は、××××××××付で、この審査請求をいずれも棄却した。
へ 本件不当利得返還請求事件については、平成29年5月9日、訴訟当事者の訴訟代理人たる弁護士の関与の下で訴訟上の和解(以下「平成29年和解」という。)が成立した。
平成29年和解の和解条項において、本件相続に係る遺留分について記載のある条項は、次の(イ)及び(ロ)のみであった。
(イ)××××は、請求人に対し、本件相続に係る遺留分として××××が請求人から受領した金員の清算を含む本件不当利得返還請求事件の和解金として8,000万円の支払義務があることを認める(第1項)。
(ロ)請求人、××××及び××××は、××××に対し、同人が相続人としての地位を有するか否かにかかわらず、本件相続に係る遺留分として同人が受領した金員の返還を求めないことを約束する(第4項)。
ト ××××は、平成29年6月26日、平成29年和解に基づき、上記への(イ)の8,000万円を請求人に和解金として支払ったことで、本件相続により取得した財産はなくなったとして、原処分庁に対して、本件相続税に係る更正の請求(以下「本件××更正の請求」という。)をした。
チ 原処分庁は、平成29年9月22日付で、本件××更正の請求の全部を認め、××××に対して、本件相続に係る納付すべき相続税を××とする更正処分(以下「本件××減額更正処分」という。)をした。
リ 原処分庁所属の調査担当職員は、平成30年10月1日から本件相続税に係る調査を開始した。
ヌ 請求人は、上記リの調査中である平成31年4月4日に、原処分庁に対して、①請求人の相続税の課税価格は、実質的な遺産分割である平成30年12月7日成立の遺言無効等確認訴訟に係る訴訟上の和解(以下「平成30年和解」という。)に伴って減少すること(以下「請求理由1」という。)、また、②×××××××××××××所在の土地を含む全5筆(以下「本件土地」という。)の評価額に誤りがあり、本件土地の評価額が34,132,602円過大であること(以下「請求理由2」という。)を理由に、別表1の「更正の請求」欄のとおり、本件相続税に係る更正の請求(以下「本件更正の請求」という。)をした。
ル 原処分庁は、令和元年6月27日付で、上記リの調査に基づき、請求人に対して、別表1の「更正処分」欄のとおり、請求理由2の評価誤りの是正を含む本件相続税の更正処分(以下「本件減額更正処分」という。)及び本件賦課決定処分を減額する変更決定処分(以下「本件変更決定処分」という。)をした。
なお、本件減額更正処分では、①××××は、本件相続により受領した金員の全てを請求人に対し返還したとして、各相続人の取得財産の合計額から本件遺留分が減額され、また、②××××は、相続税法第19条第1項に規定する「相続又は遺贈により財産を取得した者」に該当しないとして、各相続人の相続税法第19条第1項の規定に基づく暦年贈与財産の加算額の合計額から××××に係る暦年贈与財産の加算額(以下「本件贈与加算額」という。)である2,556,806円が減額された。
さらに、原処分庁は、同日付(令和元年6月27日付)で、請求人に対して、本件更正の請求に対する更正をすべき理由がない旨の通知処分(以下「本件通知処分」という。)をした。本件通知処分に係る処分の理由の要旨は、①請求理由1については、平成30年和解は実質的な遺産分割と解釈することはできないため、請求人の相続税の課税価格の減額は認めず、また、②請求理由2については、本件土地の評価額の誤りは、本件減額更正処分において、本件更正の請求と同額の評価額で既に是正済みであるという内容であった。
ヲ 請求人は、令和元年8月15日、本件通知処分を不服として再調査の請求をした。
ワ 再調査審理庁は、令和元年11月6日付で、再調査の請求について棄却する再調査決定を行った。
カ 請求人は、再調査決定を経た後の本件通知処分に不服があるとして、令和元年12月5日に審査請求をした。
なお、本件賦課決定処分(本件変更決定処分後のもの。以下同じ。)についても併せ審理する。
争点および主張
本件相続税の計算に当たり、各相続人の取得財産の合計額から本件遺留分を、各相続人の暦年贈与財産の加算額の合計額から本件贈与加算額を、それぞれ控除すべきか否か。
【表】
原処分庁 | 請求人 |
以下のとおり、本件相続税の計算に当たり、本件遺留分及び本件贈与加算額は、各相続人の取得財産の合計額及び各相続人の暦年贈与財産の加算額の合計額から、それぞれ控除すべきである。 |
以下のとおり、本件相続税の計算に当たり、本件遺留分及び本件贈与加算額を各相続人の取得財産の合計額及び各相続人の暦年贈与財産の加算額の合計額からそれぞれ控除することで、請求人の配偶者の税額軽減額が過少に計算されることとなるため、これらを控除すべきではない。 (1)本件減額更正処分において各相続人の取得財産の合計額から減額された××××××は、相続財産の一部である本件普通預金として、本件相続の開始時に存在していた事実に変わりはないから、これを減額すべきではない。 また、本件減額更正処分において、××××が本件遺留分として取得した金額は、請求人の相続財産として加算されていないから、原処分庁は本件遺留分が××××から請求人に返還されていないことを認めたことになる。 (2)上記(1)のとおり、××××は、本件相続により本件遺留分として本件普通預金を取得しているため、同人は、相続税法第19条第1項に規定する「相続又は遺贈により財産を取得した者」に該当することになる。そうすると、本件相続に係る暦年贈与財産の加算額は、請求人と××××で同じ内容であるにもかかわらず、本件減額更正処分において、暦年贈与財産の加算額の合計額から、本件贈与加算額を減額したことは誤りである。 (3)上記(1)及び(2)により、請求人の配偶者の税額軽減額が過少に計算されており、その結果、請求人の納付すべき税額が過大に計算されていることから、本件通知処分は違法である。 |
審判所の判断
(1)法令解釈
相続税法第2条第1項は、相続税の課税財産の範囲について、別紙2の1の(1)のとおり規定している。そして、民法第1028条に規定する遺留分とは、一定の相続人(遺留分権利者)のために法律上留保されるべき被相続人の財産の一定割合であり、その遺留分を侵害する遺贈があったために、遺留分権利者からその受遺者に対して民法第1031条の規定に基づく遺留分減殺請求がされた場合には、当該遺贈は当該減殺請求により遺留分を侵害する限度において失効する。その遺留分権利者が、その目的物の現物返還を受けた場合には、受遺者が取得した権利はその限度で当然に当該減殺請求をした遺留分権利者に帰属することになるから、遺留分権利者が現物返還を受けた当該目的物は、相続税法第2条第1項に規定する「相続又は遺贈により取得した財産」に該当し、相続税の課税財産になる。また、民法第1041条の規定に基づく価額弁償は、この現物返還に代わるものであるから、受遺者が現物返還に代えて価額弁償をした場合においては、遺留分権利者が取得した価額弁償金が、相続税法第2条第1項に規定する「相続又は遺贈により取得した財産」に該当し、相続税の課税財産になると解するのが相当である。
(2)認定事実
本件不当利得返還請求事件において、×××××××書記官が作成した××××に対する本人調書に記載された同人の代理人弁護士からの質問に対する××××の回答から、同人が本件遺留分に相当する金員につき、平成26年7月頃に請求人から受け取ったことが認められる。
(3)検討
イ ××××が本件相続により取得した財産について
まず、本件遺留分について、請求人は、××××が本件相続により取得したものである旨主張(上記の「請求人」欄の(1))するのに対し、原処分庁は、同人が本件相続により取得したものではない旨主張(上記の「原処分庁」欄の(1))しているところ、この点について争いがあるため、以下のとおり検討する。
なお、請求人及び原処分庁において本件遺留分の額についての争いはない。
(イ)本件不当利得返還請求事件は、××××が請求人名義の預貯金口座から複数回にわたって引き出した現金を領得したことには合理的な理由がないとして、請求人が××××に対し、不当利得返還請求権に基づいて返還を求めたものであり、上記のへのとおり、平成29年和解の成立によって終結している。
(ロ)平成29年和解には、××××が本件遺留分に相当する金員として請求人から受領した金員の清算が含まれており、上記のとおり、①××××は、請求人に対し、本件不当利得返還請求事件の和解金として8,000万円の支払義務がある旨、②請求人、××××及び××××は、××××に対し、本件遺留分に相当する金員として既に××××に支払い済みの上記の金員の返還を求めないことを約束する旨の記載がある。
(ハ)一般に、裁判上の和解は、対立する当事者間で事実関係又は法律関係に争いがある中で紛争解決のために双方が互譲し、和解成立時において和解条項に定める限りで一定の法律関係等を確認・確定しようとするものであるから、そこで確定された法律関係等は、基本的に和解条項を離れて認定、解釈することはできない。そして、訴訟の係属中に当事者の訴訟代理人たる弁護士も関与して成立した訴訟上の和解における和解調書は、確定判決と同一の効力を有するものとされており(民事訴訟法第267条《和解調書等の効力》)、その効力は極めて大きく、このような紛争の中で成立した和解をその表示された文言と異なる意味に解すべきであるとすることは、その文言自体相互に矛盾し、又は文言自体によってその意味を了解し難いなど、和解条項それ自体に瑕疵を内包するような特別の事情のない限り許されないと解すべきである。
(ニ)そして、当審判所の調査によっても、上記(ハ)のような特別の事情をうかがわせる証拠は認められないため、平成29年和解の内容は、その和解条項から解釈すべきであり、本件不当利得返還請求事件において請求人が××××に対して返還請求した180,892,085円から、××××が請求人に対して和解金として支払った80,000,000円を控除した上で、なお返還を要しないこととなった差額の100,892,085円には、本件遺留分が含まれると解するのが相当である。
(ホ)当審判所の調査によれば、××××は、上記のとおり本件遺留分に相当する金員を請求人から受け取り、上記(ロ)のとおり平成29年和解により上記の金員の取得が確定したと認められる。また、××××が上記の金員を請求人に返還したとの原処分庁の主張をうかがわせる証拠も認められない。
以上のことから、××××は、本件遺留分に基づく金員を本件相続により取得したと認めるのが相当である。
ロ ××××の本件相続に係る取得財産の価額について
上記のとおり、遺留分権利者が取得した価額弁償金は、相続税法第2条第1項に規定する「相続又は遺贈により取得した財産」に該当すると認められる。そうすると、上記イの(ホ)の××××が本件相続により取得した本件遺留分に基づく金員は、本件遺留分に基づく価額弁償金と認めることが相当であるため、当該金員は、××××の相続税の取得財産の価額に算入すべきものと認められる。
ハ ××××の暦年贈与財産の加算額について
相続税法第19条第1項は、別紙2の1の(2)のとおり、相続又は遺贈により財産を取得した者が当該相続の開始前3年以内に当該相続に係る被相続人から贈与により財産を取得したことがある場合においては、その者については、当該贈与により取得した財産の価額を相続税の課税価格に加算した価額を相続税の課税価格とみなす旨規定している。
これを本件についてみると、上記ロのとおり、××××は、相続税法第19条第1項に規定する「相続又は遺贈により財産を取得した者」に該当するから、本件贈与加算額は、同人の相続税の計算上、暦年贈与財産の加算額とすべきものと認められる。
ニ まとめ
以上のことからすると、本件相続税の計算に当たり、①××××は、本件遺留分に基づく価額弁償金を請求人に返還しておらず、××××が本件相続により取得したものと認められることから、本件遺留分は各相続人の取得財産の合計額から控除すべきではなく、②××××は、相続税法第19条第1項に規定する「相続又は遺贈により財産を取得した者」に該当することになるから、本件贈与加算額は各相続人の暦年贈与財産の加算額の合計額から控除すべきではない。
(4)原処分庁の主張について
原処分庁は、「原処分庁」欄の(2)のとおり、××××は本件相続により財産を取得しておらず、同人は相続税法第19条第1項に規定する「相続又は遺贈により財産を取得した者」に該当しないことから、本件減額更正処分において本件遺留分及び本件贈与加算額を各相続人の取得財産の合計額及び各相続人の暦年贈与財産の加算額の合計額から、それぞれ減額すべきである旨主張する。
しかしながら、上記のとおり、××××は本件相続により財産を取得したものと認められることから、本件遺留分及び本件贈与加算額を各相続人の取得財産の合計額及び各相続人の暦年贈与財産の加算額の合計額から控除すべきでないことは、上記のとおりであり、原処分庁の主張を採用することはできない。
(5)本件通知処分の適法性について
イ 請求人の本件相続税における課税価格について
当審判所が認定した請求人の本件相続税における取得財産価額及び課税価格は、別表2(略)の「審判所認定額」欄の⑦及び⑪欄のとおりとなり、本件減額更正処分の額と同額であると認められる。
ロ 本件相続税における各人の課税価格の合計額について
××××は、上記のとおり、本件相続により本件遺留分に基づく価額弁償金を取得し、同人の本件贈与加算額を計上すべきこととなるから、相続人各人の取得財産価額の合計額及び純資産価額に加算される暦年課税分の贈与財産価額の合計額は、それぞれ別表2の「審判所認定額」欄の①及び④欄のとおりとなり、相続人各人の課税価格の合計額は、⑤欄のとおりとなる。
ハ 請求人の納付すべき税額について
上記イ及びロに基づき本件相続税の額を計算すると、その総額は別表2の「審判所認定額」欄の⑥欄のとおりとなり、請求人の算出税額は⑫欄のとおり、また、請求人の配偶者の税額軽減額は⑬欄のとおりとなるから、請求人の納付すべき税額は⑮欄のとおりとなり、本件減額更正処分を下回ることになる。
なお、本件減額更正処分及び本件通知処分のその他の部分については、請求人は争わず、当審判所に提出された証拠資料等によっても、これを不相当とする理由は認められない。
したがって、本件通知処分は、その一部を別紙1の「取消額等計算書」のとおり取り消すべきである。
(6)本件賦課決定処分の適法性について
本件通知処分は、上記のとおり、その一部を取り消すべきであるところ、これに基づき計算した請求人の過少申告加算税の額は、別紙1の「取消額等計算書」のとおりであり、本件賦課決定処分は、その全部を取り消すべきである。
(7)結論
よって、審査請求には上記の一部取消しを求める限度で理由があるから、別紙1のとおり、本件通知処分については、その限度でその一部を取り消し、また、本件賦課決定処分については、その全部を取り消すこととし、主文のとおり裁決する。
別紙2 関係法令
1 相続税法(平成27年法律第9号による改正前のもの。以下同じ。)
(1)相続税法第2条《相続税の課税財産の範囲》第1項は、同法第1条の3《相続税の納税義務者》第1項第1号の規定に該当する者については、その者が相続又は遺贈により取得した財産の全部に対し、相続税を課する旨規定している。
(2)相続税法第19条《相続開始前3年以内に贈与があった場合の相続税額》第1項は、相続又は遺贈により財産を取得した者が当該相続の開始前3年以内に当該相続に係る被相続人から贈与により財産を取得したことがある場合においては、その者については、当該贈与により取得した財産の価額を相続税の課税価格に加算した価額(以下「暦年贈与財産の加算額」という。)を相続税の課税価格とみなし、同法第15条《遺産に係る基礎控除》から第18条《相続税額の加算》までの規定を適用して算出した金額をもって、その納付すべき相続税額とする旨規定している。
2 民法(平成30年法律第72号による改正前のもの。以下同じ。)
(1)民法第1028条《遺留分の帰属及びその割合》は、兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次に掲げる区分に応じてそれぞれに定める割合に相当する額を受ける旨規定している。
イ 直系尊属のみが相続人である場合 被相続人の財産の3分の1
ロ 上記イに掲げる場合以外の場合 被相続人の財産の2分の1
(2)民法第1031条《遺贈又は贈与の減殺請求》は、遺留分権利者及びその承継人は、遺留分を保全するのに必要な限度で、遺贈の減殺を請求することができる旨規定している。
(3)民法第1041条《遺留分権利者に対する価額による弁償》第1項は、受贈者及び受遺者は、減殺を受けるべき限度において、贈与又は遺贈の目的の価額を遺留分権利者に弁償して返還の義務を免れることができる旨規定している。
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